エリザベス 前日
未来の地球に仕事はなかった。地上は、災害により放射能があふれ、人々は地下にひきこもった。なんの取り柄もない中年男、時田は、派遣会社の社員・浅野に地下街のファミレスで面接を受けていた。
時田「他に仕事はないんですか?」
浅野「はい。もう、宇宙でチョコ作りしかありません。」
時田「宇宙海賊みたいなのが、いるんじゃないんですか?」
浅野「ハハハッ時田さん、アニメじゃないんだから、そんなのいませんよ、UFOはよく飛んでるみたいですが、襲っては来ないみたいです。」
時田「時給はどれくらいですか?」
浅野「チョコ作りは、時給1万です。1年経つと、正社員になれるみたいで、当社のスタッフからも何人か正社員になられた方がいます。ソーメン作りだと1万5千ですが、チョコ作りの方は、エリザベス号っていうんですが、エリザベス号には、エリザベス・タックルがあって、強いんです。ソーメン作りと比べると時給は落ちるんですが、私としては、チョコ作りの方をお勧めしています。」
時田「エリザベス・タックル?」
浅野「はい。超鋼鉄製のエリザベスが、体当たりをする技です。エリザベス・タックルは、小惑星をも軽く撃破します。」
時田「レーザーとかミサイルじゃないんですね。」
浅野「はい。あくまでも体当たりです。」
時田「仕事の内容は、どんなことをするんですか?」
浅野「エリザベス号の中で、三交代でチョコレートを作りながら各惑星に搬送します。全部で7か8箇所ぐらいですかね。最近は、チョコレート好きの宇宙人が多いみたいで。」
時田「途中で嫌になって、地球に帰りたくなった場合は、どうするんですか?」
浅野「はい、太陽系内ならすぐ地球に帰れるんですが、一番遠い所になると、確か地球から20光年ぐらいの所まで行くらしいんですが、そうなると、エリザベス号の中で休んでもらって、元気になったら、また頑張って仕事をしてもらうということになります。休んでいる間は、お金にはなりませんが、3食食事は出ますんで、はい。」
時田に選択の余地はなかった。いくつかの会社の面接を受けたが全て落ち、もはや、エリザベス号に乗るしかなかった。
時田「分かりました、エリザベスに乗ります。」
浅野「分かりました。では、早速なんですが、明日出発になりますので、明日朝7時に、地下のイルカ港に来て下さい。」
時田「え?明日ですか?」
浅野「はい、いきなりで申し訳ないんですが。」
時田「何か持って行くものはありますか?」
浅野「特にないです。エリザベス号の中に幾つか店がありますし、服は作業着と戦闘服、パジャマを2着ずつ支給されますんで。あと、チョコレートを搬送した惑星でも買い物ができますし。まあ、しんどいこともあるかもしれませんが、給料がいいのと、あと宇宙旅行ができるということで、なかなかいい仕事だと思いますよ。」
時田「そうですね、仕事は辛いこともありますからね。」
浅野「では明日、イルカ港でお待ちしております。」
時田「分かりました、今日はありがとうございました。」
こうして、時田は面接を終え、ファミレスを出て帰宅した。




