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食屍鬼 -楽園-  作者: 藤岡
無償の愛
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18

”誘拐殺人事件 犯人が自首”

メディアはこれを取り上げ賑わう。

それと同時に、”母親が行方不明”とも話題になる。

Link内では、「母親が怪しいと言っていた人は謝れ」「もしかして後追いした?」「可哀想」と騒がれた。

その中で、一人の男がこの世を去った事は話題に上がらなかった。

いや、世間に知られることが無かったのだ。

我が子の事さえも隠す両親と、悲しみにくれる祖母。

真奈は願った。どうかこれ以上の事実を知り更に苦しむ事がありませんようにと。


真奈が過ごした喫茶店兼自宅には、真奈の親が引っ越し親が喫茶店を経営している。

「娘がいつでも帰ってこられるように。」

涙を流しながらそう言う両親を、真奈が目にすることは無かった。


ブルータル地区西側にあるこの店Rの店内には、一つのてるてる坊主が吊り下げられている。

ウインクをしたてるてる坊主だ。

メニューが決まり、お店には毎日色んな人が顔を出す。


間違っているかもしれない。

ここは本来居てはならない場所。

だけど、あの闇の中から照らし助け出してくれたのは、間違いなくこの二人なのだ。


「いつも有難うございます。」

「なんや急に。」

「ただ感謝しているだけですよ。」

レイさんとキョウさんは不思議そうな顔をする。

そんな二人を見て思わず笑ってしまう。

二人は更に不思議そうな顔をする。


人はどんな形で救われるか分かりません。

救われた、そう思える理由は人それぞれです。

世間から間違っていると言われても、

私は貴方達じゃなくこの人達に救われたのです。


今も目を閉じれば、あの時の絶望感や、苦しみ、憎しみが私を飲み込もうとしてきます。

そんな時は必ずどちらかが私の腕を掴んで闇の中から引っ張りあげてくれます。

──────────────

「キョウ。」

「ん?」

「いつ分かった?」

「初めて会った時。」

「ははっ、俺もや。」

「だから連れて来たんだろォ?」

「そう。倒れてるあの人の顔みてまさかと思ったけど。」

「俺もまさかこんな所に涼一の嫁が来るなんて思っちゃいなかったなァ。」

「店の場所聞いて間違いやないんやって確信したわ。」

「でも涼一は怒ってるんだろうねェ。お前ら何してんだって。」

「でも助けてくれて有難うとか言うんがアイツやろ。」

「ははっ、そうだねェ。」

「……金も最初から貰うつもり無かったやろ?」

「それはどうだろうねェ。」

「俺は騙されへんで。あのキョウが一回受け取った金返すなんて空から槍が降ってくるようなもんや。」

「えらい言われようだねェ。」

「あの場で金受け取らんかったら頼んでこんくなんの分かってるから、新生活の為に全部終わったら返そうと思ってたんやろ。」

「さァ?」

「なぁキョウ。」

「なんだい?」

「俺らは涼一に恩返し出来たんかな?」

「……さァねェ。」

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