21、...おかしくない?俺が主人公だよね?
8/26手直ししました。
豪華な夕食を堪能して、
皆が寝静まった時に俺は温泉に向かった。
(マスターは本当に温泉好きですね。)
もちろん。
さっきは落ち着いて入れなかったかからな...。
ガラガラ...。
誰も居ないのを確認して、俺は入浴をした。
はぁ~...。
極楽、極楽...。
(マスター...。親父くさいですよ....。)
ほっとけ。
中身は38歳の中年なんだぞ...。
気持ちよすぎて、歌でも歌いたくなってきたなぁ。
誰も居ないし歌ってみようかな...。
(いいですねぇ~♪
ワタシもマスターの歌を聴きたいです♪)
聞きたいと言われたら歌わせていただこう。
それでは、
「いい湯だなぁ♪Hahann♪
いい湯だな~♪Hahann~♪
ここは天国、極楽宿の湯~...。」
「いい歌だねぇ。」
誰だ!?
俺が振り向くと、
そこにはアルトが立っていた。
ハッッズッ!!
めちゃめちゃ恥ずかしいぞ...。
おい...。
ヴォイス...。
アルトが来てることをわかった上で歌わせたろ?
(はい?
ワタシにはなんのことやらサッパリ?
プププッ!)
...ヴォイスめ!!
「一緒に入っていいかな?」
「お、おう...。
ってかどうしたんだ?寝れなかったのか?」
「うん。そうだね...。
コウ君と話がしたくて。
このまま旅を続けるのにコウ君には言わなきゃいけない事があるんだ。」
「言わなきゃいけない事??」
「うん...。
ちょっと長くなるけど聞いてくれるかい??」
「あぁ...。俺は構わないよ。」
「ありがとう。それでは聞いてくれ。
僕の本名は、
アルト・フォン・レオンハート。」
「レオンハート?」
(マスター。レオンハートは王都の名前ですよ。)
....え?マジで?
(マジです。)
「あ、アルトは王族なのか?」
「元だけどね。そこを踏まえて聞いてほしい...。」
「お、おう...。」
~アルトの過去~
王都レオンハートの公爵家に高らかに産声があがった。
「おい!鑑定しろ!」
「ダメですね。
剣のスキルは持っていません。
ですが、ユニークスキル「英知の書」がありますよ。」
「チッ。そんなヤツは要らん!
我は剣のスキルを持つ息子が欲しいのだ!!」
「し、しかし、オーガイ様!!
ユニークスキルは滅多には....。」
「五月蝿い!!
剣に関するスキルを持ってない奴なんぞ、公爵家とは我は認めん!」
なぜオーガイがここまで剣にこだわるかと言うと、王家は代々剣の家系で、
四年に一回行われる王国剣武祭で、
優勝を義務付けられてた。
だが、この年はデュークと言う若い平民に優勝されて公爵家は恥をかいて腹を立てていた。
将来、オーガイが王と成るために剣で武功をあげる手駒が必要であった。
「貴方!!
この子をどうするつもりなの!?」
必死に我が子を抱く、側室のメリア。
「公爵家にはいらん!処分しろ!」
「そ、そんな...。」
辺りは静まり返る...。
「貴方、少し時間を下さいませんか?
その間にこの子を処分しますので...。」
「勝手にしろ。」
そう言われてほっと胸を撫で下ろすメリア。
オーガイが部屋を出て行き、
メリアは信頼の出来る部下に頼み、自身の父であるカールに子供預ける事にした。
「貴方の名前はアルト...。強く生きてね...。
そしてごめんね...。」
メリアは泣きながら、
アルトをバスケットに入れた...。
そこに持っていたネックレスと手紙をしたため、部下にバスケットを持たせ父の元へ行かせた。
数日後...。
ドンドンッ!!
「誰じゃ?こんな時間に...。」
「夜分遅くに失礼します!
カール様でございますか?」
「...そうじゃが?どうしたんだ?」
「...良かった。
メリア様の命で来ました。
シロップと申します。」
シロップは幼子のアルトが入ったバスケットをカールに渡した。
「手紙が御座いますのでお読みください。」
カールは手紙を読む...。
お父さん。
突然すいません。
この子を預かって下さい。
名前はアルトです。
お願いします。
ただそれだけ書いてあった...。
「一体王都で何があったのだ...?
