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1章 世界を救ってその後1

 物語で語られる勇者は栄光と称賛に溢れた輝かしい人物である事が多い。


 勿論、産まれた瞬間から常に光を浴び続ける訳ではないだろう。時に失敗し、時にアクシデントに見舞われ、時に苦悩する事もあるだろう。それでも最後は必ずハッピーエンドへ導かれる運命にあるのが勇者であるはずだ。


「殺せ! たかだかデブ一人だ! さっさと片して仕事の続きに取りかかるぞ!」


 だが現実はどうだろう?

 物語では一般的に悪の親玉として描かれる魔王なる者を打ち倒すとそこがハッピーエンドであり、婚約者のお姫様や苦労を分かち合った仲間達とエピローグを笑顔で飾る。


 では俺は? どうだ?


 確かに勇者なんて柄じゃないけれども、世を騒がす魔王を誅したのは俺だ。しかしそこはハッピーエンドなんて幸せなものじゃなかった。世界が救われたって世界が終わる訳じゃない。ハッピーでもエンドでもなかった。


 魔物を束ねる魔王は消えた。人間は魔物達と和解し、今では多様性を認める世界に変わりつつある。だというのに、未だに移ろい行く世情に付いていけない愚かな他種族排他主義の輩や生ぬるい社会に馴染めないアウトロー共が面倒事を引き起こし、


「なんだッつーんだこのデブは! 切っても切れねぇ撃っても弾く!」


「どけ! こうなったら……秘蔵っ子のコイツでも喰らえ……!」


 現実世界における勇者であるところの俺はこうして面倒事の始末に駆り出され、


「こ、コイツ……高かった呪玉が、なんともねぇのか……!?」


「こうなりゃありったけを―――」


 うるせえ。


「うるせえ」


 人が一生懸命モノローグで嘆き浸ってるところを邪魔するんじゃない。


 腕を横に一振りすると、横並びに構えていた山賊共が吹っ飛ぶ。


 これでも魔王を倒した勇者なんだ。

 ならず者の百人や千人、千切って投げるも容易い。


「さっきデブっつった奴。ボコな」


 ちなみにデブ、臭い、汚いは禁句だ。

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