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第四話:初めての修理

 「ここが市場じゃ~」

 「おお!」

 

 市場は熱気に満ちていた。

 あちこちに露店がならんでいて、お客と店員の白熱したやりとりがいろんなところから聞こえる。


 まずは軍資金をつくるために日本から持ってきたものを売ろうと思う。スーツに靴、カバン、財布、ハンカチ、ペン、手帳、ノート、スマホ、腕時計。こんなところか。


 スーツと靴は使うし、スマホもな……。腕時計なら売れるかも。

 

 「どうしたのじゃ?」

 「いや、金がないからこれでも売ろうと思って」

 俺は腕につけていた腕時計をタマに見せた。


 「おお、お~~~。これは時計か? こんなにコン

パクトで精巧な時計初めてみたのじゃ。くれくれくれ。いや、買うのじゃー。いくらなのじゃ?」


 「いくらって言われても」


 「この商売上手め。よし分かった。もってけドロボー」


 そういってタマはずしりと重たいきんちゃく袋を俺に投げよこしてきた。

 袋を開けるとそこには金貨がどっさりとつまっていた。


 タマは腕時計を手にもって眺めながら、にやにやとしている。


 ≪ピロリーん。100万マネーを手に入れた≫

 

 ◇

 

 近くにあった露店をのぞいてみる。つぼやブレスレッド、そのほかにカバン、剣や盾などの武器や防具も並べていあるようだ。どれも古びているから中古品なのだろう。


 よし、鑑定を使って価値あるものを見つけよう。

 鑑定!


 【名前】 ただのツボ

 【内容】 ニアの街特産のつぼ。ちょっと古びている


 【名前】 壊れかけのカバン

 【内容】 新人のカバン職人が作ったカバン。とってがとれかけている


 【名前】 錆びた剣

 【内容】 さびたなまくらの剣


 ……


 ……


 ……


 う~~ん、ろくなものがないな。やっぱり、鑑定で掘り出し物を見つけて儲けよう大作戦はなかなかうまくいかないな。


 ≪ピロリーん。スキル鑑定のレベルが2にあがりました≫

 おっ、鑑定のレベルがあがった。


 と、そのときひとつの指輪に目がとまった。真っ赤な宝石がついている指輪でちょっとくすんでいるような感じだ。 


 【名前】 壊れた耐火の指輪Lv3

 【内容】 ひびが入っていて効果が半減している耐火の指輪。いつ壊れるか分からない。炎の魔石があれば修理可能。


 おお、これはもしかして掘り出し物では? 

 

 「店員さん、これいくら?」

 「これはひびが入っているから10万マネーになります」


 おや? 10万マネーか。。。妥当なのか? いつ壊れるか分からないことを含んでの値段なのだろうか? タマのほうを見ると首をふるふるとふっている。なるほど、魔法使いの彼女はこういうものには目利きがあるはずだ。


 ということは。

 

 「10万マネー? でも、こんなの誰が買うんだ?」

 「どういうことです?」

 「だって、いつ壊れるか分からないものに命なんてあずけられるか?」

 「うっ。では、5万でどうです?」

 「う~~~ん」

 「で、では3万でどうです」

 「あと、ひと声」

 「2、2万で……」

 「よし、買った」


 俺はタマからもらったきんちゃくから金貨を2枚店員に手渡して、店をあとにした。


 「いやー、いい買い物をした」

 「そうかの~。わしはいつ壊れるか分からんものを装備したくはないの~」

 「いやこれは直して売ろうと思っている」

 

 ひび割れた状態で10万だったんだ。

 これをリペアで修理して売れば、数十万マネーにはなるんじゃないだろうか。

 

 俺はそんなことを考えてニマニマしていたら、

 

 「なおしてじゃと? 壊れかけの石がついてる魔道具なんてどうやってなおすんじゃ? 直す方法なんてないじゃずなんじゃが」

 

 「それが直せるんだよ。俺のスキルリペアで」


 「なんじゃと。それが本当なら、なんて便利な……」

 タマがかわいいお目目をこれでもかと見開き驚いている。やっぱり、俺のスキルはけっこうレアなようだ。


 「でも、なんか炎の魔石がいるらしいんだが」

 「炎の魔石? そんなものは魔道具やとか魔石屋とか、そんなところにごろごろしているぞ。わしもこのとおりもっておるし」


 タマはがさごそとローブのポケットをあさり始めた。これでもない、あれでもないとポケットの中をさがしている。そんなに容量のあるポケットには見えないが。


 「ほれ。さっそくリペアを見せるのじゃ」

 見つけた魔石をこっとにぽいっと投げよこしてくる。

 そんな扱いなのか、炎の魔石。


 俺は右手に耐火の指輪を左手に炎の魔石を持った。


 「リペア!!」

 スキルリペアを唱えると左手に持った炎の魔石が消えて、耐火の指輪が輝きだした。数秒のあと輝きが収まり、そこには


 「「おおー」」

 

 真っ赤できれいな宝石のついた耐火の指輪がたんじょうしていた。


 ◇


 「まいどありー」


 リペアで修理した耐火の魔石を俺は露店の魔道具屋で売った。基本こっちの世界は交渉してから売買をするようで、何回か交渉したら買取価格がけっこうあがった。


 「けっこう金になったな」

 「そうじゃな。けっこうレベルの高い魔道具じゃったからな。それが新品にちかくなったのじゃ。あの値段はだとうじゃろうな」


 「よ~~~し。タマ、今日はおれのおごりでのみにいこうぜ!! タマには世話になったしな」

 「ほう、殊勝なこころがけじゃな。それでこそ、ゴブリンから救ったかいがあっとというものじゃ。わハハハハハ」



 ≪ピロリーん。100万マネーを手に入れた≫

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