シロップとやら教えてくれ。」
「実は...。」
シロップは一部始終を話した。
「なんと言う愚かなことを...。
だから公爵家なんぞに嫁がせたくはなかったのだ...。」
カールは怒りに狂いそうだったが、アルトの顔を見たら不思議と落ち着いた。
「わかった...。
この子はワシが責任を持って育てよう。」
カールは手紙を書き、
「これをメリアに渡してくれ。」
「かしこまりました。」
そう言うと、シロップは出て行った。
「アルトや~。ワシがおじいちゃんだぞ~!」
「キャハハッ!!」
「お~!笑ったわい!!アルトは可愛いのぉ~!」
こうしてアルトは祖父に育てられた。
祖父は元冒険者で口癖は、
「いいか!アルト!
冒険はロマンじゃ!
そしてダンジョンにもロマンがある!!」
そして様々な冒険の話をしてくれた。
10歳になった時、病で祖父が他界した。
それと同時に王都から使者が来て、公爵家に行くことになった。
公爵家に着いて、初めて父と母にあった。
父の冷酷な眼付きが嫌だった。
人を人だとも思わない眼だ。
公爵家の離れに住むことになった。
母が頼み込んだらしい。
家庭教師を雇い、剣術、帝王学を学んでいくのだが、
義理兄達と実の弟には散々苛められた...。
何でかって...。
それは剣のスキルがないからだ...。
僕はいつしか本が置いてある書斎しか寄り付かなくなっていた 。
母とは書斎でコッソリ会い、
たくさん話して文字も教えて貰った。
その時間がアルトの心の支えだった。
書斎でたまたま読んだ本に英知の書の使い方が書いてあった。
僕はこっそりと魔法を覚え始める...。
12歳になったとき、
先代が無くなりオーガイはレオンハートの王になった。
オーガイが王になった事で益々、剣に固執するようになった。
僕は剣には向いていないが、
少しでも認めて貰うために頑張った。
だが全く才能がなく、兄弟達には罵倒され、弟には見下される日々が続いた。
そして、15歳になった時に教会で職を貰った。
それは「賢者」だった。
王に報告したら、
「剣が握れないなんて王族の恥だ!!
お前を除名、追放する!
殺されなかっただけ有り難いと思え。」
僕はそれで良かったと思った。
成人まで育てて貰った。
糞見たいな所だったけど、
成人まで頑張れたのは唯一母が優しかったからだ。
王都を出て、当ても無かったが、
祖父の言葉「冒険にはロマンがある!」を思い出し、
冒険者になるため、
冒険者の街アバドンに行って、
そこでコウ君と出会ったんだ。
「アルト...。お前大変だったんだな...。」
「そのお陰で今があるからなんとも言いがたいけどね...。」
「アルト先生だいべんでぢだねぇぇ」
「うんうん。わかる、その辛さわかるよ。」
ゴングとソーマもいつの間にかそこに居た。
いつの間に来たんだよ...。
コイツらは忍者か...?
(マスターが鈍感なだけでは?)
うるせー...。
「コウ君、驚いた?
元だけど、公爵家なんて面倒でしょ?」
「驚いたけど、何が面倒なんだ?
アルトはアルトだろ?
元王族だか何だか知らないけど、
俺にとっては今のアルトがアルトさ!」
「ありがとう!」
アルトは晴れやかに笑った!
...............。
........................。
っとは言ったものの、
やっぱりなんかおかしくない?
(マスター。どうしました?)
いや、何。
追放物のラノベに出てきそうな主人公とアルトが被るんだよね...。
王族に追放されたが職業賢者とスキル英知の書で、Sランク冒険者で無双する。
今さら、王族に戻ってこいと言われても可愛い嫁と悠々自適に暮らしてるからもう遅い。
....的な?
(それがどうかしたんですか...?)
いやいや!
俺は何ってなるじゃん!!
ヒロイン的なの出て全然でてこないし、
俺に寄ってくるのは男だけだし!
(マスター...。)
いや、
だってさアルトはヒロイン的なのも序盤に出てるし、
イケメンだし、王族だし、
(マスター...。僻むのはやめましょ。聞いているこっちが恥ずかしいですよ...。)
...取り乱した。...なんかごめん。
(いいんですよ。
マスター、いつでも頼って下さい。)
ありがとう。ヴォイス。
俺は気を取り直して、
「明日からまた頑張ろうぜ!」
「うん!」
「んだな!」
「お願いするね!」
何にせよ俺たちの結束は高まったのだった。
投稿ペースが遅く、誤脱字なりあると思いますが温かく見守ってくれるとありがたいですm(_ _)m
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