134、もうひとつの戦い。
コウ達が帝国でのバタバタしている中、遠く離れている場所で戦っている者がいた。
「ククク。いい加減諦めて私の提案を受けてくれませんか?」
「断る!!」
「本当に貴方は頑固ですね...。」
お互い剣を交わらせながら話している。
「このまま戦っていてもキリが無いですよ。
もう一ヶ月も戦ってるじゃないですか...。
それに貴方はもう伸び代がない...。
勝ち目はないのですよ。」
「それでも私は退けぬ。
弟子達が頑張っているのに、師匠の俺が頑張らなきゃ顔向け出来ないだろうが!?」
「剣聖デューク。この世界が平和になって欲しいとは思いませんか?」
「思うに決まってるだろ!!
だから、ルシフェルお前の提案は受け入れられない!!」
コウ達の師匠デュークはルシフェルと戦っていたのだ。
1ヶ月という長い期間を。毎日、毎日。
「私の思い伝わりませんかね?
私は自由に生きたいのです。
あの方の監視化に置かれてる以上私には自由はない。
だから、デューク。
貴方と一体化してあの方を討とう、と思うんです。
それがこの世界の平和へのただひとつの道なんですよ。」
「そんな事言って俺を乗っ取って、俺の弟子のコウやアルトを苦しめるんだろうが!
やり方が見え透いてるんだよ!!」
「どうやったら伝わるんでしょうか?
私には貴方が必要なのですよ。
聖剣を扱える貴方が...。
それにあの方が復活するまでそう時間がありません。
コウ・タカサキ達があの方の力を次々と解放している。」
(デューク...。アイツの言っていることは真実だ。嘘ではない。)
デュークの持つ聖剣エクスカリバーが念話で語りかける。
「エクス...。お前まで何を言ってるんだ...?
そんなのまやかしだろう?」
(デューク...。私は人間ではない。ヤツもそうだ...。人間は心が移ろいやすいが我々は違うんだよ。わかるか?)
「分からん!!そんな事は分かりたくもない!」
(本当にお前はいつからそんなわからず屋になったのだ?
若い弟子に越される...いや、越されたのがそんなに悔しいのか?)
「うるさい!!エクス!黙れ!!」
(デューク...。
自分に正直になれ。俺が言えることはそれだけだ。)
クソ...。
なんだって言うんだ...。
俺が間違っているのか...?
デュークに少し迷いが出た瞬間だった。
この1ヶ月毎日ルシフェルからの勧誘。
そして老いによる成長限界。
聖剣エクスカリバーに諭され、心が揺らいでいた。
剣を交わらせているルシフェルの剣は自分にまっすぐな剣だ。嘘がない。
剣が語っているのはデューク自身分かっていた。
「ハァハァ...。俺はこれから最大の剣技を放つ。それをルシフェルが受けて耐えきれたら考えてやる。」
「分かりました。いつでも来てください。」
デュークは距離を取り、[聖光気]を 纏いさらに聖なる気を剣に込めた。
「最大は伊達ではないですね...。私も...。
[聖光気]を...。」
ルシフェルの黒い翼がどんどん白く染まっていく。
「なっ!?なんだと...。なぜお前が[聖光気]を...。」
「デューク。私の事は気にせず集中しなさい。乱れていますよ。」
「い、言われなくても!」
デュークはもう集中出来なかった。
ルシフェルの姿を見て自分が信じる神の化身と重ねてしまったからだ。
それでも、自分を信じ技を放った。
「剣聖最大奥義。聖十字架斬り!!」
受けに回ったルシフェルの剣は折れ、身体に十字架が刻まれた。
しかし、ルシフェルは倒れなかった。
「この勝負、私の勝ちだ...。」
「あぁ...。もう指の一本も動かせない...。
ルシフェル。お前の勝ちだ...。」
「それじゃあ...。」
「あぁ。ルシフェルを信じる。
まぁ、あの姿を見せられたら俺は信じざるを得ないが。」
「デューク、私を信じてくれてありがとう。
これからも宜しく頼む。」
2人は固く握手をした。
そしてルシフェルはデュークと融合したのだった。
デュークは平和を、ルシフェルは自由を求めて歩き始めた。




