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求婚

助け出してくれた男は、宰相であったらしい。

エレナは、男の部下からの話で推測した。


エレナの記憶では、宰相は王の補佐であって、こんな下級貴族の罪ごときに関わることのない役職だと思っていた。

その予想も一部当たっていたのか、それ以降彼はエレナの前に姿を現さなかった。



用意された屋敷で朝を迎えたエレナは、ぼんやりと過ごしていた。


エレナは、叔父の屋敷に比べれば、格段と良い生活をさせてもらっていた。

部屋は快適で、使用人も必要以上に干渉してこない。

食事も充分に与えられ、家で暮らしていた頃のエレナに戻っていた。


しかし、ここでもエレナはなにもさせては貰えなかった。

せめて、住まわせてもらっている分は働いて返そうと考えていたのだが、

「エレナ様にそんなことはさせられません!」と、きっぱり断られてしまった。


一応親族であったエレナもまだ疑われているのか、部屋から出してもらえることさえ、そう多くなかった。


ーーいつまでもここにいられる訳ではない。

私の疑いが完全にはれ、事件が収束を迎えたとき、私はここを追い出されるだろう。

その後どうやって生活していこうかーー


エレナが考えていると、部屋の扉が開いた。


「ーー全て終わった。」

宰相は短く言った。


数日しか経っていないのに、彼の冷たく蒼い瞳と、プラチナのような髪が懐かしく思えた。

「本当にありがとうございました。」

エレナは椅子から立ち上がり、礼をとった。

「これからどうするつもりだ。」

エレナには頼れる親戚も財産もなかった。

「街で働いて、どうにか生きていきます。」

料理を趣味としていたエレナは、その力で何処かに雇ってもらうことを考えていた。


その言葉に宰相眉を顰めた。


「ーーフィルディア・クロスフォードだ。」


エレナは一瞬、それが宰相の名前だと気付かなかった。


エレナも慌てて名乗った。


「お前を娶めとることにした。」


「ーーーーーーえ?」


エレナの口はそのまま固まった。


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