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2番目のお話 



 あっちかな? こっちかな? 

 出口はどっち? くすくすくす……

 


 まおくんは森の中を歩いていました。

 出口がどこにあるのか聞きたいのです。誰かいないでしょうか?

 すると、

 

 大木の陰に、なにか、います。

 自分の体をペロペロなめている、ふっさふさの黄色いキツネ──?

 

 そこにいたのは《 身勝手コンコン 》 でした。つやつやの尻尾を持っています。今は、お手入れのまっ最中。

「キツネさん、キツネさん、森の出口を教えてよ」

 《 身勝手コンコン 》 は顔をあげ、ちらっ、とまおくんの顔を見ました。

「そんなことより、ねえ、見て見て?」

 ぺらぺら話し始めました。自分の毛並みが、どんなに美しいか。どんなに素晴らしいか。

 自分をほめてもらうこと以外、《 身勝手コンコン 》 はまったく関心がありません。みんな、それを知っていますから、もう誰も話を聞いてくれません。だから、なんにも知らないまおくんは格好の話し相手です。

 《 身勝手コンコン 》 はいつだって、毛皮のお手入れをしています。手入れの行き届いた黄色い尻尾は、ふっさふさのもっこもこです。

 《 身勝手コンコン 》 は努力家です。ざゆうのめいは「継続こそ力」です。でも、そんな姿は、みんなには決して見せません。「何もしなくても、きれいなの」とみんなに自慢したいのです。でも、みんな本当は知っています。

 《 身勝手コンコン 》 はぺらぺらぺらぺら語ります。自分の毛並みが、どんなに美しいか。どんなに素晴らしいか。自慢話は止まりません。いつまでたっても止まりません。お日様は西に傾いて、どんどん山端に暮れていきます。まおくんは困ってしまいました。

「あの、キツネさん。ぼく、もう行くね」

 《 身勝手コンコン 》 は、くるり、と尻尾を振りあげました。

「あ、そう!」

 ぷい、とそっぽを向いてしまいます。自慢話を打ち切られ、それが気に入らないのです。《 身勝手コンコン 》 は自分が世界のすべてですから、ほめてくれなかったり、けなしたりするやつは問答無用で悪いやつです。だから《 身勝手コンコン 》と出あう相手は、たいてい悪いやつになってしまいます。

 《 身勝手コンコン 》 はへそをまげ、すっ、と前足をもちあげます。まおくんがどんなに悪いやつだったか、みんなに言いふらしに行きました。




   ※ 続きます。






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