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ドラゴンの夜に

R15なんですかね...?

エレナとフィルディアがなんだか柔らかい雰囲気を醸し出している間にも、使用人は全ての荷物を運び終わっていた。

二人の邪魔をしないよう、そっと一礼して去って行った。


ーーなんとも躾の行き届いた使用人たちである。



フィルディアはそれに気づき、自室へと入った。

(昨夜はエレナのことを考えてあの姿をとったが...もう遠慮はせんーー)


殺風景だったフィルディアの部屋が、心なしか明るくなったように感じた。


エレナは中々一歩を踏み出せないでいた。

昨日のことは、夜に気分が高揚した結果のこと。

今までのことは、フィルディアが自分には振り向かないと分かっていたからこそ、できたことだ。


(ど、どうしてこんなことに...)

今のエレナに、あんな大胆な行動は期待できなかった。



「どうした、入らぬのか。」

フィルディアは平然を装い、エレナに声をかけた。


「寝るぞ。」

そう言い背を向けたフィルディアをエレナは慌てて追った。


部屋にはエレナの私物が綺麗に収められていた。

きょろきょろと見回したエレナは、あることに気づく。


「わ、私のベッドは...?」


エレナのベッドだけが、この部屋になかった。

エレナは恐る恐るフィルディアを見上げた。


「いらぬだろう。このベッドで十分だ。」


エレナの緊張が限界を超えた。

かくかくと不思議な動きのまま、ベッドへと近づいた。


のろのろとベッドに上がると、フィルディアが明かりを消した。

暗闇の中で、フィルディアがベッドに上がる音がする。


ギシリ、とベッドが軋んだ。


エレナの心臓はバクバクと音を立てた。

口から心臓が飛び出す気がして、エレナは思わず口元に手をやった。


「なぜ緊張している。」

昨日自分から部屋にきたエレナが今日はカチンコチンに固まっている。

フィルディアは不思議な気持ちになった。


「なぜ、と言われましてもーー」


(フィルディア様は緊張しないのかしら...)

そちらの方が不思議なエレナだった。


「きゅ、急にこんなーー」

ドラゴン、侵入者、リラの真実。

エレナの容量を超える出来事ばかりが起きていた。

(そういえば、まだキスだってーー)

雰囲気に飲まれそうになったエレナは、急な展開にあたふたした。


「急?ーーそうか、ならば善処しよう。」

フィルディアはエレナに近づくと、耳元でなにか囁いた。


(ふぃ、フィルディア様ーー)

エレナの顔は真っ赤になり、強張った体から力が抜けた。


ーーそして、ゆっくりと近づくフィルディアを受け入れた。

ドラゴンナイトにしようとして、やめました。

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