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いろいろなはじまり

 三日後――。

 

 鉱山からほど近い場所に俺の工房を建てることになった。

 鉱山の中はダンジョン化してるらしいが奥へ進むほど貴重な素材が手に入るって話じゃねえか。

 こいつはいつか探検に出ないといけないな。

 そして今日は工房の竣工式だ。

 

「し、師匠!」

「むっ? リアンか。師匠って呼ぶのはやめてくれって言ってるだろ」

「師匠は師匠っす! これからよろしくお願いします!!」

「分かったよ。……ったく、頑固なところまで俺に似る必要はねえからな」

「俺、師匠と何でも同じになりたいです! ぽっ」

「だからその『ぽっ』ってなんだよ。まあ、いいやこれからよろしく頼むぜ」

「え? あ、あ、握手っすか!? いきなり濃厚なスキンシップっすか!?」

「なんだそりゃ? もういい。そら、手を出せ」


――ガシッ!


「ひゃっ! し、師匠の手が俺の手を……! ありがとうございますっ! この手は一生洗いません!!」

「いや、頼むから手洗いうがいはしてくれ」

「はい!! 師匠がそうおっしゃるなら、はなだな無念ではありますが、この手を洗います!! うふふ」


(ぐぬぬぬぅぅぅ!! やい、やい! リアン!! ちょっと可愛い顔したイケメンだからって、マルコといちゃいちゃしてするなんて許さない! 本来ならばあんたのポジションには私がおさまる予定だったんだから! でも国の英雄たる私には魔物を倒すという使命が課せられた運命だから、マルコは泣く泣くあんたを選ばざるを得なかった。そのことを忘れて幸せそうな笑みを浮かべてるんじゃないわよ! きいいいぃぃ! 悔しいっ!)


「そういえばリアンは背中にイイ筋肉をもってるじゃねえか」


――すりすり


「ひゃっ! い、い、いきなりラブなシーンっすかっ!?」

「はぁ? なんだか分からねえが、俺はおまえさんのここに惚れたんだよ」


(ぐはあああああっ! ほ、ほ、惚れたですってぇぇぇ!? むっきぃぃぃぃ!!)


「し、師匠!? い、い、いきなり愛の告白っすかっ!? ど、ど、どうしようっす」

「いや、そういうわけじゃねえんだけどな……。なんだかおまえさんの反応が良く分からないんだが……」

「も、申し訳ございません! 俺……俺、好きなんすよ! 師匠のこと!! 一目ぼれだったんす!!」


(ぐはあああああっ! な、な、なんて不埒な!! 師匠と弟子の禁断のBLとか、誰得だっつーの!)


「お、おう。ありがとな。そんなに俺の武器を気に入ってくれて嬉しいよ」

「し、し、師匠の武器!? ま、ま、まさかここで師匠の武器を披露っすか!? いや、え、うん。なら俺も……」


――ぬぎぬぎ。


(きゃああああ!! なんてことしてんのよ!! やめなさい! マルコの武器って、あんた発想が卑猥すぎるわ!!)


――ササッ!!


(ほえ?)


「きたああああああ!! 『受け』の少年の柔らかそうな白い肌、きたああああ!!」

「うわっ!? メルルか!? なんでおまえさんがここに!?」

「聞けばお主の武器工房の竣工式だというではないか! きっとここなら男と男のぶつかりあいが見られると思って、わざわざ王都から飛んできたんじゃ! ささ、マルコ! 早くお主も脱げ!!」

「はあああ? なんでだよ!?」

「竣工式じゃ! 愛の竣工式じゃああああ!!」

「そうだよ、マルコくん。そろそろ汗をかきたまえ。いつまでたっても式が始まらないじゃないか」

「ルベルガー将軍! だからなんでそうなるんだよ!?」

「あーーー!! マルコおじさん!! なにやってんのぉ!? おじさんの『初めて』はうちにくれるって、うちが5歳の時に約束してくれたじゃん!!」

「げっ! アリエッタ!? なんでここに!?」

「あはは! ママが支店をここに作っていいっていうからきちゃった!」

「ちょっとマルちゃん! イケメンと爆乳少女に囲まれてデレデレしてるんじゃないわよ! 私というフィアンセがいながら!!」

「なっ!? イロハ!? どうしてここに……」

「約束どおり町の工房は私が続けるわ。でもここならイイ素材が手に入るっていうじゃない。だから時々取りにこようと思ってるの。その途中でマルコの部屋に忍びこんで……もとい、部屋に立ち寄ってあれやこれやするのよ!」

「あれやこれやが気になるが……」

「ふふ。じゃあ、役者がそろったところで竣工式を始めようじゃないか!」



「ちょっと待ってくれ!!」


「ん? マルちゃん、どうしたの?」


「一人、大事な奴を忘れてるだろ」

「え? 誰のこと?」


――ビシィィッ!


