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食屍鬼 -楽園-  作者: 藤岡
繋がり
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03

「お、更新してる。」

颯はLinkの画面を見ながらニヤリと笑う。

画面に映るのは原田のネガティブな内容の投稿だった。

「毎日毎日よく飽きずに投稿するもんだ。」

颯は画面をスクロールしその投稿にスタンプを押す。

「……コイツ使えるかもな。」

颯は投稿画面を開き文字を打ち出す。

その内容はシンプルなものだった。


『誰か助けてくれないかな……』


投稿ボタンを押しLinkを閉じると、投稿してからものの一分程で通知音が鳴る。

颯は通知を開きニタリと笑った。


『どうしたんですか?僕でよければ話してください。』


原田からの返事だった。

普段投稿をしない颯の投稿にすぐに飛びついてくる事は分かっていた。

原田はLink友達の中でも自分を一番好いているという事も前から分かっていた。

原田は自分を信用しているのだろう。

颯はクククと声を漏らしながら画面をタップする。

原田だけを指定した投稿文を打ち出す。


『少し困っていて……話だけでも聞いてもらってもいいですか?他に話せる人がいなくて……。』


原田に返事をすれば、すぐに返事が返ってくる。

颯は思うように動く原田を見て笑いが止まらない。

「ふっ、ふふ、本当……他に友達いねぇのかよコイツ。」

──────────────

Sさんが投稿をした。

その内容は困っているようだった。

いつも反応をしてくれるSさん。

普段はほとんど投稿をしないのにこうやって書くということはきっと、助けを求めているんだ。

こういう時に力になれなくて何が友達だ。

自分に出来ることなら何でもやろう。

『僕でよければなんでも話してください!』



『有難う。今いいかな?』

『全然大丈夫ですよ!』




『実は友人がパパ活をしていて……その相手の女の人の写真を見せてくれたんだけど少し怪しい感じがして……。』

『怪しいって?』




『パパ活だからお金が絡むのは仕方無いし、他にもパパと呼べる人が居るのも分かっているんだけど、それにしても凄く派手なんだ。』

『派手というのは見た目がですか?』




『ブランド物で固めていていかにもって感じの見た目で。

知り合いもお金に困ってしまう位渡しているみたいで……。

少し心配なんだよね。』

『自分の友達がってなると心配ですよね。助けてというのはパパ活を辞めさせたいという事ですか?』




『それもあるんだけど、知り合いはその女の人の事がとても好きみたいで。

それに見た目で反対するのはどうかと思うから一度その女の人と話してみたいんだ。

でも、それはそれで友人が嫌がるかなって……余計なお世話だよね。』

『いえ!そんな事ないですよ!

Sさんが知り合いの方を大切に思っているからこそ取ろうと思える行為です!

でも、確かにSさんが女の人と絡むとなるとバレた時に良くは思われないかもしれませんね……。』




『だよね。

だから誰かの要らないアカウントを借りれたりしないかな……なんて思ったんだけどアカウントの貸し借りなんて駄目だよね。』

『Linkで良いならいらないアカウント僕持っていますよ!もう使っていないので譲りましょうか……?』


『え?いいの?』


『全然いいですよ!引き継いでからパスワードとかも変えてもらっていいです!

