表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リベンジ  作者: たらふく
35/35

三十五 衝撃




権藤たちの話を聞いた薫は、怒りでどうにかなりそうだった。


「そうでしたか・・」


副社長は、それだけ口にして「ふぅ~」とため息をついた。


「私は沙月がそんな酷いことをするなんて、今でも信じてないから」


薫は永埜にそう言った。


「あのさ、言っとくけどね、沙月はあんたの子を妊娠してたんだよ」


それを聞いた永埜は、思わず顔を上げ驚愕していた。


「あんたは二人も殺したんだ。この人殺し!」

「え・・殺したって・・どういうことですか・・」


永埜は不思議に思い、そう訊いた。


「あんたが!沙月を振った後、パトカーが来たでしょ!あれは沙月が車に轢かれて死んだの!」

「そっ・・そんな・・」


永埜も、権藤たちも薫の言葉に驚いていた。

そう、永埜たちは沙月が死んだことを知らなかったのだ。


「沙月は自殺したのよ!」


そう言って薫は、涙を流した。


「なんとか言ったらどうなのよ!」


それでも永埜は無言のままだった。


「今井さん」


副社長は薫を落ち着かせるように、肩を叩いた。


「とにかく、あなたたちのやったことは、れっきとした犯罪だよ」

「でも・・すべてを話せば放免してくれると・・」


権藤が小さな声で言った。


「放免はあり得ないよ」

「えっ・・」

「僕も被害者なんだよ。会社の名誉も傷つけられたしね」

「そんなっ・・」

「今後は法的手段に出るから、そのつもりでね」


そう言われた権藤たちは、うな垂れていた。


「ちなみに、逃亡など考えないでね」

「そんな・・滅相もない・・」

「根本さんでしたか。あなた、今井さんを突き飛ばしてけがを負わせてるよね」

「は・・はい・・」


根本は、蚊の鳴くような声で返事をした。


「それと、あなたたちの誰かが今井さんに脅迫電話もかけてるよね。これは携帯の記録を見れば判明するよ」

「・・・」

「それを指示した権藤さん、あなたにも罪があるね」

「・・・」

「逃亡すれば、こちらも訴えます。刑事事件としてね」

「・・・」

「刑事と民事、両方で多額の賠償金を要求するからね」


副社長が釘を刺したことで、権藤たちは逃げられなくなった。



その後、権藤たちは訴えられ、報酬金の一億円も泡と消えたのだった。


「飯田さん・・この度はなんとお礼を申し上げればよいか・・」


裁判所を出たところで、薫が副社長に頭を下げた。


「なに言ってるの。これは僕の名誉を守るためでもあるんだよ」

「本当にありがとうございました」

「今井さん」

「はい」

「もう復讐はしないよね」

「はい・・」

「前にも言ったけど、きみが犯罪に手を染めることは、二之宮さんは決して喜ばないよ」

「・・・」

「きみは二之宮さんの分まで、しっかり生きること」

「はい・・」

「そして幸せになることだよ」

「わかりました・・」

「それじゃ僕は仕事があるから行くね」


薫は「はい」と言って、再び深々と頭を下げた。


「ああ、そうそう」


副社長は車に乗ろうとしたところで、立ち止まった。


「なんですか」

「また何かあれば、連絡してね」

「え・・」

「これからは、事件とは関係なく今井さんとお話がしたいから」


そして車は走り去って行った。


薫は副社長が何を言いたかったのか、いまいち理解できずにいたが、今回のことでは心の底から副社長に感謝していた。



―――それから一週間後のこと。


ルルル・・


突然、沙月の携帯が鳴った。

自宅にいた薫は、なんだろうと思い、電話に出た。


「もしもし」

「あ、沙月ちゃん?」


聞き覚えのない声だった。


「あ、いえ、私は沙月の友人です」

「え・・そうですか。沙月ちゃんはいますか」

「沙月は・・いません・・」

「え・・どこか行ってるのですか」

「いえ・・」

「あの、私、沙月ちゃんの同級生で加賀谷(かがや)洋子(ようこ)と申します」

「そうですか・・」

「沙月ちゃん・・どうかしたんですか」

「あの・・沙月は・・亡くなりました・・」

「え・・ええっ!」

「交通事故で・・」

「う・・嘘でしょ・・ほんとですか」

「はい・・」


それから二人は、しばらく黙ったままだった。


「あの・・」


そして薫が口を開いた。


「はい・・」

「沙月に、話でも・・?」

「ああ・・あの、だいぶ前に、沙月ちゃんから高校のクラスメイトのことで電話があって」

「そうですか・・」

「水森英太って男子のことを訊かれたんです」

「水森・・えっ!沙月が訊いたんですか!」


驚いた薫の声に、加賀谷も驚いていた。


「え・・えぇ・・まあ」

「なにを訊いたんですか」

「水森くんって、どんな子だったとか・・」

「どんな子・・」


薫は、権藤たちの話と随分違うことが不可解だった。

それもそのはず、権藤たちの話だと、沙月は水森を弄んだのだから「どんな子」なんて訊くわけがないからだ。


「それで、私は沙月ちゃんとの電話の後、色々と調べたんです」

「そうなんですか」

「まあ、気になってというか・・」

「それで、調べた結果、どうだったんですか」

「沙月ちゃんとの電話で、水森くんは自殺未遂したと話してたんですけど、それは本当だったようです」

「そうですか・・」

「水森くん、ある女子に恋をしてたみたいなんですけど、なんか、フラれちゃったみたいで」

「・・・」

「それで、その後、いじめに遭ってたみたいで。それもその女子が裏ボス的な・・」

「あの、その女子って沙月ですか・・」

「え・・?」

「いや・・沙月じゃないんですか」

「違いますよ!沙月ちゃんは水森くんのこと、ろくに憶えてないんですよ」

「う・・嘘・・沙月じゃないの・・」


薫は、手にしている携帯が持てないほど、体が震えた。


「それって・・誰ですか・・」

「えっと・・みや・・さつきです」

「え・・?」








「四ノ(しのみや)皐月(さつき)って女子ですよ。別のクラスの」









薫は愕然として、体の力が抜け、携帯も床に落ちた。


「もしもし!もしもし!」


沙月の携帯から、加賀谷の叫ぶ声が部屋に響いた。



――――――――――――――――――


最後までお読みくださり、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