第五話:ボロ家を購入する
「ヒロセ、またなー。死ぬんじゃないぞー。わしに会いたかったらギルドに来るんじゃぞー」
「分かった。タマもまたなー」
あれから近所の酒場でしこたま飲んだ俺たちは路上で夜を明かし、もつれ合ってねているところを衛兵に起こされた。
めっちゃ、酔っ払っていたからもつれ合ってたっていってもよく覚えてない。
でも、ちょっと柔らかかったのは覚えている。
俺たちは衛兵にペコペコとあやまり、またなーと言って別れた。俺の稼ぐ手段が見つかりタマも肩の荷がおりたのかもしれない。
豪快に見えて、けっこう世話焼き娘?である。
たまには世話になったし、いつか恩返しがしたい。
そのためにも、もっともっと稼がないとな。
◇
それからの俺はまいにち市場に通って壊れた掘り出し物を探し、修理し、売った。売りまくった。
「おっちゃん、これいくらだ?」
「これか? これはそうだなー。20万でどうだ?」
鑑定!
【名前】 壊れた連撃剣
【内容】 壊れて性能が劣化している連撃剣。修理には鉄が必要
おお、すごそうな剣だな。壊れてるってことはもっと値切れるな……。
「おっちゃん、誰がそんな剣に20万払うんだ?」
「うっ、じゃじゃあ、10万でどうだ?」
「10万でもたかい。壊れてるからなー。2万でどうだ?」
「2万じゃ、うちがつぶれちまう。6万」
「6万かー。じゃあ、5万でどうだ?」
「5万。。。よし、5万5千で売った。これ以上は無理だ」
「よし、分かった」
こんな調子で俺はいろんな壊れている掘り出しものを探しまくった。そして、材料を探し修理して売りを繰り返した。
結果、2週間ほどで300万マネーをてにいれることができた。宿屋代とか食費とか、もろもろ生活費を引いて300万マネーだから、けっこうかせげている。
初日の結果と合わせると498万といったところか。。。
事実、日本で生活していた時は手取りが20万とかだったから、それに比べるとかなり稼いでいる。
だが……。
「う~~~ん。何か、ブラックじゃないけど……。なんか違うんだよな」
そうだ。俺の夢はのんびりとした生活だ。俺がぐるぐると働いて稼いでものんびりはできない。
働かないでのんびりしてても、手元にマネーが転がりこんでくるのが俺の理想だ。
何かないか? 働かないでのんびりしててもマネーを稼げる仕事。
「何かないか? 何かないか?」
ぶつぶつとつぶやきながら、俺はニアの街を歩き回った。
特に理由があったわけではないが、歩いていると何かひらめくことがある。
「何かないか? 何かないか? ん?」
その時、いまにも朽ちてくずれそうな2階建ての建物が俺の目に入ってきた。
瞬間、ひらめいた。
「そうだ、不動産経営だ。俺は大家になる!!」
大家になるといってもまだ498万マネーしかない。たぶんこれではたいないだろう。
こういうときどうするんだっけ?
そういえば、日本にいたときテレビでおばさんが、中古物件を買ってリフォームしてから、高値で売ってる特番を見たことがある。
よし、そうときまったらこのボロ家を購入してみるか。
「あの~、この家を買いたいんだけど、持ち主しってます?」
俺は近くの家の前をそうじしていたおばさんに声をかけた。
「ああ、あの家ねー。昔商人さんが住んでたんだけどね……、事業に失敗して夜逃げしちゃってね。縁起が悪いんで売れ残ってあんな感じになってるんだよ。不動産屋さんにあんたをつれてったら、きっと大喜びさ」
「じゃあ、買うんでつれてってください」
「分かったよ。ついてきな」
おばさんに連れられて俺は近くの不動産屋に行った。俺があのボロ屋を購入すると分かると不動産屋はすごい笑顔で近寄ってきた。
「いや~、よかったですよ。でも、本当にあの家を買うんですか? すごくぼろいですよ。あ~、分かりました。取り壊して、新築をたてるんでしょう?」
「いや、リフォームしようと思っている」
「え? リフォームですか? あの家をリフォームするなら、新築にしたほうがいいと思いますけどね。ああ、わかりました。味がある家がいいんですね?」
「ああ、まあそんなとこだな」
そんなわけで俺は不動産屋と交渉した結果、あのボロ家を400万マネーで買えた。
最初不動産屋は500万マネーでどうですか?と言ってきたが、あんな家売れないだろう?というと、400万マネーになった。
よし、あとはリペアでリフォームして、あの家を高値で売るぞーと。
◇
【名 前】 広瀬康介
【年 齢】 30
【職 業】 無職
【レベル】 1
【体 力】 10
【魔 力】 500
【攻撃力】 5
【耐久力】 5
【素早さ】 5
【スキル】 鑑定Lv3、リペアLv3、異世界召喚セット