エルミリーの『初めて』を捧げる……
(私、エルミリーは今、マルコの部屋にいるの。しかも二人きりで……。私の『初めて』を捧げるために……)
「ハァハァ……。マルコ……。あつい……」
「はぁはぁ、やめるか?」
「ハァハァ。いや、それはダメ」
「だったらガマンしろ! それっ!」
「んっ……。 すごく……激しい……」
「それっ!」
「うぐっ……。 ハァハァ!」
3時間後――
「ふぅ……。終わりだ」
「ハァハァ……」
「よく頑張ったな。あとはマークを残すだけだ」
「うん」
――ジュッ。
「これがマルコが私のに刻んでくれたマークね」
「そうだ。どうだ? 感想は」
「とても素敵。一生大事にするわ」
「ははは! 一生は言い過ぎだ! またいつでもここへ来るんだぞ」
「ほえっ!?」
「それが俺なりの責任の取り方だ。何度でも相手してやるから」
(せ、せ、せ、責任ですってぇぇぇ! 男が女に責任とるってことは、もうそういうことよね。うん、そうよ。その資格はあるわ。だって私は『初めて』を彼に捧げたのだから。でもダメよ、マルコ。こういうのは順番があるって言ってたのはあなたじゃない。まずはお友達から始まって、次に恋に落ちてからじゃないと……。いえ、それは今の時代には流行らないわ。出会って1ヶ月でゴールインなんて珍しい話じゃないんだもん。ふふ、そっか。いよいよ私もお嫁さんに……。はっ! そうだ! 熱中しすぎてすっかり忘れてた! あれを……)
「じゃあ、そろそろ行ってくれや」
「え……? でも私まだ……」
「わりぃが次の相手をしなきゃなんねえからよ」
(うそ……。ダメよ。ダメ! だってまだ私は……)
――バンッ!
「やあ、マルコ! 次は僕の番だね。うーん、すでにたっぷり汗をかいてくれているじゃないか。ふふ」
「……ああ、約束だからな。次はおまえさんの番だ。ルベルガー将軍」
「ふふ。ではさっそく脱がせてもらうよ。あついからね」
「……ふん、好きにしろ」
(うほっ! ルベルガー将軍って脱いだらもっとすごい筋肉なのね。じゅるっ。ああ、お腹すいてきちゃった。はっ! 他人の筋肉に気を取られてる場合じゃなかったわ! そうよ! まだ私は終わってない! 終わってないのよ!!)
「むむっ? エルミリーくん。もう君は去りたまえ。用はすんだのだろう?」
「いえ、まだ、その……」
「エルミリー。おまえさんのはもう終わりだ」
(終わり……。そんな……。用がすんでしまえばそれでバイバイだなんて……。ひどい! ひどすぎるわ!! ああ……。これが捨てられる女の気持ちなのね。季節で言えば秋。枯れ葉が舞う中をあなたは一人で去っていく……。その背中を見つめながら。私はこう言うの。
『さよならきんにく』
ってね……)
「じゃあ、始めるぞ。ルベルガー将軍。見せてくれねえか」
「ああ、もちろんだとも」
「ほう……。なかなかイイもん持ってるじゃねえか」
「ふふ。そう言ってもらえると嬉しいね」
(マルコの人でなしぃ!! 浮気ものぉ!)
「ん? エルミリー、まだそこにいたのか?」
「え、うん、その……まだ用があるの……」
(ちゃんと言わなきゃ。うん、そうよね。もう私たち『初めてを終えた公認の仲』なんだから、言ってもいいわよね! よぉし……)
「ま、マルコ! 私……!」
「待て、エルミリー。そうだったな。すまねえ、俺が悪かったよ」
「ほえ?」
(こ、こ、この展開は! もしや!?)
以下、妄想。
『初めてはどうだった?』
『うん……。すごく激しくて、あつかった。でも、とても素敵な時間だったわ』
『そうか、ならさっそく二回目にするか』
『え……? それって……』
『俺と一緒に作ろう』
『マルコ!』
『エルミリー!!』
妄想終わり。
(にゃふふふふ!! ダメよ、マルコぉ。私には騎士団の一員としての仕事があるんだからぁ。でも、ちょっとくらいなら付き合ってあげてもいいわ。だってもう私たちそういう仲でしょ?)
「ほらよ。剣の鞘だ。さすがに抜き身のままで持ち歩けねえもんな」
「ほえ?」
「もうおまえさんの『武器』は完成したんだ。これで用なんてねえだろ? またメンテナンスが必要になったらここへ来いよ」
「ふふ。初めて武器作りを目の前で見たから興奮しちゃったのだろう。灼熱の中で真っ赤になった鉄を激しく叩く様子は最高だものね。分かるよ、その気持ち。僕も初めての時はそうだったからね。特に最後に『刻印』を武器につけるシーンは今でも思い出すなぁ」
(そうよ! その通りよ! 初めて目の前で武器作りを見たものだから、熱中しすぎてマルコの背中を見てないのよぉ!! うわああん!! ……でも、マルコに武器を作ってもらえたからすごく嬉しい。大切にするもん。ぐすっ)




