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四天王寺ロダンの青春  作者: 日南田 ウヲ
はじまりの跫音
18/107

18 縁が人を繋いでいる

(18)




 …ん、となって僅かに首を傾げた。


「ほら、僕と仲を繋いでくれるって言ったじゃない。知り合いを通じて」

 そこで真帆は何かを思い出した様に目を大きくピンと開いた。


(あ、そうやった…)


 真帆は傾げたまま甲賀を振り返った。そして傾げた首を元に戻すと髪を後ろに手で流して言った。

「隼人、じゃぁ丁度良かった。西条さんと繋がりの或る知り合いが今図書館に居るのよ」

「図書館に?」

「そう、それも彼は彼女と幼馴染でね。今からその彼にウチ会いに行くとこやねん。一緒に行く?その事なら直接頼んだ方が良いやろうし」

「そうなのか?」

 思わず前のめりになる甲賀。

「そう、そう」

 真帆が笑顔でにんまりする。

 だがにんまりする内心は――意外とそうでもない。

 正直最初、その話を聞いた時、嫌だなと思った。

 他人の恋の世話役になるというのはどうも自分の柄ではない。実は西条未希というのはアズマエンタープライズお抱えの役者だ。子役からテレビに出ており、最近はめっきり美しくなって色んな番組にも出ている。噂では次の朝ドラにも抜擢されているらしい。

 その西条未希と自分を繋いでくれるよう甲賀が頼んだのは、真帆がある人物とその西条未希と幼馴染だと言う事を知っていて、それを担保に甲賀の願いを受けただけである。

 ある意味、どこかいい加減な担保ではあるのだけど。

 そしてその人物こそ、――あの「マッチ棒君」である「コバやん」なのである。


「ほな、行こか」

 言うと真帆は先程迄の変事等忘れたかのように甲賀を従えて図書館へと向かって歩き出した。


 ――しかし、真帆はその時気づいていなかった。

 風に乗って空を舞う赤い更紗の姿があることを。



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