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第一印象が大事!

転校初日--校長室--


学校側に書類を出した時

なにか言われるかと思ったけど


(不純異性行為は禁止なので入学できませんとか)


あのアンケートを見ても無表情な校長にちょっと拍子抜け…というか、

純粋な思春期の繊細な心を弄ばれた気分だ。

第一俺の場合不純じゃなくて偽装異性行為なのだが。

あのアンケートの必要性に興味がそれかけていた時…校長室のドアがあいて若い男性が入ってきた。


「失礼します」

「ああ五十里くん、この子が今日から君のクラスに転入する佐倉くんだよ」


いきなり紹介されて五十里と呼ばれた俺の担任になるであろう先生は中指で眼鏡をかきあげながらこっちをみる。


「へぇ…この子が、ですか」

上から下へ舐めるように見られて、なんとも意味深なことを言われる。

へぇ…の部分にいろいろ含ませてましたよね?!

気になる

季節外れの転校生がそんなに珍しいのだろうか


「よ、よろしくお願いします」


眼鏡越しの視線に耐えられず、とりあえず頭を下げた


「君のクラス2-A担任の五十里一(いかりはじめ)です。わからないことがあったらなんでも聞いて下さいね」


すごくいい笑顔で言われたので俺は


「あ、はい!」


と、いい返事で答えるしかできなかった。


「では、教室に案内しますのでついて来てください」

俺はうなずいて五十里先生の側につく。

「よろしく頼むよ」

「はい、失礼します」

校長と先生の言葉を背に、一礼して校長室を出た。



五十里先生の後をついて教室に向かう。

見渡してみると校舎はかなり広くて、俺一人じゃ絶対に迷いそうだ。

キョロキョロと挙動不審に見ていたら五十里先生が足は止めず会話をきりだした。

「転入前、学校見学とかはしなかったんですか?」

「してないです…急で時間もなかったんで」

「そう、ですか。それは大変ですね」

まただ、この人はなぜこう含ませた言い方をするのだろうか。

「大丈夫だと思います、授業ついていけるか心配ですけど…この学校レベル高いみたいだし」

愛想笑と苦笑いを混ぜたような顔で答えた。

1年の校舎を過ぎて2年の校舎に入る階段を昇った一番上で五十里先生が呟いた。

「何も知らないなんて可哀想に」

「…いま何か言いました?」

その瞬間、五十里先生の雰囲気がガラリと変わったような気がしたのは

俺の気のせい、かと思いたかったけど、気のせいではなかった。

「久しぶりにノーマル君に会えて嬉しいよ、佐倉君は貴重だ」

「え、ええ?」

突然変わった声色と言葉の意味がわからなくて変な声を出してしまった。

「あと、この意味は自分自身の身体で知れ」

にこやかに肩をポンっとたたきながら耳元でこんなことを言われた気がする。

いままで優しかった五十里先生がなぜいきなりここで命令口調に?

しかも自分自身で知れ!とか…

さっき校長室で、わからないことがあったら何でも聞いてくださいね。っていい笑顔で言ったくせに!

もう意味がわからない…なにがどうなって…

とりあえず、五十里先生は校長の前では猫をかぶるらしい。

わかったのはそれくらいだ。


そんな思考回路を巡らせていたら、いつの間にか教室についていたらしく。


俺の心の準備もクソもないまま、問答無用で教室のドアがあく。

「みんな!転校生つれてきたぞー」

「え、ちょ…まだ心の準備が!」

あぁ、第一印象というのが大事なのに…初対面からなんというアホ面で教室に入ってしまったんだろうか。

「じゃあ、佐倉君自己紹介して簡単でいいから」

そういわれて教室中の視線が一気に自分に集中する。

「さ、佐倉秀平です。よろしくお願いします…」

コレだけ言うのが精一杯だった。

もっと掴みのあることを考えておけばよかった…と後悔した。

大事なことなので2回言うが

第一印象というのが一番大事である。

その言葉が自分に言い聞かせるように頭の中を巡っていた。

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