1話:風に吹かれて
とりあえず第一号の作品です。
お暇潰し程度に読んでください。
あぁ最悪な授業も終わり!
最っ高の昼休み
教室を飛び出した勢いで一気に屋上への階段を駆け上る
屋上のフェンスに掴まって
「勉強なんて大っ嫌い!」
こう叫ぶのが最高なんだ
Blue sky
「おーぃ!空ーっ弁当忘れてんぞー!」
「あ…ごめん」
僕の名前は雲楽 空
高校一年生
「たく、お前はいつもいつも…」
僕のお弁当を持ってきてくれたのは水季 春音
同じく高校一年生で幼稚園の頃から幼馴染みで男勝りな女の子。
学校では黒か茶髪(焦げ茶に近い)じゃないといけないのに金髪でそれも地毛。
それでいつも2、3年生から目をつけられる始末。(でも喧嘩は強いから負けないけど)
***
お昼ご飯も食べ終わり、春音はそそくさと教室へ帰ってしまった。
今屋上には僕一人。
緑色のフェンスの前に目をつぶって立っている。
風が耳をビッと横切る。
それと同時に両手を広げ、真っ青て雲一つない空を壮快に飛ぶ白い鳥を思い浮かべる。
青い空にも染まらない真っ白な鳥を。
「風よ…。風よ風よ風よ!」
大きく息を吸い込んで、一気に叫ぶ。
別にゲームみたいに魔法とかが使える訳じゃないけど、何か魔法が使えたら…
なんて考えてる最中に今までとは比べものにならない位の風。
突然の突風に堪えきれなくなって、体が宙に浮いた。
「あっ…」
もうそう思った時にはフェンスの外に投げ出されていた。
急に止む風。
外に放り投げ出された僕の体。
鳥のように翼がある訳でもなければ、宙に浮けるような技もないから、当然重力に負けて落ちるだけ。
「ぅああぁああぁぁあ!」
(誰か助けて!怖いよ!死んじゃう!)
そんなこと考えてても、助けに来てくれる人はいない。
しかも地面まであとわずか。(もうだめだ…!)
ドサッ
「…!」
(あぁもう僕は死んじゃったんだ…)
でも、体中に痛みなんてものはない。
うっすらと目を開けて自分の体を見てみる。
「…あ…れ?」
(死んでない…?僕生きてる!?)
でもなんか、左腕が変な方向に曲がってる気が…
「でもよかったー!生きてるー!」
なんて喜んだのもつかの間。
僕は目の前の光景に唖然とした。
一面に広がる花畑。
色々な花が咲く、言わば皆が良く言っていた三途の川がない天国図。
川がない所をみると、一応天国ではなさそうだ。
これで少しあんし…
「人間だー!」
(はい?)
恐る恐る後ろを見てみると、そこには一人の少女が…
「おいてめぇ!ににに人間だろ!なんで人間がこんな所にいるんだよ!」
(こっちが聞きたいよ…)
とりあえず深呼吸して冷静に聞いてみる。
「君は…誰?というよりここはどこなんですか?」
「…。わ…私はリールって名前。本名はフレンゼント=リフェール=ミラッサ
ここは風の町“ウィンドタウン”って言うんだ」
「へぇ…“ウィンドタウン”か…」
「…お前人に名前言わせといて自分は自己紹介無しですか?」
「あ…ごめんなさい
僕の名前は雲楽 空って言います
君の言う人間だよ」
「ソラ…ふぅん、いい名前じゃん
気に入った!」
「…はい?」
「気に入ったから私の家に泊まらせてあげるよ
どうせその左腕の手当てもあるしねっ」
「はぁ…そうですか…」
訳が分からなくて苦笑いばかりの僕を余所に、どんどん話を進めて行くリール。
(もうどうしたらいいんだ…)