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食屍鬼 -楽園-  作者: 藤岡
繋がり
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04

「わぁ、パパ有難う!大好き。」

愛の無い言葉を囁けばだらしなく口角を上げ、高価な物を渡してくる。

現金を添えて。

最初はあまり深く考えずにこの世界へ一歩踏み入れた。

そして気付けば私はその道以外を歩けなくなってしまった。


パパ活なんて援助交際と変わりがない。

いつか痛い目を見る。


SNS上ではそんな言葉を吐き捨てる人間が沢山いるが、私には関係無い。

私が選び私を選ぶパパに悪い人はいない。

それに私はパパが求める言葉を沢山囁いている。

私が発する言葉一つ一つにパパが値段を付けているだけで、二人がソレを良しとしているのだから部外者は黙っていて欲しい。

妬みですか?笑っちゃう。

今日も綺麗に着飾りパパと食事をするの。

私は価値のある人間。

せいぜいネットで吠え続けていればいいわ。

その間も私は無価値な人間(あなたたち)とは別世界でキラキラ輝いているから。

「今日も楽しかったよ。有難う。」

中年男性が女性へ高級ブランドの紙袋を渡す。

「その中に少しだけど現金も入れてあるから、好きに使ってね。」

「いつも有難う、大好きだよ。」

「僕も大好きだよ。」

中年男性はタクシーを止め女性を乗せた。

「また連絡するね。」

女性の手を軽く握ると男性は運転手に向け「安全に頼む。」と声を掛け一歩後ろへと下がると、タクシーのドアが閉まりゆっくりと動き出す。

「どちらまで?」

運転手の問い掛けに女性は行き先を告げた。

女性の手には折り畳まれた一万円札が一枚。

女性はその一万円札を見て薄らと笑みを浮かべた。

女性はスマートフォンを取り出し何度かタップする。

「……どこから私のところに流れてきたのかしら?」

Linkのフレンド申請を見てその人のページに飛ぶと、投稿はされておらず、不思議に思いフレンド欄ややり取りを眺めてみると、とりあえずで集めただけのパパ活関連の人と友人になっているイメージだった。

アカウント作成日は今日では無い。

「何を企んでいるの?」

女性が不思議に思っている時、その人の投稿がされる。


『アカウントは前から作っていたのですが、仕事が忙しく活動する暇がなく空っぽなアカウントとなっております。

本日から少し時間を取れるようになったので、素敵だなと思う方々に友達申請をさせて頂きました。

美味しいご飯屋さんや素敵なBAR等の情報交換が出来れば嬉しく思います。

よろしくお願い致します。』


女性はその投稿を見て申請許可のボタンを押す。

「少し話してみても良さそうね。数は多ければ多いほど良いのだから。」

女性はスマートフォンをバッグの中に入れ、コンビニエンスストアの前でタクシーから降りる。

軽く買い物を済ませると自分の家へと向かった。

女性は自宅へ着くとすぐにソファに座りスマートフォンを取り出す。

パパへお礼のメッセージと他のパパとのスケジュールチェックをしながら缶ビールを飲み干す。

「はぁ……幸せ。」

女性はLinkで同業者の女性達から憧れられ、男性からは毎日のようにアプローチをされている。

自分の事をチヤホヤと甘やかしてくれる人達と楽しく会話をしているこの時に幸せを感じるのだ。

もしも自分のやる事に少しでも意見をするような人が現れれば、その時は構わずその人との友達関係を解消する。

私の世界にそんな人達は不必要。

女性はそう思いながら今日貰った高級ブランドの紙袋の中から最新のバッグを取り出し写真を載せるのだった。

──────────────

「レイさんお疲れ様です。」

仕事終わりの酒をのむレイの元へ颯がやって来て頭を下げる。

「おお、お疲れさん。どないしたんや?」

「前言っていた女、裏がありそうです。」

「前言ってた女ぁ?……ああ、パパ活?」

「そうです。」

「裏ってなんや?まぁ座って話そや。」

レイは自分の隣の椅子を指さし、颯はその椅子に腰をかけた。

「この一ヶ月ほどで分かったのは、この女の名前は前山 咲笑(まえやま さえ)

年齢は二十歳の大学生。

親しい友人と呼べる存在はおらず、実家はごく普通の一般家庭。

男癖が悪いという噂も特に無く、見た目も化粧や身に付けるもので派手にはしているものの、普段はどちらかと言うと清楚な方。」

淡々と話す颯。

それを聞いているレイは、そんな情報には興味が無いとでも言いたげな表情をしていた。

「ほーん、で?裏ってのは何?」

「一人の男に惚れているようです。

どこで知り合ったのかまでは分かりませんでしたが、咲笑が惚れている男がコイツです。」

颯は一枚の写真を取り出しレイの前に置いた。

「……ヤンチャしてそうなみてくれしてるけど、まさかコイツが俺らん所に流し込んでるんか?」

「その可能性はあります。」

「へぇ、舐められたもんやな。でもなんで分かってん?」

「パパ活をしているフリをして何度かやり取りをしたのですが……自由に使える金額を遠回しに探っている感じだったんですよ。

でもまあ会うとしたらそりゃ金がある男が良いのは分かっていたので質問にそれとなく答えていたんですけど……唐突に、もっと稼ぎたくないか?と聞かれまして。」

「なんやそれ。」

レイは呆れたような顔をして鼻で笑った。

「咲笑に会ってみたいと言われ日時を決めていたのですが、急にそう言われて。

特にこれより多くは求めていないと答えると、気にしないでと言われたのですが……。」

「会う前からそんな事言ってくるって頭悪いんちゃうんか?」

「俺も何かおかしいなと思って調べた所浮上したのがこの男で、借金が二千万円程あるようですね。」

「……ああ、なるほど。

男に金銭要求されたってことか。」

レイは写真を眺めながらいくつかの可能性を考え始める。

「おそらくそうではないかと思います。

それにこの男は他にも咲笑のような女を複数近くに置いていて、自分は女から巻き上げた金で好き勝手暮らしているようですね。」

「なるほどなあ。どっから借りてるとか分からんのか?」

「調べれば直ぐに分かります。」

「じゃあそれ調べといてや。で、会うのは会うんか?」

「はい。とりあえず一回会おうという話にはなっていて、パパ役の男も用意してあります。」

「いつ?」

「三日後の18時です。」

「なるほどなるほど、ほんなら俺もちょっと協力しようかな。

女一人で鬱陶しい事してるんやったらここに連れてくるまでは任せとくつもりやったけど、変な虫が暴れてるって言うんやったら俺もその駆除作業手伝わんとなぁ。」

レイはニタニタと笑いながらスマートフォンを取り出しどこかへ電話をかけ始めた。

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