第十六話:ヒロセ、ドラゴンの巣を修理する
「到着じゃー」
猛スピードで空を飛ぶこと数十分、どこだか分からないでっかい山の中腹当たりにあるでっかい洞穴の前に俺たちは着陸した。
「うー、死ぬかと思ったぞ」
なぜ生身の人間が飛行機みたいに空中を飛んで無事だかは分からないけど、おそらく、タマの魔法のたまものだろう。
でも、なん十分も空を飛んでみろ。死にかけるぞ。
「やっぱり、お主は軟弱なのじゃ。ゴブリンにやられかけるわけじゃ」
「俺の戦力はありんこ並みだからな。。。」
「それよ、ふぉっふぉっふぉ」
タマは豪快に笑いだした。まったく、自分が強いからって。。
「それで、このでかい洞穴がドラゴンの巣なのか、そとから見た感じは全く問題ないようにみえるが」
「ふむ、この洞穴はでっかいし、なかなか長いからの。おそらく、途中で崩落か何かしているのじゃろー」
「見てないの?」
「見てないのじゃー。魔法で助けて―と言われたのじゃ」
なにそれ。魔法便利だな。それに助けて―って。仮にもドラゴンが。何やらかわいい感じだが、人間をむしゃりとしたこともあるようだ。気をつけねば。
「それで、そのドラゴンはどこにいるんだ?」
「うん? そこにいるのじゃ」
俺の疑問を聞いたタマは俺の後ろに指先を指示した。何~~~~~。
「まさか、でっかい岩があるとは思っていたが……、これがそうなのか?」
俺は後ろを振り向き、そのでかい岩改めドラゴンを見上げた。でかいな。こんなのが暴れたら一たまりもない気がするけど、大丈夫なのだろうか。
「そうなのじゃー。おそらくわしらを待っている間に眠りこけでもしたのじゃろーて。お~~~い、ポテチおきんか。おーい。修理屋をつれてきてやったぞーい。ポテチ―」
なんだと、ポテチだと。そんなおいしそうな名前のドラゴンがいるのか?
「う、う~~~ん。あ、、タマ、キタカ。ワタシ、マチワビタ」
でかいドラゴンは羽根をいっぱいに広げて4本脚で立ち上がり、漆黒の瞳をこちらに向けてきた。
「急じゃったからの。それより、お主の巣を修理してくれる人間を連れてきたのじゃ。それがここにいるヒロセじゃ」
「ヒロセだ。よろしく。食ってもうまくないぞ」
俺はビビりながらもそういった。殺されないよね。
「ワタシ、ポテチ。ス、コワレタ。シュウリ、ヨロシク」
「それで、どこが壊れたんだ?」
「ス、トチュウ、コワレタ。アンナイスル」
そういうとドラゴンは俺たちの上をまたいで通り過ぎ、洞穴に入っていった。結構理性的なドラゴンだけど、本当に人を食ったのだろうか?
「ほれ、ヒロセ、惚けてないで、ついていくのじゃ」
「分かった」
そうして俺たちはドラゴン改めポテチの巣に入っていった。
~しばらく歩いて~
「ヒロセ、ココ、コワレタ。ネドコ、アッチ。ハヤク、ナオス」
洞穴の中を歩いていた俺たちはしばらくして崩落の現場に到着した。でっかい通路がまるまる上から落ちてきた岩で隠れてしまっている。
それにどうやら、この崩落のあっち側に寝室があるようだ。だから、外で寝ていたのか?
「ヒロセ、どうなのじゃ。直せそうか?」
「うーむ。大丈夫だと思うけど」
ひさびさにあの技を使ってみるか。。
鑑定!
【名前】 崩落したポテチの巣穴
【内容】 崩落して先に進めなくなっている。修理には岩が必要
おお、なんかすんなり直せそうだな。岩はあるし。
「よし、それじゃあ、ぱっぱと直してしまうか」
崩落した岩まで俺は歩いていき、左手を岩に右手を地面につけた。
「リペア!!」
すると、崩落現場全体が輝きだし、ちょっとまぶしいなと思っていると、光が弱まっていき、
「おおー、直ったようじゃな。いつみてもすごいのじゃー」
「スアナ、ナオッタ。スゴイ、ハヤカッタ。ミタコトナイ」
「ふむ」
そこにはすっかりと通れるようになった通路が誕生していた。
≪ピロリーん。スキルリペアからのスキル派生。ヒロセは、スキル リノベーションを覚えた。てってれー≫
◇
ポテチの巣を直した俺は、ポテチからお礼にと山ほどの金貨をもらった。どれくらいかは数えてないので分からない。とにかく、山ほどだ。
そして、もうひとつ。
「ヒロセ、オトモダチ」
どうやら、俺は山ほどの金貨と、山ほどでかいドラゴンの友達を手に入れたようだ。
◇
【ヒロセの持ち物】
1000万マネーのボロアパート、にゃむ商会の株50%(1000万マネー)、現金 7918万マネー、山ほどの金貨
【ボロアパートから入ってくるお金?】
プラス:たまにお花の蜜、スラちゃんの癒し
マイナス:維持費年間50万マネー
【にゃむ商会から入っているお金?】
配当金?マネー、お米?キロー
【マティカへの将来への投資】
マティカへの仕送り:毎年150万マネー
スキル リノベーションとはいったい?