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好きな人を友人に紹介しました  作者: 天満月 六花


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152/359

―気に入らない理由―


 ローリーも俺やユーヴェンがそう言った話から遠ざけていたのはわかってたみたいだし……。まあ下ネタや際どい話をし始めた奴を連れて行ったりしてたら流石にわかっただろう。


「それはユーヴェンもやってたろ?」


 ユーヴェンもローリーの前ではそういった話はしなかったし、ちゃんと他の奴らに注意していた。


「そりゃアリオンのやる事に協力するよ。一応俺だって、三人で仲良くし過ぎたのが喧嘩の発端なのかな、とは思ってたし。ローリーが快適に過ごせる協力はするに決まってるだろ」


「……そうか」


 そう言ったユーヴェンに少し不安が過る。

 大事な友達だとユーヴェンは言った。今はメーベルさんに惹かれているけど、過去はどうだったのだろう。


 ――まさか……こいつ、俺がローリーを好きだったから……遠慮してた、とか……ねぇよな……。


 もしそんな風にされていると、正直複雑な気持ちになってしまうだろう。

 感謝は……する、けど……もし俺の事がなかったらローリーとユーヴェンがうまくいってたなら……ものすごく複雑だ。


 少し難しい顔をしていると、フューリーがユーヴェンに問い掛けた。


「……グランドはあの子の事とかどう思ってたんだ?ずっと三人で仲良かったんだろ。ブライトの気持ち抜きにしてさ、可愛いとか思った事なかったのか?大事には思ってたんだろ?」


「!!」


 フューリーの問いに目を瞠る。正に気になっていた事だ。

 おそらく俺の事を考えて聞いてくれたような気がする。こいつだってキャリーの事を俺がどう思っていたか気にしていた。


 ――やっぱりこいつ巻き込んでよかったな……。


 聞きにくい事を質問してくれたフューリーに感謝する。


「ん?俺?そうだな、ローリーは見た目は可愛いよなーぐらいは俺も思ってたけど……」


 そのユーヴェンの言い様に眉を上げる。


「……見た目は?」


 ――ローリーは見た目も性格も言動も行動も何もかも可愛いんだが。


 そう思いながら厳しい目を向けた。


 ユーヴェンは待てと言うように掌を俺に向ける。


「睨むなよ、アリオン。まあ俺にとってローリーは……怒られる時は怖いけど、かっこよくてさっぱりしてる、すっげえ良い奴で自慢の友達だな。良い奴だからさ、ちゃんと幸せになって欲しいなあって思ってるよ。あ、もちろんアリオンもだけどな」


 ユーヴェンの言葉にほっと息を吐く。ユーヴェンは嘘がつけない奴だ。その屈託のない笑顔からは、ローリーの事を想っていたような事は少しも感じさせない。おそらく俺とあまり変わりない扱いだったのだろう。


 そうやって安堵していると、ユーヴェンは少し目を泳がせた。


「……ただそうだなあ……ローリーって結構無理する所もあっただろ?それで、アリオンと一緒になってローリー守ってたら……なんというか……」


「……なんだよ?」


 言いにくそうなユーヴェンに、ゴクリと息を飲んだ。

 フューリーからも、息を飲む音が聞こえた。


 ――まさか、こいつ……ローリーを好きになったとか……言い出すんじゃ……!?


