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リベンジ  作者: たらふく
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二十五 邪魔者




「そのアンパン、うまそうだな」


B社の前で、須田が根本に言った。


「しかし、張り付いて何日目だ?」


根本はうんざりした様子だった。


「まあ仕方がない。なんせ一億だからな」

「んだな。成功したらうまいもん腹一杯食ってやる」

「あっ、出てきたぞ」


須田が、沙月と薫を見つけた。


「二人一緒ってことは、あいつらまた合コンへ行くのか」


根本は半ば呆れていた。


「二之宮は永埜さんが好きなはずだ。単なる付き合いだろ」

「よし、行くか」


二人は沙月たちの後をつけた。

しばらくすると、沙月と薫は、行きつけの居酒屋へ入って行った。


「権藤さんに連絡するか」


須田は電話を取り出した。


「もしもし、権藤さん」

「動きがあったか」

「二之宮と今井が居酒屋へ行きました」

「そうか・・」


権藤はしばらく考えた。


「どうします?」

「よし、今日は泊を行かせる」

「永埜さんは?」

「ここらで、飯田に婚約者がいることをほのめかす」

「なるほど」


そして、しばらくすると、須田と根本のところへ泊がやって来た。


「泊、お前一人で大丈夫か」


須田が訊いた。


「大丈夫っすよ!へまなんてしませんて」

「よし、俺たちも時間を置いて入るからな」


そして泊は店へ入り、沙月と薫を見つけると「あっ、いたいた~」とわざとらしく近づいた。

泊は強引に薫の横へ座り、沙月に「社長と別れていいのか」と訊いた。

そこから泊は、泣きの芝居を打った。

そして無理やり見合いをさせられたことを告げた。

更に、飯田は沙月のことが好きで、「なあ、坂槙。どうして僕はこの家に生まれたんだろう。もっと普通の家に生まれていれば、沙月と結婚できたのかな」というセリフを吐いた。


泊は思った。

普通、女性ならここまで言われて嬉しく思わないはずがないと。

必ず心が動くものだと。

そして沙月に「二之宮さんが陸斗のことが嫌いなら引き下がりますけど、二之宮さん、どうなんすか!」と念を押して店を出た。


「やっぱり今井は邪魔だな」


近くの席で聞いていた須田が、根本に言った。

薫は終始、沙月の盾となっていた。


「これじゃ同じことの繰り返しだぞ」

「あの女を二之宮から引き離さないとな」



―――それから六日後。


「永埜さん、今井がA社へ向かってます」


根本が永埜に連絡をした。


「マジか」

「早く行った方がいいですよ」


そう。

薫は永埜に直談判をしようと、A社へ行ったのだ。

永埜と浅井は、急いでA社へ向かった。


「すみません、飯田陸斗さんはおられますか」


薫が受付で訊いた。


「失礼ですか、どちら様でしょうか」


浅井は受付嬢らしく接した。


「今井薫と申します」

「今井さまですか・・。どういったご用件でしょうか」

「二之宮沙月の同僚って言ってもらえばわかります」

「左様ですか・・お待ちくださいませ」


そして浅井は永埜に連絡をした。

もちろん内線電話は「にせ」だ。

内線電話の受話器を手にしていたが、膝の上には携帯電話を通話にしていた。


「今井さま、ただいま飯田が参りますので、あちらのソファに掛けてお待ちくださいませ」


薫は言われた通りソファで待った。


「薫さんじゃないですか」


永埜はエスカレータから下り、薫の前まで行った。


「飯田さん、お仕事中、すみません」

「どうされたのですか」


永埜は薫がなにしに来たのか、少し不安に思った。


「あの、こんなこと言いたくないんですけどね、もういい加減、沙月のこと諦めてくれませんか」

「え・・」

「この間もね、坂槙さんから聞きましたよ」

「ああ・・はい」

「飯田さんの立場や、これまでの恋愛のことは沙月には関係ないんですよ」

「・・・」

「坂槙さんは、陸斗と付き合ってくれ、みたいなこと言うし。沙月はもう何度も断ってるでしょ」

「はい」

「これ以上、しつこくすると、私、許さないからね」

「・・・」

「坂槙さんにも言っといてください」


そして薫はA社を後にした。



―――ここはアジト。


「・・というわけなんです」


永埜が権藤に話をした。


「困ったな・・」

「どうします?」

「ちょっと脅かしてやるか」

「と、言いますと?」

「おい、根本」


権藤が根本を呼んだ。


「なんですか」

「お前、ちょっと耳を貸せ」


権藤は根元に耳打ちをした。


「えっ・・それって一つ間違えば、殺人になりますよ」

「だから、ほんの少しでいいんだ」

「いや、難しいですよ」

「どうしても、二之宮から引き離さねばならないんだ。一億が掛かってるんだぞ!」


根本はそう言われ、渋々権藤の提案をのんだ。


ここから根本は以前にも増して、薫にぴったりと張り付いた。

そして三日後だった。


薫が信号待ちをしているところに、ちょうど車が走ってきたタイミングで、根本は人混みに紛れ後ろから薫を押した。

急ブレーキの音がし、倒れた薫を確認して、根本は慌ててこの場を去った。

根本は「お前が悪いんだぞ」と、必死に罪から逃れようとしていた。

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