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リベンジ  作者: たらふく
21/35

二十一 終焉




―――それから数日後。


私はどうしても真相を確かめたくて、飯田のマンションまで来ていた。

飯田が帰って来るまで、飯田に会えるまで、何日でも通うと決めていた。


予想通り、簡単には会えず、私が通い出して一週間が過ぎた日の夜だった。

飯田は、あの女性と帰ってきた。


「陸斗さん」


私は二人の前まで歩み寄った。

すると飯田は私を見て驚いていた。

というのも、私の「なり」は以前にも増して酷かったからだ。

鏡を見ることも、ましてや化粧をする余裕など私には一ミリも残っていなかった。

その横で女性は、薄ら笑いを浮かべていた。


「沙月・・」


私は女性の不可解な微笑みが気になったが、無視して続けた。


「訊きたいことがあるんだけど」


「もうやめようよ」

「出張へ行ってたと聞いたけど、ほんとなの」

「・・・」


飯田は顔を逸らした。


「まさか嘘をついたの?」

「だから・・もうやめようよ」

「それから坂槙さんよ。態度が180度変わってた」

「・・・」

「そしてあの居酒屋。あなたの行きつけの」

「・・・」

「店を貸してたってどういうこと?」

「それ、何の話?」

「この間行ったら、別の店長がいてそう言ってたの」

「店を貸すとか、それって、僕と何の関係があるの」

「本当のことを言ってよ!」

「ずっと言ってきたじゃないか」

「私に何をしたのよ!最初から騙す魂胆だったんでしょ」


「ねぇ、二之宮沙月さん」


女性が私を呼んだ。


「なんですか・・」

「愛する人を失う気持ちってわかったかしら」

「え・・」

「わかったの?」

「ど・・どういう意味ですか・・」

「まあ?だいぶ痛い思いをしたようね。今のあなたを見ればわかるわ」

「あなた・・なんなんですか」

「私は飯田さんの婚約者よ」

「・・・」

「もう諦めなさい。あなたと飯田さんは終わったの」

「陸斗さん、真実を話して!」


私は再び飯田に詰め寄った。


「真実も何も・・終わったことだよ」

「そうよ、終わったのよ」


女性は飯田の腕に手を回して、そう言った。


「もうあなたの入る隙間なんてないの。わかった?」

「・・・」

「飯田さんを忘れられる日が訪れるまで、まだ苦しい思いをするだろうけど、悪く思わないでね」

「・・・」

「さ、飯田さん、行きましょうか」


飯田は私を見ながら「ああ・・」と呟いた。


「陸斗さん!もう・・もう私のこと・・嫌いなの・・?」

「沙月・・」

「嫌いなの?私が花嫁修業をしたのが嫌だったの?私のどこがいけなかったの」

「・・・」

「私のこと、まだ好きなの?嫌いなの?お願い、はっきり答えて」

「嫌いだよ・・」


飯田がそう言うと、女性はまた薄ら笑いを浮かべた。


「そっ・・そんな・・」

「沙月、元気でね」


そして二人はマンションの中に消えた。


なんなのこれ・・

私って・・一体なにをやってるの・・

この数か月間は・・なんだったの・・


私は歩くともなく歩いていた。

とめどなく流れる涙を、拭うことすらできないでいた。


薫・・まだ怒ってるかな・・

薫の声が聴きたい。


私は携帯を手にして、薫に電話をかけた。


「薫・・」

「なんか用?」

「薫・・薫・・うう・・」


薫の声を聞いたとたん、私は言葉にならず、泣くしかできなかった。


「沙月!どうしたのよ」

「ううん、なんでもない」

「バカッ!なんでもなくないじゃん!」

「私・・飯田さんに遊ばれてたの・・」

「・・・」

「やっぱり婚約者がいて・・その人と結婚するんだって・・」

「沙月・・」

「私・・飯田さんに嫌いだって言われちゃった」

「もう、いいから!今から私の家においで」

「いいの・・?」

「いいに決まってるじゃん!バカッ」

「薫・・ありがとう・・」

「待ってるからね!」

「うん・・今から行くね・・」


そして私は電話を切った。


薫・・怒ってなかった。

私を心配してくれてた・・


私は更に涙が溢れ、目の前も霞んでよく見えない程だった。

そこで私はタクシーを止めようと車道に出た。

すると突然、キキーッという急ブレーキとともに、車が私の目の前に現れた。

そして私は車に轢かれ、即死状態で人生の幕を閉じた。

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