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きんにくの神様! ありがとう!!

 

 しかし困ったなぁ……。

 キラーボアの大群を片付けたはいいものの、また将軍に無茶を言い渡されちまったぜ。

 

 以下、回想。

 

『ふふ。マルコ君! 君のかいた汗のおかげで……。もとい。君の作ってくれた武器のおかげでみごとにキラーボアの大群をみんなで撃退することができたよ!』

『おう。そいつはよかった』

『そこでだ! 君にはもっと汗をかいてもらって、その汗をためておいて欲しいんだよ!』

『はっ?』

『ははは! つまりは『汗のダム』を作って欲しいというわけさ』

『いやいや、言ってる意味が分からんのだが……』

『では真面目な話をしよう!』

『……やっぱり自分でもふざけてるって自覚があったってことかい』

『君には自分の工房を作って、武器を作り続けて欲しいんだよ。それを僕たちや魔物の出現に困っている村や町に分けて欲しい。君が住んでいた町の工房では手に入る素材も貧弱だし、なによりも僕たちの遠征先からは遠すぎる。だからここから少しだけ離れたところにかまえてほしいのさ。僕たちが遠征の間だけでいい。そこで武器を作って、かいた汗をためておいてカイト君に渡してくれたまえ。……あ、もちろん武器も手渡して欲しい』

『汗と武器、どっちが大事なんだか……』

『なにを言ってるのさ! 汗は武器、武器は汗だよ。だから両方とも大事さ』

『はあ……』

『ということで近々、工房を作る為の竣工式を行うからそのために水分をよくとっておいてくれたまえ! あ、でもおしっこで流したらダメだぞぉ。 ははは!!』

『どんな式なんだよ』


 回想、終わり。


 ……ったくよぉ。勝手ばかり言いやがって。

 しかし自分の工房を持つってのは、武器屋としての夢でもあるしな。

 遠征の間だけってならいいかなって思っている。

 

 だがエルミリーにどう言おうか……。

 俺が武器工房を持つとなると、あいつとは離れることになるからな。

 ちょっと言いづらいな。

 

 とりあえず食堂で肉野菜炒めでも食うか。

 

――カラン。カラン。


「いらっしゃいませ!」

「おう。キラーボアの肉野菜炒めを一つ頼むわ」

「はい、喜んでぇ!」


――ドスン!


「お、これは旨そうだな! ほふ、ほふ。うん! 旨い!! ……ん?」


(じーっ……)


 なんだか背中から視線を感じるな。

 気のせいか?

 

(じーっ……)


 いや、やっぱり感じる。

 よし、ちらっと見てみるか。

 

――ちらっ!


「あっ!」

「エルミリー!? なんだよ? いるなら声かけてくれればよかったのに水くせえな」

「美術鑑賞しながら至福の時を過ごしてた時だったから……」

「なんじゃそりゃ?」

「あ、いえ、そうじゃなかったわ! あはは……」

「おかしなやつ。ところでおまえさんは何か食ったのか?」

「ほえ? なにも食べてないけど、見てるだけで満たされるから」

「なにを言ってるんだ? まあ、いいや。おーい! 肉野菜炒めもうひとつ頼むわ! 肉マシマシ、ご飯超特盛りでな!」

「はい! 喜んでぇ!」

「まあ、ここに座れよ。おまえさんに話さなきゃなんねえことがあるんだ」

「ほえっ!?」


(な、な、なにこの展開は!? 私はただ『自分の武器工房を持たない?』って言おうと思ってたんだけど、どう切り出していいか分からずに、マルコの背中をながめていたのに、まさかマルコの方から話があるなんて……。

 ん? なんだか浮かない顔だわね。

 ま、まさか!?

 

 以下、妄想。

 

『エルミリー。今日はおまえさんに話があるんだ』

『いやっ! 聞きたくない! どうせ別れ話でしょ!』

『……なんで分かったんだ?』

『だってこの前だって上の空だったし。他の女のことを考えていたんでしょ!』

『そうじゃねえ! 俺をみくびるな!!』

『え……? どういうこと?』

『俺はおまえのことを愛してる! でも男ってのは決断しなきゃいけねえ時だってあるんだよ! 俺はルベルガー将軍と一緒にキラーボアの大群を倒しにいくことになったんだ。もう戻れないかもしれねえ……』

『マルコ……。いやよ! 別れたくない!』

『エルミリー! お別れじゃない……』

『どういうことよ!』

『未来に出会う約束をするんだ! じゃあ、俺は行くぜ! キラーボアが俺を待ってるんだ!』

『いやあああ! マルコォォォ!!』


 妄想、終わり。

 

 おのれぇぇぇ! イノシシめぇぇ!! 一匹残らず肉野菜炒めにしてくれるわ!!)

 

「…………というわけなんだよ」

「ほえ?」


(しまった! 妄想に夢中になるあまり、かんじんなことを聞き逃してしまったわ!)


「おいおい、人がせっかく勇気を振り絞って告白したのに聞いてなかったのか?」

「ほえええええっ!? こ、こ、こ、告白ぅぅぅ!?」

「ああ……。こうなるのが俺の夢でもあったんだ。だから許してくれよな」

「ゆ、ゆ、ゆ、夢ですって! 告白が夢ですってぇぇぇ!!」


(超展開だわ! ああ、きんにくの神様! ありがとう!! 毎日拝んでよかったわ! ついに私もハッピーエンドを迎えるのね!!)

 


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