5番目のお話
あっちかな? こっちかな?
出口はどっち? ブツブツブツ。
まおくんは困ってしまいました。
みんなの言うことは、てんであてになりません。森の出口のことなんか、誰も知らないようなのです。みんなは森から出ないから、興味がないのかも知れません。
けれど、早くおうちに帰らないと、アニメが始まってしまいます。
おなかも、ちょっぴり、へってきました。
あっちに行ったり、こっちに行ったり、森中うろうろ歩き回ったから、足だってもう、へとへとです。
このままずっと、森から出られなかったら、どうしよう。
まおくんはとうとう、切り株に座りこんでしまいました。
くー、と泣いたお腹をさすって、膝に両手で頬杖をつきます。
出口はさっぱりわかりません。空も暗くなるばかり……。
ぴ~ん! と、まおくんはひらめきました。
道に迷って困っているなら、知っている人に教えてもらえばいいのです。
まおくんの好きなゲームなんかだと、こういう時には、賢者に聞くのが一番です。
けれど、ここは森の中。誰に聞いたら、いいのでしょう。
賢者、賢者、森の賢者、う~ん……?
あ! そう、そういえば!
2番目に会った《 タヌキどん 》が「 おいらにも×× くらいに知恵があれば、落第なんかしなかったのになあ」 って、うらやまがっていたはずです。きっと、それが " 森の賢者 " です。でも、いったい誰のことだっけ?
う~ん、とまおくんは首をひねってしまいました。
賢者、賢者、森の賢者……
「そっか!」
ポン! とゲンコで手をたたきました。
「《 ものしりフクロウ 》だ!」
まおくんは、切り株の上から立ちあがりました。
よし! と大きくうなずいて、意気ようようと歩き出します。
さあ、《 ものしりフクロウ 》を探しにいこう!
※ 続きます。