 そんな最悪な想像をしていると、気まずそうにユーヴェンは小さな声で言った。


「あー……怒るなよ、アリオン。……その、ローリーって……弟、みたいだなぁって……思うことが……あって……」


 覚悟して聞いたユーヴェンの言葉に、一瞬間が空いた。


 しかし、理解した途端ふつっと糸が切れた。


「はあ!?なんだそれ!?なんでお前の弟とローリーが同列の扱いなんだよ!?ローリーはずっと綺麗で可愛い女の子だっただろ!!」


 思わずユーヴェンの胸倉を掴みかけて、フューリーに抑えられる。


「ブライト、気持ちはわかるが落ち着け」


 そりゃ俺だって小さい頃から付き合いのあるユーヴェンの弟達は大体可愛がっていた。

 けどそれとローリーは全然違うだろう。同列扱いしていたことに腹の底から怒りが湧いてくる。

 しかもユーヴェンの言葉で今まで疑問に思っていた事の答えまでわかってしまった。


 思わず止めたフューリーまで睨むと、首を振られて止められる。


「だから怒るなって言ったじゃないか……」


 そう言ったユーヴェンに対してもう一度きつく睨むと、こいつがローリーにやっていた行動を詰った。


「おっ前、だからローリーに対して頭撫でたり肩組んだり普通にしてたんだな!?俺の気持ちに気づいてやがった癖に!」


 フューリーに抑えられながらもユーヴェンに怒りをぶつけた。


 ――やっぱりこいつ、あんまり女の子だって事を考えずにローリーに接してやがった!


 抑えているフューリーも眉をひそめてユーヴェンに忠告する。


「グランド……お前、それはよくないぞ」


 ユーヴェンは俺達二人からの糾弾に申し訳なさそうに肩を落とした。


「う……わ、悪かったよ……。つい……弟、みたいだと……思ってさ……」


 その言葉にカッとなって、最近気に食わなくなってきたユーヴェンの弟の顔も浮かんでしまう。


「弟ってお前まさか、アレンと同じ感じで接してたんじゃねぇだろうな!?俺はアレンがエーフィに近づいてんの認めてねぇぞ!」


 ――ローリーとアレンが同列とか意味分かんねえ!


 エーフィと仲の良いユーヴェンの弟のアレンは最近エーフィに近づき過ぎている。


 ――なんで休日にエーフィとアレンの二人で出掛けたりしてんだ!


 俺だってローリーと休日に二人で出掛けるなんて明日が初めてなのに!


「小さい頃から俺とお前が仲良いんだから一歳違いのアレンとエーフィちゃんが仲良いのも当たり前だろ?そんなに怒るなって」


 ユーヴェンが落ち着かせるように言ってくるが、怒りは収まらない。


「あいつはエーフィに近づき過ぎなんだよ!エーフィにアレンくんってかっこいいよね……って言われた兄の俺の気持ちになれ!」


 エーフィから言われた時は少し泣くかと思った。アレンも可愛がってやってたのに、なんで妹のエーフィを俺から奪っていくような真似をするのか。


 フューリーが呆れた表情を浮かべて言ってくる。


「おーい、ブライト。なんか話が違う方向いってんだけど。ちなみにお前もガールド隊長にとっては同じだよな」


「ぐっ!」


 痛い一言を言われて思わず呻く。


 改めて考えると、俺とローリーとの事を認めてくれているリックさんには頭が上がらない。


 ――しかもローリーが無自覚で鈍感だからって……多少近づくこと、許してくれてるし……!


 それを思い出すと、ローリーの昨日の可愛さまで思い出してしまって口を閉じた。


 そんな俺を覗き込みながらユーヴェンが聞いてくる。


「あ、そうだよな。さっきローリーに説教してくれたって言ってたけど、リックさんはアリオンとローリーの事どう言ってるんだ?」


 目を逸らしてから答える。


「……み、認めてくれてる……みてぇだけど……」


「うん、認められてるよな、お前だいぶ。なのに自分の妹の事になると認められねぇのかー?」


 フューリーからそんな野次が飛んでくる。


「うっせぇ、フューリー!」


 思わずフューリーに言い返す。


 ユーヴェンは楽しそうに笑っていた。


「はは、ならよかったじゃんかアリオン。まあ、アレンがアリオンに認められるかはこれからの行動次第って事でいいよ。俺正直アレンがエーフィちゃんの事どう思ってるかなんて聞いてないし、お前だって聞いてないから納得もしてないんだろ?」


 そう言うユーヴェンは兄の顔をしている。


「……そうだよ……。まあ俺だって……ローリーへの想いをずっと気づいてなかったし、人の事言えねぇのはわかってるけどな……」


 頭を掻きながら答える。


 俺とローリーやリックさんの事を思い返してから、アレンの事も考えてみるがいまいち納得ができない。リックさんはこういった部分でもすごいと、改めて思う。


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