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ドアが開かないからってつい破るという発想は良くないと思う

 

 翌朝――。


「あらぁ? おはよう、エルミリーちゃん。今日はずいぶんと早いのね?」

「あ、定食屋のおかみさん、おはようございます!」

「そのパンは誰かに届けるのかしら?」

「え、あ、いえ、これは……」

「ふふ、もしかしてマルコかしら?」

「ふえっ!!? え、いえ、その……」

「ふふ、マルコはいつも一人で朝食をとってるから、きっと喜んでくれるわ。がんばってね。わたしはエルミリーちゃんを応援してるから!」

「は、はい!」


(べ、べ、別にマルコを喜ばせたくてパンを持っていくわけじゃないんだから! たまたまよ! たまたまパン屋さんに美味しそうなパンがいっぱい並んでたから、ついつい買いすぎちゃっただけよ! やだなぁ、おかみさんはすぐに早とちりするんだからぁ。で、でも、どうしよう? こんな展開になったら……)


 以下、妄想。

 

『……こうばしいパンの匂いがすると思ったら、エルミリーか。どうしてここに?』

『たまたまよ! たまたまパンをいっぱい買っちゃったから、おすそわけにきただけよ!』

『そうだったのか。ありがとな』

『べ、べ、別にお礼なんていらないわよ。パンとミルクを温めたらすぐに帰るんだから』

『いや、待ってくれエルミリー』

『へ?』

『俺を一人にさせる気か? 天涯孤独の俺を』

『……別にそういうわけじゃ……』

『一緒にいてくれ』

『え? マルコそれって……』

『俺の背中と家族になってくれないか?』

『マルコ!』

『エルミリー!』


(にゃふふふふふ!! 昨日はどうなるかと思ったけど、やっぱり最大のピンチの後は大チャンスがおとずれるものね! 逆境を力にかえるなんて、さすが私! ナイス機転! さあ、マルコ! 覚悟なさい! 今日こそお友達に……いえ、それ以上の仲になるんだから!!)


――ドンドン!


「マルコォ!」

「はぁい!」


(むむっ!? 女の声!? どういうこと!?」


――ガチャッ!


(げげっ!? イロハさん! しかもエプロンしてる! どういうことなの!?)


「あら、エルミリーさんでしたっけ? わざわざパンを届けてくれたのね!」

「え、あ、いや。これはその……」

「ふふ、ちょうどトマト仕立ての特製スープ、それにサラダとヨーグルトだけじゃ物足りないって思ってたところなの。気がきくわね」

「あ、ありがとうございます」

「私とマルちゃんはこれから二人で愛の朝食をとるの。その後は愛のお仕事と忙しいから。あ、愛の仕事の前に、愛のお風呂にしようかな。ふふふ」


――バタン。


「ああ、それはお忙しいですねー。…………って、ちょっと待ったぁぁぁぁ!!」


――ドンドンドン! バキャァァッァァッ!!


「きゃあっ! ドアが……。ドアが破れてる!?」

「ご、ごめんなさい。開かないものだから、つい破っちゃったの」

「そ、それは仕方ないわね。んで、私とマルちゃんの愛の巣に、町の英雄様ともあろう御方がなにか用かしら?」

「ふーっ! ふーっ! 私もお腹ペコペコなんです!!」

「へ?」

「だから一緒に朝食をとります!!」



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