今すぐ渡しましょうか?』


『本当に?有難う。とても助かるよ。』


『いえいえ!いつも僕が助けられているので!アカウント名は──』


颯は原田から譲り受けたアカウントを自分のスマホに入れ、マイページの編集から行う事にした。

「まずはアカウント名とパスワードを変えて、紹介文……そうだな……。」

颯はパパ活をする者達のページに飛び、そこから部分的に真似をして制作する。

「新規アカウントでも無い……でも友達は0人……少し怪しいか?」

颯はパパ活をしている男のアカウントを探し出し片っ端から友達申請を送った。

男達からは仲間だと認識されたのかすぐに申請許可され、各々からよろしくとメッセージが送られてきた。

それに返事をしながら次はパパ活をしている女のアカウントに片っ端から友達申請をする。

その中に今回のターゲットの女も含まれていた。

「この女から許可されないと話にならないからな。頼むぞ。」

颯はある程度申請を送った後スマホを閉じ仕事へと戻る。

こっちの仕事を疎かにすると自分のボスから何を言われ何をされるか分からない。

あちこちで飛び交う奇声に怒号。

笑い声や歌声も聞こえてくる。

ここでは普通の光景だ。

──────────────

「どうにか出来そうか?」

仕事終わりレイに呼ばれ軽く食事をする事になった颯は、不要アカウントを入手し女に申請したことを話した。

「ふーん?

で、そのアカウントをくれた奴は何者なんや?」

「前から目を付けていた奴です。」

「目ぇ付けてた?何させようとしてたん?」

「投稿内容を見ている限り親しい人間が少ない印象で、職場でもきっと浮いている感じなんですよ。

で、趣味にそこまで金を使っている感じも無く貯め込んでいそうなので。

それに、奴はすぐに弱るんですよ。

優しい人間に弱い。丸め込みやすそうだなぁと。」

颯は原田の投稿を思い出しながら話した。

「アカウントを渡す位颯の事を信用してる……で、貯め込んでる……ん?」

考えるような素振りをみせるレイを見た颯は不思議に思う。

「どうしました?」

「それやったらお前この件じゃなくて普通に金に困ってるから貸してくれって言った方がよかったんちゃうんか?」

「いや、それは駄目です。」

「なんでや?信用してんねやったら出すやろ。」

次はレイが不思議そうに首を傾げた。

「いやいや、レイさん。

ネットの奴なんか金銭の貸し借りの話題になった途端一気に距離取りますよ。

ネットじゃなくても金銭の貸し借りの話題は避けられるでしょ?」

「アホかお前、そこを上手いことやるんやんけ。」

「上手いこと……例えば?」

レイは酒を流し込むとニタリと笑ってみせた。

「貸し借りは別に金だけとは限らんやろ?

実際に会って先にこっちが貸しを作って、そっから金の話してみぃ?

相手は避けたくてもその前に自分が何かをしてもらったってのがあるから避けにくい。

それにそういうタイプの奴は一回会えばほんまもんの友達やと思い込む奴が多い。

……親しい人間が少ないっていうなら尚更颯の事避けへんと思うけどな。」

「それもそうですね。

先に貸しを作れば……そこまで頭回らなかったです。」

「ま、もうこの件で使ってもーたからこっちに借りがあるわけやけど。

こっからどう使うかは颯次第やな。」

レイは颯の肩をポンポンと軽く叩いた。

「まぁでもなんや、別にそいつに恨みがある訳でもないしほっといたってもええけどな。

他に腹立つ奴なんかアホほどおるわけやし。」

「そうですね。暫くは寝かしておきます。」

「そんな事より女や。許可されたんか?」

「あ、ちょっと待ってください。確認します。」

颯はポケットからスマホを取り出す。

「……あ、来てますね。許可されています。」

「ほぉ?んなら後は会う段取りつけて聞き出すだけや。

でも焦りは禁物やで。

女は勘が良いからなぁ、ちょっとした言動で不審に思ったらすぐ離れて行く。

こういう事してる女は特に注意や。」

「ですね。ちょっと時間をかけてみます。」

「ま、女ばっかに時間使う訳にもいかんしな。

……あ、そうそう。さっきのおっさんからはキッチリ回収しといたから。」

颯はスマホをテーブルに置く。

「有難うございます。

すみません、本来なら俺がやらなきゃいけないんですけど。」

「いやぁ、ストレス発散にもなったし丁度人手も足りてへんかったからな。

……次は無いけど。」

ニコリと笑うレイを見て颯の腕にブワッと鳥肌が立つ。

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