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四天王寺ロダンの青春  作者: 日南田 ウヲ
青き春と炎
23/107

23 始動

(22)





――青春をどのように例えれば良いだろう。


 流れる雲の端を掴んでも、いつまでも青空の下を走り続けていることが出来る、そんな時間を享受できる世界があることが青春だろうか。

 いや、そうではなくそんな一片の雲さえも無い限りなく広がる青空の下で呼吸し、生きていると実感する瞬間瞬間の重なりこそ、青春(ブルースプリング)であろうか。

 では深夜の静寂響く都会のマンションの一室でキーボードを操作し、デジタル画面の中に自分の気持と情熱を押し込んで何かを作り出そうとしてる若者が居たとしたら、それは「青春」ではないと言うのだろうか?まるで暗闇に塗られた春とでも言うべきだろうか。


 人にはどうあがいても人それぞれの岐路があり、そこに自分の人生の為の取捨てをしなければならないことがある。それは大人になる段階で個人にとって早く来るか遅く来るかの違いでしかない。

 若者はそれを早くに引き受けた、だからこそ自分は新しい「新世界」を知り、そして過去と決別する「儀式(セレモニー)」を用意した。いや、用意したというより偶々偶然にも引かれていた線路があってそこに来た電車に乗り子んだ感じだ。

 自分は唯、手にした「何か」を開放するだけだ。

 それは別に何か重層で――『パンドーラの箱』みたいなそうな仰々しく物々しものじゃない。

 唯の自分と言う「才能」だ。


 才能を見せる。


 それだけをなすことが、自分の漆黒の青春――いや青炎かもしれない。


 さて、…

 若者はパソコンのモニターを消すとデータを転送した超小型の記録メディアをバッグに仕舞い、席から立った。シューズを履くと壁に掛けてあるスケートボードを脇に抱えた。

 既に先発隊は乗り込んで作戦行動に出ているだろう。

 気になるのは未だ――()()()()()()()()()()()()()()ことだが、それでも十分自分達の意思を社会に伝える事は出来る。


 若者は部屋の鍵を閉めた。

 そして帽子を被るとまるで夜の闇を偲ぶようにスケートボードを路面に転がして飛び乗り、自分の意思で進み出した。


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