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保健室と生徒会室

部屋に入るとパーティーみたいな飾り付けがしてあって、

佐倉秀平くんようこそ生徒会へ!と書かれた垂れ幕がかかっていた。

俺が驚いて目をぱちくりさせていたら…

背後から

パン! パン!パン!

とクラッカーの音が響いて俺はビビッて声をあげた。


「うああああああぁぁ!、な…いきなり、なんだ?!」


「ようこそ生徒会へ!今日は秀ちゃんの歓迎会だよ!」


そう言うさっき入り口で俺の肩を掴んでから離さないこの人は…


「俺が生徒会長の赤名薫!さっきも全校集会で会ったね、」


やっぱり生徒会長だった…!

あまりにも悪気のなさそうな挨拶だったので、どうして俺が!と講義する気にもなれず、

でも、理由は知りたかった。あの無茶振りの理由を。


「あの、まず先に聞いていいですか」

「わからないことがあったら何でも聞いて!」


何でも…か。まさに今の状況がわからないんですけど!

肩を掴まれたまま、誘導されてテーブルの椅子に座らされた。

やっと離してくれた肩から気が抜ける。


「飲み物紅茶でいいよね」


ちょっと知った声が聞こえて振り向くと天十郎が紅茶のカップを俺の前においてくれた。


「あ、あありがとう」

「別に、…」

「あの、天十郎?…」

「な、に?」

「なんでナース服着てるの」


突っ込まずにいられなかったので聞いてしまった。

純白のミニスカ白衣、まさに白衣の天使みたいで…正直どこ見ていいか困る。

そしたら睨むような顔で


「ここが保健室だから」


と、それだけ言って向かい側に座った生徒会長にも紅茶を出して部屋の奥に消えた。

紅茶に砂糖を何杯もいれながら生徒会長が口を開く。


「で、何から説明しようか秀ちゃん」


まず、今の白衣の天使?にハテナがつくような天十郎について聞こうかと思ったけど

ここは我慢して朝から一番聞きたかった事を聞こう。

クラスのみんなとか新も、もちろん天十郎も教えてくれないんだから本人に聞くしかない。


「なんで、俺なんですか」

「一目見たときから決めてたから!」

「ちゃんとした理由を教えて下さい、じゃないと辞退します」


と少し強気に出たのがよかったのか生徒会長は説明してくれる気になったようで


「保健室ってさ、怪我や体調が悪いときはもちろんだけど、悩みを相談に来る人も多いよね!」

「そうかもしれないですけど…」

「一番多い悩みはなんだと思う?」

「学校関係や進路とか?」

「もー秀ちゃんは頭が固いなー、保健室といえば…」

「………」


「恋の悩みや、性についてだよ!!」


「まあ、思春期ですからね」

「だからね保健委員は…経験済の人がいいってこと!」

「…っ、経験済って?」

「童貞じゃないってことだよ!」

「他人が童貞だとか、経験済みだとかそんなのどうやってわかるんですか」


「この学園ね、男子校出身と女子校出身の子が集まってて、みんな極端に恋愛経験が少ないんだ。だから転校生なら経験豊富な人が来るかなーって思って!…」

「まさか、あの…あの」


「あのアンケート俺が入れたんだ!」


あなたは童貞ですか  はい いいえ


まさかあのアンケートがこんなところで使われるだなんて!

言葉をなくした俺に道しるべを示すように生徒会長は話を続ける。


「佐倉秀平くん!秀ちゃんには保健委員長をやってもらおうと思う!」

「な!」


何を言い出すんだこの無茶振り生徒会長は!

吹き出しそうになった紅茶を思わず変に飲み込んで少し咽る。

そんな俺の反応を見て楽しむように話は続く。


「保健委員長になって恋や性に悩む生徒たちの良き相談相手になって欲しい!俺は秀ちゃんにはその素質があると思ってる!」

「そ…んな急に言われても…」


俺、ろくに恋愛経験もない上に実は童貞なんですけど


「まあ、転校早々こんなこと言われていろいろ不安はあるだろうけど!」

「すみません…やっぱり俺…」


そう断ろうとしたら生徒会長の目の色が変わった。


「生徒会長様に逆らえるわけ、ないよね?」


その言葉に俺の意思は取り込まれて、無意識に頭を立てに頷くように何度もおろしていた。

頭の中で警戒音が鳴り響く、逆らってはいけないと、逆らえるはずがないと。

人生の中で何人会うかわからない、絶対に敵に回してはいけない人の一人だと俺の潜在意識がそう言っていた。


「薫会長、秀平をあんまりいじめないでくださいね」


完全にビビッて何も言えなくなっていた俺を心配してか新が声をかけてくれた。


「新!秀ちゃん保健委員長やってくれるって!」

「薫会長が脅したからでしょう…横暴すぎです」

「だって!保健委員長には秀ちゃんって決めたんだもん!新は反対なの?」

「いえ、ただ…そう言うの俺の役目かなぁって思ってたので」

「え?新まで…」


どうやら心配してたのではなくて、混ざりたかったようで。


「秀平…保健委員長おめでとう!…学級委員様に逆らえるわけ、ないよね?」

「くっ…わかった!わかりましたよ!保健委員長引き受けます」



だめだ、こいつら同類だ。

と二人の顔を交互に見ながら大きくため息をついた。

これから忙しくなりそうだ。






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