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そして、数分が経ち赤城が倉庫に戻ってくると、赤城の後ろから数人の男が人が縛り付けられている椅子を運ぶ。
「たったすけったすけてくれ!たすけてっ!」
縛り付けられている男は情けない声を出して叫ぶ。
「キョウさん、連れてきました。」
「おォ、有難う。ソイツの隣に置いて。」
男達は椅子を男の隣に並べて置き、少し離れた場所で待機する。
「目隠し取ってやんなァ。」
「はい。」
赤城は椅子に近寄り目隠しを外して、キョウとレイの後ろへと戻る。
「な、なななんですか急に……ってどうして貴方まで…?」
運ばれてきた男は隣にいる自分と同じように縛られている男を見て目を大きくする。
「これからお前は俺らの質問に素直に答えりゃそれでええから。な。」
「僕にこんな事をして……貴方達の人生終わりますよ!」
「人生が終わる?はっは、もう終わってるようなもんやしなんでもええけど。」
「なっ……と、とにかく今すぐ僕を解放して家に帰らせてください。そしたら黙っておいてあげてもいいです。」
「なんでそんなに偉そうなんだい?あァ、そういやアンタの親父さんが偉い人だったねェ。」
「父の事を知った上でこんな事をしているのですか?目的はなんですか?お金ですか?」
「……親父さんが偉い人でも別にアンタが偉いわけじゃねェし、金目的ならもっと上手くやるよ。」
「じゃあ一体何目的なんですか!僕が貴方達に何かしましたか?」
「自分の隣にいる男を見ても察せないかァ?」
「………」
「えらく考えてるようやけどもしかして心当たりが複数あるとかか?ほんならお前は悪魔そのものやな。」
「……男の子の親の復讐ですか…?」
男の言葉を聞いた真奈は唇を震わせる。
「警察も無能だなァ。金で黙らされてよ。なーにが国の平和を守るだよ。なァ?」
「ほんま。で、親の権力振りかざして平気な顔して暮らすお前もお前やし、金で買われたお前もお前や。」
「……その子の親は僕に何を求めているんですか?
同じように死ねば良いと?
僕にそんな事をすれば僕の親が黙っちゃいませんよ。貴方達も全員ね。」
「お前の親が俺らに手を出すってんなら俺らもそれに応えるだけ。
……どうせお前がやった事知った上で自分の立場を保守する為に金出したんやろ。
それが世間に知れて困るのはどこの誰やろな?」
「そんなの上手く隠すに決まっているでしょう。
貴方達とは全てが違う。手を引くなら今のうちですよ。」
「息子のアンタはともかくどうしてコイツまで警察に突き出さなかったんだい?
一回突き出してその後また金でどうにでも出来ただろォ?
出所後に支払って、コイツはまた裏で生きる、そうすりゃァ丸く納まったと思うけどねェ。」
「捕まらないなら依頼を受けると言われたのでそれに従った迄です。
犯人に仕立て上げる人間の用意もしていた、だけどそいつは僕を裏切り逃亡。
だから今僕の親が新たに探している。
それももう目処がついていた。
ソイツが自主すれば終わる、その予定だったのに……」
「へェ。そこまで回りくどい事してまでどうしてあの坊ちゃんを構いたかったのか俺にはよく分からないねェ。」
「……邪魔だったんですよ。それだけです。」
男の言葉を聞いた真奈が立ち上がると、颯の手が真奈の肩を掴む。
「離してください。」
「駄目です。」
「聞きましたか?今の言葉。
邪魔だった……邪魔だったって理由だけで……それに涼が何の邪魔をしたって言うの…?」
真奈は声を震わせ話す。
「今貴女が向こうに顔を出せば貴女に攻撃を仕掛ける可能性があります。
今はボス達に任せておいてください。」
「攻撃ってなんですか?暴力ですか?
いいですよ、いくらでも殴って頂いて。それでも私は話したい。」
「この場で貴女に暴力なんて振るわせません。相手がしてくるのは言葉の暴力。
それを止める術はいくらでもありますが、止める前にたった一言で貴女がボロボロになる可能性もある。
今はまだ辛いと思いますがここで俺と一緒に待機していてください。」
真奈は颯のまっすぐな目を見て唇を噛み締めながら椅子に座り直した。
「邪魔って何がやねん?」
「存在がですよ。目障りだったんです。」
「……面識があったんか?」
「僕は無いです。」
「は?意味が分からん。何言ってんねんお前。」
「……僕よりあの子を可愛がるからいけないんだ。」
男は小声でボソボソと呟く。
「何?なんて言ってんのか分からん。ちゃんと言えや。」
「……僕が貰うはずだった分の愛情をアイツが横取りしたんだ。アイツは泥棒だ。」
キョウとレイは顔を見合わせる。
「あの子が全部悪いんだ。
これは僕が貰うはずだった分の愛を奪った罰だ!
僕は悪くない、僕は悪くないんだ。」
「……悪くないと思っているのに親に頼んで無かったことにしてもらう。
自分でやりゃァいいのにわざわざ親の金で人を雇って代行してもらう。
お前は卑怯な人間だなァ。」
「自分が使える力を使って何が悪いんだよ!」
「それは親の金だろォ?
それを自分が使える力だァ?甘やかされて育った奴の言う事はよく分からねェなァ。」
キョウは鼻で笑い蔑む様な目で睨み付けた。
「父も母も沢山お金を与えてくれる。
それを好きに使っていいと言ってくれた。
貧乏人が僻まないでくれますか?」
「僻む?はっは、笑わせないでくんねェか?」
「なっ……ま、まあ貴方達みたいな人間のクズには僕の気持ちなんて分かるはずもないですよね。」
「そうやって噛み付いて好きに吠えてりゃァいいけど、その人間のクズと同じ所まで自分から落ちてきている事にも気付けねェ奴の気持ちなんて分かりたくもねェなァ。」
「僕が貴方達と同じ?
それこそ笑わせないでくださいよ。一緒にしないでください。」
「ははっ、まァなんでもいいけどよォ。
お前はもう人間のクズだって自覚を持った方がいい。」
「泥棒を罰しただけですよ。」
「それを周りは許すのか?
許されねェって分かっているから親もこうして金にものを言わせて有耶無耶にしてんだろォ?
我が子に罪を償わせず犯人に仕立て上げる人間を見つける、それが愛情なのかァ?」
「我が子を守りたい、そう思うのが親として当たり前でしょう。……愛ですよ。」
男がボソリと話した言葉に反応したのはレイだった。
「……お前が手に掛けた子にも親がおる。
その親は突然我が子を奪われた。それを奪ったのはお前や。
お前も立派な泥棒やな?罰される対象やろ。」
「ぼ、僕は直接関わっていない。奪ったのは彼でしょう。」
男は隣で黙って話を聞いていた男の方を見る。
「あァ、直接奪ったのはコイツ。
でも、そうさせたのはどこのどいつだよ?」
「今更僕にどうしろと言うんですか!!」
男が大きな声で叫ぶと、少し離れた場所からガタンと大きな物音がした。




