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小説の向こう側  作者: 咲羅木優紀
9/10

私たちの聖なる夜

 期末テストが終わり、少しして冬休みに入った。冬休みでも文芸部の活動は続く。もちろん、私も文芸部の部室に顔を出していた。

 

 今日は12月25日。クリスマスだ。


 部室には、いつもの柳瀬先輩、如月先輩、園さん、木村さん、そして私の合計五人がいた。

 「それじゃあ、12月部誌の『リア充がうるせークリスマス号』について話すわよ! 明日ちゃんも会議に入ってね!」

 柳瀬先輩が声を大にして部員たちに言った。

 「いやー! とうとうクリスマスが来ちゃったわね!! 皆誰と過ごすの!?」

 「部長ー、毎年同じ事言わないでくださーい!」

 園さんが笑いながら言った。

 「そうですよー。話戻しますよ」

 木村さんの一言で部員全員が前を向いた。

 「今回は、クリスマスの話だけじゃ飽きちゃうから、冬縛りで行こうと思うの」

 「それじゃあ題名『リア充がうるせークリスマス号』だと、おかしくなっちゃいません?? 全部ごちゃ混ぜにしないといけませんよ??」

 「確かに、ちとげの言う通りですよ。『うるせーリア充と鬼がクリスマスに豆食った号』とかにしないと・・・」

 「・・・それいいわね!! それで行こう!! よし、決定! あ、もう6時だ! 遅くなっちゃったわねー! それじゃあ解散!!」

 ぐだぐだな会議が終わり、全員がのんびりと外に出た。如月先輩は部室の鍵当番だったので最後まで部室に残ってくれていた。他の部員の人たちは女だらけのクリスマス会をすると言って、そそくさと出て行ってしまった。

 「ありがとうございます、如月先輩」

 「いいですよ、当番ですし」

 「それではすみません、お先に失礼します」

 「・・・宮里さん!」

 如月先輩が滅多に出さない大きな声で私の名前を呼んだ。

 「・・・今日、これから予定とかありますか?」

 「・・・? ないですけど・・・」

 「それじゃあ、2人で出掛けませんか?」

 突然のことにびっくりしてしまった。

 「いいですけど・・・」

 「それじゃあ、学校の玄関で待っていて頂けますか? 鍵を返してすぐに行きます」

 「分かりました、待ってます」

 外に出ると、冷たい風が吹いた。私は体を小さくし、如月先輩を待っていた。

 「すみません、遅くなりました」

 「大丈夫です。ところで、どこに行くんですか?」

 「それはお楽しみです」

 如月先輩は少し微笑んで歩き出した。


 私たちは電車に乗り、2つ隣の駅に行った。

 「着きましたよ」

 そこには、クリスマス仕様に飾られたおしゃれな商店街があった。イルミネーションに、サンタの格好をしたお店の人、商店街を歩くカップルなど、クリスマスを思わせるたくさんのものがあった。

 「すごいイルミネーション・・・。綺麗ですね!」

 「一緒にクリスマスを楽しみましょう!」

 「はい!!」

 そうして、私たちは歩き出した。

 「いろんなお店があるんですね! 素敵です!」

 「とりあえずあっちまで歩いて、気に入ったお店に入りましょう」

 「分かりました!」

 「そういえば、期末テストはどうでしたか?」

 「今回はとってもいい点が取れました! 勉強を教えてくれた、如月先輩のおかげです! ありがとうございました! 如月先輩はどうだったんですか?」

 「今回はいつもより多く勉強したので、いい点が取れました」

 「そうだったんですね! ・・・あ! あの人形のお店、気になります!」

 「それじゃあ入りましょうか」

 お店に入るとたくさんの人形が置いてあった。

 「んー・・・。あ、如月先輩! これ、可愛くないですか?」

 「クマの人形ストラップ・・・。可愛いですね」

 「これ、また今度買いに来よー! あ、こっちも可愛いー! 如月せんぱぁ・・・あれ?」

 私が熱中してる間に如月先輩は違う所に行っていた。

 「如月先輩、何か気に入った人形あったんですか?」

 「・・・あぁ、いえ。見てただけです」

 「そうですか・・・。あ、もう私は十分です。ありがとうございます!」

 「それじゃあ、出ましょうか」

 私たちはお店を出て、しばらく歩いた。

 「如月先輩は、お店見なくていいんですか?」

 「はい、僕はこれが見れたらいいので」

 そう言って、前を見ると大きなクリスマスツリーがあった。

 「うわぁ・・・きれいですね!!」

 「せっかくなので、すぐそこのお店の屋上から見てみませんか?」 

 「いいですね! 行きましょう!!」

 そう言って、私たちはお店の屋上に行った。屋上は人が一人もおらず、私と如月先輩の2人だけだった。私たちは、屋上のベンチに座った。

 「ここで見ると、より一層綺麗ですね!!」

 「そうですね」

 「・・・突然なんですけど、如月先輩って、好きな人とかいないんですか?」

 如月先輩は、少し間を空けて言った。

 「・・・いますよ。実は、今日好きな人に告白しようと思って」

 私はなぜか、心の何かがもやもやっとした。私にこの気持ちは何なのか分からなかった。

 「その好きな人って、どんな人なんですか?」

 どうして私は、こんなに必死になっているのだろう。

 「その人は・・・。可愛くて、優しくて、ちょっと照れ屋で、笑顔が素敵で・・・。そんな素敵な人です」

 「そうなんですか・・・」

 なぜだか分からないけど、涙が溢れてきそうになった。

 「宮里さん」

 「・・・へっ?」

 「・・・好きです」 

 「・・・っ! えっ? 如月先輩! 好きな人がいるんですよね?」

 「宮里さん、鈍感なんですね」

 「へ・・・?」

 「もう一度、改めて言います。僕、如月凛人は宮里明日さんが好きです。付き合ってください」

 私はこの言葉を聞いた瞬間に涙が溢れた。

 「・・・そっか。この気持ちは・・・恋・・・だったんだ・・・」

 「な、泣いてる! 大丈夫ですか?」

 「すみません・・・大丈夫です!」

 私は涙を拭いて、深呼吸をした。

 「それじゃあ・・・告白の答えをください」

 「・・・す」

 「えっ? 今、何て・・・?」

 「こ、こちらこそ、よろしく、お願いします・・・」

 「それじゃあ今、僕たちは『恋人』になったんですよ」

 「ふふっ、恋人って響き、恥ずかしいです!」

 「それじゃあ、恋人になったからには、敬語禁止ですよ・・・じゃなくて、禁止だぞ。あと、これからは名前で呼び合おうな、明日」

 「はい・・・」

 「じゃなくて?」

 「・・・うん、凛人・・・さん」

 私がそう言うと、凛人さんは少し微笑んで私の頭を撫でてくれた。

 「あっ、そういえばこれ、プレゼント」

 そう言って渡された袋は可愛くラッピングされていた。

 「これ・・・さっき気になってたクマのストラップ! ・・・いつの間に買ってたんですか・・・買ってたの?」

 「明日が人形を見るのに必死になってるときに買ったんだよ。・・・実はこれ、俺も色違いで買ったんだ」

 「それじゃあこれ・・・」

 「初めてのお揃い、ペアルックだ!」

 凛人さんは、微笑んで言った。私も同じように笑った。

 「・・・明日」

 「・・・?」

 「こんな俺だけど、これからもずっとよろしくな・・・」

 「こちらこそ・・・凛人さん・・・」

 そう言って、凛人さんは私に甘い口づけをした。

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