表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/23

誘拐

「ん....」

エレナは頭痛がして目が覚めた。


「あ、目が覚めたー?」

指で髪をくるくる触る女。

(ここどこ...)

エレナは辺りを見回した。


「怖くて声もでないの?」

女はウフフと楽しそうに微笑む。

(この人は....)

屋敷に侵入した一人である女のことを思い出した。


「本当いいザマ。すぐにフィルディア様は気づくわ。私と結婚するべきだったって。」

「どうして、こんなこと....」


「どうして?あなたのことが嫌いだからよ。あなたがいなくなれば、きっとフィルディア様も目を覚ますわ!」

女はエレナを凄まじい形相で睨みつけた。


「...あら?もしかして、もう飽きられたの?」

ウフフと女が笑う。

「仕方ないわよね。きっとすぐに離縁されるわ。」


「そんなこと、ないです。フィルディア様はそんな無責任なことしません!」

「じゃあ、私がそうなるようにしてあげるわよ!」


女が合図を送ると、数人の男が影から出てきた。


「...いいわよ、好きに遊んで。」

エレナの体がこわばった。

「や、やめーーー」

エレナの悲鳴のような声を無視して、男たちはエレナを押し倒した。


「さ、触らないで!」

エレナは必死に抵抗したが、男たちは手を離そうとはしなかった。


ビリビリビリ、と音を立てて服が破られる。

(...ごめんなさい、フィルディア様....)


「...なんだ?噛み跡付いてんじゃねーか。」

エレナについた噛み跡を男が撫でた。

「どんな男とヤってんだよ。」

ゲラゲラと品なく笑う。

エレナの目に涙が溜まる。

「こんなボロボロにされるなんてよ、その男からも愛されてねーんだな。」

男はニヤニヤと締まりのない顔を、エレナに近づけた。


男に覆いかぶさられたエレナは、目を閉じた。

「ふぃ、フィルディア様、助けて....」



その時、エレナの上から男が一人吹き飛んだ。

「な、なに!?」

女も男たちも慌てふためく。

ぶわり、という風圧と共に、エレナの上に影ができた。


(フィルディア様...)


飛んできたフィルディアは、エレナの前で姿を戻した。

フィルディアの瞳孔は開いていた。


「エレナーー」

「...み、見ないで、....」

エレナは、男たちに触られたことよりも、フィルディアにこんな姿を見られたことが嫌だった。


フィルディアは嫌がるエレナを抱き上げると、後から到着した部下に任せて、その廃屋か

ら出て行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