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ヤンデレ幼馴染って属性はけっこう強烈ですよね


 以下、回想。

 

『わしももう長くない。そろそろわしの後継者を決めておかねばならぬのう』

『ふん、師匠らしくもねえな。まだまだピンピンしてるじゃねえか』

『かかか! 他人に弱いところを見せないのがわしのプライドなんじゃ。こう見えても体のあちこちにガタがきてるでな』

『ふん、俺にそれはバラしていいのかよ? 他人に弱いところを見せないのがプライドなんだろ?』

『かかか! マルコはよいのじゃ。お主はわしの家族じゃからのう』

『……ありがとな。冗談でも嬉しいぜ』

『それからマルコ。わしの後継者になれ』

『はぁ!? ちょっと待ってくれ! 師匠の後継者は血のつながりがある人でないとダメなんだろ!?』

『じゃが、わしのバカ息子は親不孝にも先に逝ってしもうたし、孫娘のイロハはここを出ていってしもうた。じゃから頼めるのはマルコしかおらんのじゃ』

『すまねえが、俺にはその資格はねえよ。生まれた時から天涯孤独で、身元すら分からねえ俺なんかが師匠の後継者になんてなれるはずねえだろ』

『かかか! お主は相変わらず堅物じゃのう!』

『うっせえ、そういう性格なんだよ』

『じゃあ、こうせい! イロハの夫になるのじゃ』

『ちょ、ちょっと待ってくれ! 何を急に言い出すんだ!?』

『かかか! 今すぐでなくともよい。それにイロハとお主は昔から仲が良いではないか。悪い話ではなかろう』

『いや、そういう問題じゃねえだろ! そもそもイロハがそんなことを知ったら、何を言い出すか分からねえぞ』

『ならばイロハさえよければ、それでよいというのじゃな?』

『だからそうは言ってねえよ。それにイロハとは喧嘩ばっかしてるんだ。あいつが首を縦に振るなんてありえねえよ』

『かかか! なら決まりじゃ! マルコはイロハとくっついて、わしの後継者になれ! そしてわしらは本当の家族になるのじゃ!』

『……ったく、強引なんだからよ。でもまあ、後継者のことは考えておくよ。それに……家族って言ってくれてありがとな』


 以上、回想終わり。


「……というのが、マルちゃんとおじいちゃんが交わした固い約束よ」

「だああああああ!! なんていい話なの! マルコは天涯孤独の身だったのね! ずっと家族の愛情を欲していたのね! ああ……涙と鼻水で顔がぐしゃぐしゃになっちゃったじゃない!」

「ふふ、まさかこの僕が目から汗をかくなんて。罪深いオトコだよマルコ君は」

「おいおい。二人ともおおげさだって。それになんでルベルガー将軍がここにいるんだよ?」

「ちーーーーん!」

「こら、エルミリー! それは俺のてぬぐいだ! 勝手に鼻をかむんじゃない!」

「ふふふ、これで言い訳ができなくなったわね。今やマルちゃんはおじいちゃんの後継者として武器屋を営んでる。つまりわたしと結婚するってことよね!」

「ぐっ……」


(まずいわ! まずい、まずい、まずーーい! このままではマルコはイロハさんと結婚しちゃう! ダメよ、それだけは絶対にダメ! どうにかしなきゃ! 考えろ、私! ピンチはチャンスなんでしょ!)


「ふふふ、何も言えないみたいね。いいわ。これまでの無礼はぜぇんぶ許してあげる。だって、私たち家族だもんね!」

「家族……って、ちょっと待ってくれ。俺はまだ……」

「もうっ! マルちゃんは昔から照れ屋なんだからっ! さあ、武器屋に帰ろっ。そして一緒に武器を作るの。あ、それとも子どもを作る? ふふふ!」

「ぶふぉっ! こ、こ、こ、子ども!? い、い、イロハさん! それはちょっと早すぎませんか!? こういうのは順番というものが……」


――キリッ!


「ひっ!」

「あなた、エルミリーさんでしたっけ? この町でちょっと有名だからって、どうして家族でもない赤の他人がわたしたちのことに口を出すのかしら?」

「ううっ……」

「マルちゃんに武器を作ってもらったからって、あんまり調子に乗らないことね!」


(ガガーーーン!!)


