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第十七話:ヒロセ、204号室を開ける。

 いつものように、スラちゃんとちみっこ妖精と俺がアパートの庭で遊んでいると、


 「ヒロセー、全然、アパートに人はいらないねー」


 俺の頭上を飛びながらちみっこ妖精が、実に耳に痛い言葉を投げかけてきた。


 「そうだなー」


 俺はそうだなーと答えた。


 ちみっこ妖精とスラちゃんと楽しくアパート生活をエンジョイしていたから気づかなかったけど、そういえば俺このアパートを投資目的で買わなかったっけ?


 ちみっこ妖精からはお花の蜜をもらう予定で、スラちゃんはペット枠だから家賃はとってない。


 このままでもいいけど、何人か住人が増えると不労所得的にはうれしい。


 う~~~ん。


 「なんでだろうねー」


 ちみっこ妖精が無邪気に聞いてくる。


 「なんでだろうな。たぶん、ボロイからだろうなー」


 「なんとかならないのー」


 なんとか? そうだ。。俺にはスキル リペアがある。材料を集める必要はあるけど、それを使えば一瞬でボロアパートを修理できる。


 なんで俺はボロアパートを修理して空室の部屋を住人でいっぱいにしようとしなかったんだ?


 空室を埋めるなんて大家にとっては基本的なことじゃないか。


 でも、なんとかしたら。。。


 「何とかはなりそうだけど、人がいっぱい来たら、大家大変になりそうだしな……」


 そうなんだよな。人いっぱい来たら、大家の仕事絶対に多くなりそう。


 今はスラちゃんとちみっこ妖精だけだから、のんびりできてる。けど、新しい住人が来たら大家さんあれやってこれやってとか言われそうだな。


 日本でサラリーマンをしていた時のトラウマがよみがえってくる。ヒロセ、あれやれ。ヒロセ、こっちもやれ。ヒロセ、休日空いてるよな?


 サラリーマンだったけど、全然サラリーなマンじゃなかったな。。サービス残業マンだった。


 不労所得はもちろんほしいけど、大家が大変になるのは嫌だぞ。


 なんとか、住人を増やしても大家業が大変にならない方法はないかな?


 そんなことを考えていると、


 「わたちが手伝ってあげようかー?」


 ん? そうかだれかに手伝ってもらえれば……。ちみっこ妖精とかスラちゃんには難しいかもだけど。。


 「ちみっこ妖精はちっちゃすぎて大家のアシスタントは難しそうだなー」


 「え~~~。あっ、じゃあ、ヒロセくらいの身長があったらいいの~?」


 「ん? そうだな。俺くらいの身長があったらいいかもな」


 「それだったら、わたちに心当たりあるのー。ついてきてー」


 ちみっこ妖精はついてきてーと、パタパタと飛んでアパートの2階に上っていった。


 おかしいな、アパートには3人(俺、スラちゃん、ちみっこ妖精)以外に誰もいないはずだから、もちろん2階にちみっこ妖精の心当たりがいるわけはないはずだけど。。


 不思議に思いながら、俺はちみっこ妖精の後を追いかけてアパートの2階に上がっていった。


 「ヒロセー、こっちこっち~」


 2階にあがると、ちみっこ妖精はちょうど204号室の前でパタパタと羽ばたいていて、俺をこっちこっち~とやっていた。


 まったくなんだというのか。204号室は空室だろ。


 「どうしたんだ、ちみっこ妖精。204号室は空室だから、誰もいないはずだよな?」


 「う~~~、ヒロセ、ごめんねー」


 ガチャリ。。


 「妖精さん、どうしたんですのー」


 …………。


 ……。


 …。





 「なっ」

 「きゃっ」


 俺は超絶に驚いた。それはそうだ。誰もいないはずの204号室から、誰か出てきたんだからな。。


 そして、当然相手も驚いている。そりゃそうだ。妖精さんが外にいると思ってドアを開けたら、俺もいたんだからな。


 「ちみっこ妖精、これはどういうことだ?」


 俺はちみっこ妖精にことの真相を聞き出そうとした。


 「それはねー」


 「それは?」


 「えーと、だからね~~~」


 「だから?」


 「つまりねー」


 「つまり?」


 「うん。204号室の住人さんだよー」


 「ほう。204号室の住人さんだよー」


 「そうだよー」


 「……。どういうこと?」


 ちみっこ妖精に聞いた俺がばかだった。ちみっこ妖精の家賃はお花の蜜だった。そうだった。そうだった。


 …………。

 ……。


 ……訳が分からなくなった俺は、とりあえず204号室から出てきた本人に話を聞いてみることにした。

 

 

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