表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この世は優しくて甘い   作者: ニケ
47/48

47

空は優しい。月の光も夜の寒い風も。暗闇になって初めて、輝いているんだと実感する星も。時々強く吹き抜ける風に飛ばされそうになりながら、どこか楽しげに木々の枝にくっついている葉っぱが暗闇の薄暗い光の中で立ち止まった二人を見守るように上から見下ろしている。



夜は好きだ。人の気配がして無意識に体が強ばっても暗闇は自分の存在を静かに隠してくれる。顔に出やすい性格も今感じている感情も。きっと優しく包み込んでくれるだろう。



前で立ち止まったリュウガが顔だけこちらに向けてにんまりと笑っている。ずいぶん久しぶりに弱音を吐いたからどんな表情で自分を見るのだろうと思っていたレイに、いつもと変わらない態度のリュウガはなんとなくありがたかった。こうやって立ち止まって、誰かと夜も一緒にいて。自分らしくないことをたくさんやっているなと思う。



小さな頃の記憶も改めて口に出してみると、自分は自分なりによくやったなと口元が自然に緩んでいく。自分の素直な気持ちを忘れるくらいいつも緊張していて、周りや誰かの評価を自分の気持ちよりも優先させていたことに気づいた。いつの間にか自分の気持ちを周りの意見と照らし合わせて、周りに受け入れられるような自分になろうとしていた。



いつでも、無条件に、自分は自分でいいと思えたらどんなに楽だろう。立ち止まった少し大きな背中とすっかり冷えきった指先を感じてゆっくりと握りしめた。



「レイ、手を繋ごうか」



「え?」



訳もなく握りしめた拳を少し大きな手のひらがゆっくりと包み込んでいく。外の冷たさに硬くなった拳が楽になった気がした。自分への怒りも思い出したくない悲しみも忘れられない父の背中も。誰かと手を繋ぐなんてどれくらいぶりだろうか。



時々冷たい風が勢いを増して飛び込んでくる。美しく整えられた街道の規則正しく並んだ木々が、むき出しになり残った枯れ葉はかろうじて枝先にくっついて吹き飛ばされないよう耐えていた。



リュウガは前を見たまま背中を向けている。今は夜中の3時だ。一番暗いと言われている寒空の、キラキラ光る星を見上げている。レイは自分の拳を包み込んでいるリュウガの手をじっと見つめた。



「上を向いていても、下を向いていても」



「?」



「左を見ていても、右を見ていても」



「え?」



雲に隠れていた月がゆっくりと姿を表した。ポツポツと灯っていた街灯と月の光で、薄暗かった景色がほんのりと明るくなる。スーパー銭湯から夜の闇に出て目もだいぶ慣れてきた。カサカサと音を立てて枯れ葉が飛んでいく。強い風に運ばれてあっという間に空へ消えていった。



「例え、お互いが忘れてしまっても」



遠くへ飛んでいった枯れ葉は、もう二度とここへは戻ってこないだろう。あまりにも軽くて自分の力だけでは行きたいところへ行くことさえもできないのだ。



「例え、お互いを憎み合っていたとしても」



「。。。。」



「繋がっている」



前を向いていたリュウガがゆっくりと振り返った。いつもの明るい顔で楽しげに笑っている。包み込んだレイの拳を顔の前に持ち上げて目を細めながらブラブラと左右に振った。



「繋がっているんですか?」



「うん」



「すれ違っていても」



「まあ、こうして」



試しにレイは包まれている拳を逃げるように強く引いた。リュウガの手のひらを振り落とすように動かしてみる。包み込んだ手のひらはどうするのかな?と様子を見てみると、気にせずまったり追いかけてきた。



「心っていうのは、案外簡単に離れないもんよ?特に親子はさぁ」



「何ですか?それ。隊長はご両親とどうだったんですか」



この個性的なリュウガを育てた家庭だ。怖いもの見たさで知りたい気もする。もう一度、そうなのかと念を押して聞いてみると、短い返事をしてリュウガはのんびり星を見上げた。釣られてレイも空を見上げる。



「そういえば、隊長、よく星を見上げてますね。好きなんですか?」



「うん」



繋がれた手を上に挙げてまるで星空に見せるように小さく左右に振った。星たちは静かに輝いてこちらをじっと見守っている。しばらくそのまま星たちにアピールしていたが、ゆっくりと手を下げてレイの拳からも離れていった。



「さて、レイくんや。星空への報告も終わったし、書籍部へ戻ろうか。気になる3人の心境の変化を探っていくぞよ」



「報告って何ですか?まあ、何があっても隊長なら何でもありって感じですが」



先ほどの静かな雰囲気が嘘のようにニヤリと笑って急に走り出した。何事かと追いかけてついていくレイに、俺が先に着いたらスルメ焼いてね!と爽やかに笑う。嫌な予感がする。何も危険なことがないように聞こえるが、何か嫌な予感がする。レイは返事をせず、さっと前を向いて本能のままに全速力で会社へ走った。後ろからリュウガの残念そうな声が聞こえた気もするが、振り返らず力の限り走った。

書きましたー!もう、ほんといろいろありましたよー!!私は小説を書いていないとかなり大変な葛藤を抱えるんだな!と気づきました。

セラピーの一環として小説を書きまする。名付けて、小説セラピーだな!!

どうぞお読みください\(^o^)/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