「そうよね……。マルコと私はしょせんは『赤の他人』。私が口を挟むようなことじゃなかったわ。……ごめんなさい。私もう帰ります。お代はここに置いていきますから……。ごちそうさまでした」


――とぼとぼ……。


「……ふざけるな」

「え……?」

「マルちゃん?」


「俺が魂を込めて武器を作ってやった相手に『赤の他人』なんて言うじゃねぇ!!」


「マルコ……」


――ツカツカ。ドン!


(うわっ! リアルな壁ドン! 初めてみた!!)


「今の発言は許せねぇ。もしおまえさんが本物のイロハだったら訂正してくれ」

「……なによ。そりゃあ、ちょっと言い方はきつかったかもしれないけど、他人は他人でしょ。私は何も間違ってないもん」

「おまえ……。それを本気で言ってるのか?」

「本気よ。悪い?」

「そうか……。すまなかったな」


(あれ? あっさり離れちゃった? どうしたの?)


「残念だぜ。本物のイロハだったら覚えていると思ってたんだがな。師匠の教えを……」


――ツカツカ……。


「じゃあ、俺帰るわ」


(マルコ……。なんだか寂しそう……)


「マルちゃん! 待って! 思い出した! パパとママが魔物に襲われて死んだ日の夜、確かにおじいちゃんは言ってた!

『イロハ、マルコ! よぉく覚えておくんじゃ! 武器職人が武器を作った相手は、その日から家族じゃ。だからマルコもイロハも一人なんかじゃないぞ! 世界中の冒険者や騎士たちと家族になるのだからのう!』

って!」


(だあああああ! またその手の話なのねぇ! 歳のせいか、最近は涙腺が弱いんだから、やめてよぉ! 奇襲はやめてよぉ! ふええええん)


「…………そうか、やっと思い出してくれたか」

「うん! マルちゃん! 思い出したわ! だから信じてくれた? 私は本物のイロハ。あなたのフィアンセだよ!」

「じゃあ聞くが、なんで武器屋を出ていったイロハが、俺と師匠の会話を知ってるんだ?」

「へ?」

「あと、なんでエルミリーが町の有名人だって知ってるんだ? それと俺がエルミリーに武器を作ったのを知ってるんだ?」

「いや、それは、そのぉ……」

「答えてくれ。もし本物のイロハなら答えられるはずだ」


(なに? なに? この展開!? 確かに言われてみれば、そうよね!? なんで町を出たイロハさんがマルコのことをこんなにも知ってるの? はっ!? もしかして!)


 じー……。

(じー……)



「……」

「……」




「ええええい!! もう、いいっ! 悪かったわね!! 町を出ていったなんて嘘だったの!! 誰にも気づかれないように一生懸命ダイエットして、お化粧も覚えて! ぜんぜん違う私になって、ずーーーっとマルちゃんのことを見てたの!! 朝から晩まで、ぜぇんぶマルちゃんを見てたのよ!!」




「……」

「……」




「ふぅー! ふぅー! なによ!? なんか言いなさいよ!!」



「あ、いや、なんて言えばいいのか……。おまえさん、もしかしてストーカー……」


――バッチィィィン!! ドガアアン!


「ぐはっ!」


(ひっぃぃ!! またマルコが吹っ飛ばされた!! なんてパワーなの!?



………あ、でも背中の筋肉は無事のようね。よかったぁ)



「バカ! バァァァカ! マルちゃんなんてだいっキライ!!」


――カラン、カラン!


「ああ……」


(行っちゃった……)


「あらぁ? せっかくイロハちゃんの分の肉野菜炒めを作ってきたのに、もう帰っちゃったのね。これどうしましょ?」

「あ、おかみさん。よかったら私が食べます」

「まあ、エルミリーちゃん! さすが英雄さんは違うわね! 肉マシマシ、ご飯超特盛りを食べたばかりなのに、おかわりなんてねぇ。おばちゃんには考えられないわぁ」


(なんかすごいもん見たら、お腹すいちゃったなんて言えないもん)



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