表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四天王寺ロダンの青春  作者: 日南田 ウヲ
はじまりの跫音
6/107

6 卒業式の伝統行事

(6)


 何故あれ程、彼女が心を逸らせ身体を躍動させるのか。卒業式での校歌の独唱(ソロ)と言うのが一体どんな意味を持つのか。それを知るには堀川学園の或る行事について語らなければならない。


 堀川学園の卒業式にはちょっとした戦後から続く伝統行事がある。


 卒業式で校歌を最後に卒業生全員で斉唱するのだが、その校歌の最後で音楽科から選ばれた一人の学生が独唱するのである。

 独唱は校歌の一節なのだが、その校歌を歌えるのは卒業生を代表するという意味だけでなく、高校生活三年間に置いて音楽科において最も学業成績が優秀で、且つその将来を学校が期待している学生が選ばれる。


 ちなみに過去選ばれた学生は、卒業後、芸能界で活躍しているものが多く、卒業式には同社の役員幹部も来賓し、その中で独唱をするのだから、それはつまり校の出資元であるアズマエンタープライズの期待も受けており、卒業後はその個人の将来のあらゆる場面でバックアップを受けることが約束されていることを意味している。


 それは有る意味難関大学に入るのと同じぐらいに難しい選抜と言えるが、謂わばその幸運なくじを――彼女は見事引き当てたのだ。


 浮かれるなと言うのが難しい。


 現に独唱(ソロ)譜を鎌田から手渡された時、真帆は思わず

「ありがとう、カマガエル!!」

 と、思わず鎌田の前であだ名を言ってしまった。



 では校歌とは一体どういう歌詞だろう。

 それを真帆は普段は覚えている筈だが今は浮かれて頭が真っ白なので彼女の代わりに書いておく。




『堀川学園校歌』


 ♬


 古びた時が

 いずこに去ろうとも

 学びし時を

 忘れることなかれ


 君の声を聞き

 互いに手を取りて

 流れる東雲(しののめ)を見た日々よ


 やがて別れる日が来ようとも

 (われ)ら共に在らん


 友よ

 我らはいつも


 ともにあらん(独唱(ソロ)


 ♬


 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