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汗は地球を救うってね


 翌日。武器屋にて。


「やあ、マルコ君! いい汗かいてるかい?」

「お、ルベルガー将軍かい? おまえさんの方こそ左腕のケガはどうよ?」

「ふふ。残念なことにもう使い物にならなくてね」

「そうかい……」

「ふふ。そんな暗い顔をしないでくれたまえ。今日はマルコ君に頼みがあってきたのだから」

「頼み? 俺に?」

「実は作って欲しいものがあるのさ!」


………

……


 さらに翌日。大草原にて。

 

(今日は遠征前の最後の実戦。3日後からは町を3ヶ月も離れることになるの。

そしたらしばらくマルコとはお別れね……。

私のいない間にイロハさんやアリエッタと……。ううん! 弱気はダメよ!

きっとマルコなら大丈夫!

だって35歳まで彼女すら作ったことないっておかみさんから聞いたんだから!

いきなり誰かとくっつくなんて、世の中そんなに甘くないもん!

でも寂しいなぁ……。

しばらくあの背中が見られなくなっちゃうなんて……)


「エルミリー君。どうしたんだい?」

「あ、ルベルガー将軍。なんでもありません!」

「そうか。ならいいんだ」



(そう、切り替えなきゃだめね! 私たちはここらで出現したブラック・ナイトボアを退治しにきたのよ。

でもほんと、ここらはイノシシの魔物ばっかりだわ。そりゃあ名物が肉野菜炒めになるのもうなずけるわね。

さてと……。おしゃべりはここまで。

クリスタル・ボアキングほどではないけど、今回のイノシシもかなり強敵だって聞いてるの。

そして今回もルベルガー将軍と私の二人のパーティーで挑むことになってる。

将軍の左腕はもう使えないっていうし、私が引っ張らなきゃ! がんばれ! 私!)


「ふふ。どうやらヤツが今回のターゲットのようだね」

「……っ!? なんてデカさなの」

「ふふ。こいつはイノシシの中でも最も大きい種類だからね。体長は10メートルはあるって話さ」

「将軍……。やけに落ち着いてますね」

「ふふ。僕には秘策があるからね」

「秘策?」

「ああ。出し惜しみするのは趣味じゃない。さっそく使わせてもらうよ」


――スチャッ!


(なにあれ!? 服を着ているから分からなかったけど、左腕が金属で覆われてるじゃない!?)


「ふふ。僕ともあろう者が、こんなにも興奮するなんて」


(分かったぁぁ!! あの腕から光るビームが出るんだわ!! すごい、すごい、すごーーい!!)


――カチャッ。


(円筒のふたが開いた! あそこからビームが出るのね!! やばっ! よだれ出てきた!)


「ではいくよ!!」


(いっけええええええ!!)


――ちょろちょろ……。


(……えっ? 水? コップに注いでる?)


――ゴクッ!


「きた、きた、きた、きたあああああ!! むっほぉぉぉぉ!!」

「ほえっ? なに? なにが起こったの?」

「ふふ。説明しよう。僕は好みの男性の汗をパワーに変えることができる特殊能力を持っているのさ。そしてこれは僕専用の水筒。中に入っていたのは『奇跡の塩しずく』さ。……ん? 『奇跡の塩しずく』がなんだって? よく聞いてくれたね。そう、その正体はマルコ君の汗だよ! それはたとえるなら秘境で見つけた湧き水。瀕死だったボクを救った奇跡! それを口にした今、僕は神をも越えた……」

「お、おう……」


(変態だわ。前々から思っていたけど、やっぱり将軍はド変態だわ)


「とぅっ!」


――バッ!


「グルル!」

「将軍! 危ない!!」

「ふふ。遅い! 遅すぎるぞ! イノシシ野郎め!」


――スパパパパパ!!


「速い! なんて速さなの!!?」

「汗乱舞剣!!」

「ギャオオオオ!!」


――ドスゥゥゥン!


「す、すごい……」

「ふふ。これで分かっただろう。僕のそばにはいつもマルコの汗がある。そして『汗は地球を救う』ってね」


(いや、汗は地球を救わない。むしろ筋肉が地球を救うのよ、将軍。

でも彼は私に大事なことを教えてくれたわ!


『マルコの背中を遠征に持っていけばいいのよ!』


ってね!)



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