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キャンバスいっぱいに描かれた男同士の汗と筋肉はまるで龍と虎


 俺は今日。

 いろいろなものを失った……。

 

『おいっ! マルコ! もっと腰を近付けんか! 腰を!!』


『マルコ!! ふんどしの締まりが悪い! もっと尻をキュッとせい! キュッと! それでも男かぁ!!』


『マルコ!! 将軍の腹と自分の腹を近付ける! そう! それでいい! 両手は頭で組む! そうっ! いいぞー! いいぞー! なんならふんどしとふんどしがくっついてしまってもいいんだぞ!』


 信じられるか?

 幼女に罵倒されながらふんどし一丁でポージングしたんだぜ。

 しかも目の前には同じく裸の変態将軍が鼻をひくひくさせながら同じポーズとってやがる。

 それを2時間だ。一ミリでも動けば幼女の罵倒が飛んできやがる。


 え? ご褒美かって?

 んなわけあるか!


………

……


「ふええええ。で、できたよぉ」

「こ、これは!! キャンバスいっぱいに描かれた男同士の汗と筋肉はまるで龍と虎! 時には互いに牙をむき出しにし、時には互いをリスペクトしあいながら、みごとに共演している! これぞまさしく、筋肉の芸術祭だあぁぁぁ!!」

「ふふ。僕も嬉しいよ。マルコ君と汗の思い出をかけたことがね。汗をかいてたら絵がかけた、なーんてね」

「くっ……! 悔しいわ! こんな時、私が男だったらマルちゃんと濃厚なからみができたのにぃ!」


 みんな勝手言いやがって。

 俺と中二病変態将軍がふんどし一丁で腰と腰を突き合わせている絵なんだぞ!?

 こんなのが宮廷にでも飾られてみろ!

 

 以下、妄想。


『ねえ、ママ。この男の人たちなにしてるのぉ?』

『そりゃあ、愛し合ってるんでしょ。……って、ヒロくんはそんなこと知らなくていいの!』

『ふーん。あ、この人知ってるぅ! マルコおじさんだね! マルコおじさんが男の人と愛し合ってるんだねー』


 妄想、終わり。

 

 うおおおお!!

 俺はこの先ずーっと変態将軍と『そういう仲』というレッテルを貼られちまうじゃねえか!!

 なんとかしなければ!

 

「と、ところでエルミリー。その絵をどうするつもりだ?」

「ほえっ!?」


(いきなり直球の質問ね! でも『遠征中に毎日愛でるの』なんて、素直に答えようものなら、変態のレッテルを貼られかねないわ! 落ち着け、私! あたりさわりない回答に終始するのよ!)


「そ、そりゃあ、メルルちゃんは宮廷画家ですから。国王様に献上するつもりだわ」

「ぐはっ!!」


 ちょっと待て!

 それはいかん!

 そんなことしたら国王に言っているようなもんじゃねえか。

 

『しがない武器屋のおっさんと変態将軍はデキてる』


 って……。

 

「いや、エルミリー。はやまるな」

「ほえ?」

「違った。国王様に献上するのは待ってくれ」


(ど、ど、どういうことよ? マルコはこの絵をどうして欲しいっていうの?


……はっ! まさか、マルコ!?


以下、妄想


『……これから3ヶ月も会えなくなってしまうんだ。その絵を俺だと思って、肌身離さず持っていてほしい』

『え、でも……』

『俺を忘れないでほしいんだよ!!』

『マルコ!』

『エルミリー!!』


にゃふふふ! そういうことね! よ、よぉし!)


「わ、わ、分かったわ! じゃあ、遠征に持っていってあげる」

「ぐはっ!!」


 待て、待て、待て!!

 そんなことされたら第一騎士団の100人に知れ渡ることになっちまうじゃねえか!

 

「待ってくれ……。そうだ! エルミリーが遠征しているあいだ、その絵は俺が預かっておいてやるよ! そうすれば絵は安全だ! 遠征から帰ったら、その後のことはまた考えよう! うん、それがいい!」

「ふふ、マルコ君はそんなに僕の裸が好きなんだね。言ってくれればいつだって見せてあげたのに」

「断じて違う」

「ふえええ。それじゃあ、おねえちゃんが可哀想になっちゃうよぉ」

「ん? メルル? どういう意味だ?」


(げげげげげっ! しまった!! つい本音を漏らしちゃったのをすっかり忘れてた! 言った本人が忘れてたのに、なんでこの幼女は覚えてるのよー!!)


「め、メルルちゃん!? ウソはよくないわ!」


――パチッ! パチッ!


(目配せすればきっと意味が分かってくれるはず! お願い!)


「むむぅ! メルルはウソなんて言ってないもん! おねえちゃんはマルコおじさんといつもそばに感じたいから、メルルに絵を描かせたんだもん!!」



「……」

「……」

「……」



(ああ……。もうどうでもいいや……)



「そ、そうよ!! それの何が悪いのよ!! マルコが遠征についてきてくれるんだったら、最初から絵なんていらなかったんだから!! ぜぇんぶマルコが悪いんだからね!!」







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