「エルミリーだよ!! そんなところに隠れてモジモジしてないで出てこいよ!!」


「マルコ……」


――ザッ。


「もとはと言えばエルミリーが俺のことをモジモジしながら見ていたことから始まったんだ」

「え、でも、あれは……」

「だから俺がこうして自分の工房を持てるようになったのも、エルミリーのおかげだと思ってる」

「マルコ……」


――ガシッ!


「俺が一番祝福して欲しいのはエルミリー……おまえさんなんだよ!!」

「マルコ!」

「エルミリー!!」


………

……


「ぐがああああああ! ごおおおおお!!」

「エルミリー殿! エルミリー殿!!」


――むくっ。


「ん? ほえ? カイトさん? ここは?」

「馬車の中じゃよ」

「馬車?」

「昨日、やけ酒をしてそのまま倒れてしまったのを覚えておらぬのか?」

「ほえっ? 私が?」

「ああ、『私は認めない! マルコが武器工房を持って遠征から離れるなんて認めないんだから!!』と叫びながらワインボトルを5本もがぶ飲みしてのう」

「うそ……」

「けっきょく朝になっても目を覚まさなかったから、マルコ殿の武器工房の竣工式を欠席させ、みんなで馬車にのせて遠征先に向かってるというわけじゃ」

「え……え、うそ……」


――しょぼぼぼぼーん……。


「そうじゃ。マルコ殿からコレを預かっておる」

「え、マルコから? これは……。手紙?」

「ああ、そうじゃ」

「ありがとうございます」

「うむ。もうすぐ次の街に到着じゃからのう。そのまま休んでくだされ」

「はい……」


(そんな……。私、最悪ね。何が完全無欠よ……。へっぽこじゃない。だから見向きもされないんだわ……)


――ポロッ……。


(ううう……。どうせこの手紙の中だってたいしたこと書かれてないに決まってるわ……)


――パラッ。


『エルミリーへ


 手紙は苦手だからよ。手短かにしとくぜ。

 

 ありがとな。

 

 おまえさんが食堂でモジモジしながら俺を見てくれてなかったら、今こうして俺が自分の工房を持つことはなかったと思うんだ。

 おまえさんには感謝してる。

 本当にありがとう。

 

 あとな。

 いや、これは次に会った時にちゃんと言おうと思ってるんだけどよ。

 どうやら俺はおまえさんに惚れちまったらしい。

 だが自分でもあんまりよく分かってないんだ。

 だから次会った時に、しっかりと気持ちを伝えたいんだよ。

 

 急にこんなことを言われても困っちまうのは分かってるつもりだ。

 だけど今こうして伝えておかないと後悔するような気がしてな。

 

 じゃあ、遠征がんばれよ。

 あんまり無茶してケガするんじゃねえぞ。

 

 また会える日を楽しみにしてる。

 

 マルコ』

 

「マルコ……。マルコ……。マルコォォォォ!! うわあああああ!!」


◇◇


 こうして私、エルミリーとマルコの恋がはじまった。

 でも、これから二人に様々な困難が待ち受けているなんて、神様でも想像してなかったと思うの……。

 

 

「将軍!!? なんで将軍が……」

「ふふ。驚いたかい? エルミリーくん」

「うそ……。うそって言ってください!!」


――バッ!!


「ははは!! ウソなんかじゃない! これが本当のボクの姿さ!!」

「やだ……。私は認めない!」


――ギリッ!!


「ルベルガー将軍が『魔王』だったなんて!!」



 第一部 完





いったんここで区切りといたします。

続きは要望があれば、いつか書きたいなぁと考えております。


お読みいただきまして、まことにありがとうございました。


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