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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

妄想短編集

全部感じ

作者: トロピカルサンド





カンカンカン!!


うるさい踏切機の警告音がなっている

その中には一人の少女と

彼女を見ている少年が一人


「ねぇ・・・・」


「なにさ!?」


「落ち着くね」


「この状況で!?

 僕は全く落ち着けないね!!

 早くこっちに!」


「ううん

 そっちには行かない

 ・・・・今までありがとうね」


キーーーーーーーンっと

鉄と鉄とがこすれ合う高音の加速音が聞こえて来る



「っ!ぉっ!」



少年は声にならない悲鳴を心の中で叫びながら少女に手を伸ばす

少女は首を横に振りながら前を向く

その瞬間

少女の小さな体が電車にはねられ

少年の体と周囲の物体を赤色に塗った



電車が少年の目の前を通り過ぎ去り先程までの少女がいなくなった後

少年は下を向き何事かをもごもごというのみであった



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜









カーテンの隙間から

朝日が差し込んで来る


少年は顔をしかめて起き上がり

カーテンをきっちりと閉める


ふと後ろを見てみると

そこには少女がいた



「・・・・誰?」


「私の名前は・・・う〜ん

 そうね アイとでも呼んでもらおうかしら?」


少女はそういいながら微笑んだ


「あと 君全然驚かないんだね」


「? 何を言ってるの?

 そんな驚くこと?」


「ふ〜ん

 まぁ いいけどね」


「そう」


そういいながら少年は再び布団の上に戻る


「ちょ ちょっと待って?」


「何?」


「いや・・・

 もう少し気にしたら?私のこと」


「ん〜・・・・寝る」


「お〜い

 お〜〜い 君〜」


少女の呼ぶ声を聞きながら

少年は再びまどろみの中に沈んでいく






しばらくして


「んん 〜〜〜」


「おお やっと起きたの?」


相変わらず

人の部屋でくつろぎながら

話しかけてきた


彼女はこちらを一瞥して

本棚に大量にあるラノベに手を伸ばす



「まだ いたのか

 あ てか 人のものを勝手に読むなよ

 おい 読むなって!」


「いいじゃない」


そう言ってさらに手を伸ばす

少女に少年は実力行使にでる


「あら あなたって乱暴ね」


「悪いが人のものを勝手に触ろうとする

 不法侵入者に優しくもてなさそうって

 優しい奴でもないんでな」


「お やっとまともに喋った

 これあなたの言葉の中で最長なんじゃない?」


「喋って数秒だろうに

 勝手に決めつけんな」


図星である

少年は人生を寂しく生きて

人とあまり喋ったことがない


いやそれを寂しいと言うのは

価値観の押し付けである


少年はなんとも思ってないこともない

・・・こともない


「そう?

 ふ〜ん

 まぁ いいや」


「いや お前

 何もんだよ」


「え〜 言わなきゃダメ〜?」


かわいらしく首をかしげる少女


「は?」


冷たく返す少年


おそらくそういうところが

ちゃんと喋り合えない原因である


「いえよ」


「え〜冷たいなぁ〜


 まぁ いいや

 これから遊びに行こうよ

 カイくん?」



「・・・・どこに」


「もうちょっと驚いてくれてもいいんだけどなぁ

 ん〜 じゃ〜 どこにしよっかな〜

 あ あそこにしよっか!」


ニコニコ にこにこと苛立つほどの

満面の笑みで言う少女


「・・どこだよ」


場所は言わなかったようだ


「まぁまぁ とりあえず

 外に出ようよ」


少女がそう言った瞬間

ただでさえ硬い表情の少年の顔が硬くなる


「なぜ外に?」


言葉も硬くなる


「え〜 外楽しいよ〜?」


「外は・・・・嫌だ」


「そっか〜

 じゃあ ゲームしよう


 ほら ここ座って?」



このあと めちゃくちゃゲームした








〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



少女は少年に拒絶されようが

何をしても勝手に心を開けようとしてくる

そして そのための力を持っているようだ


少女は他の人には見えないらしい

久しぶりに少女に連れられて

外に出てみたが

母親らしき人間は自分にだけ反応して

少女には反応していなかった


少女もそれを当然だと思っているみたいだった

久しぶりに見た母親の顔は少し老けていて

驚愕に染められた顔だった


ーーーほんの数年であったのに




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「じゃあね」


少女はそういいながら

踏切に向かって歩き出した


警告音がなってバーが下りだす

下がったバーをくぐって

少女は電車のくる方の車線にまっすぐ立ち

こちらを見てくる


少年は手を伸ばすが

届かない



そしてそのまま

少女は轢かれた




少女のものだったであろう

肉片が周囲に飛び散る

電車はそのまま加速していき

もはや豆粒のようだ


少年は口の中でその肉を噛みながら

呟く


迷惑じゃないか、と








本当は全部漢字の題名にして見たかったが

勇気がなかったからこんな感じの題名になりました

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