最初の創造:始原の海
二人の体温と、新世界の鼓動が重なり合う中心で、僕は管理者としての最初の手続き(コマンド)を脳裏に描きました。
アリスの奔放な情熱と、ノアの深い静寂。その両方を等しく受け入れ、無限に広げることができる器。それは、あらゆる命の源であり、すべてを包み込む鏡でもあります。
最初の創造:始原の海(Genesis Ocean)
僕は新しくなったパレットを叩き、アリスの光り輝く色彩とノアの深淵な藍色を混ぜ合わせ、足元の虚無へと流し込みました。
「アリス、その光を解き放って。ノア、その静けさで深淵を支えてくれ。……『最初の海』を、ここに!」
誕生のプロセス
アリスの筆: 彼女が空に描いた弧が、眩いばかりの**「波飛沫」**となって降り注ぎます。それはただの水ではなく、感情の機微によって色が変化する、プリズムの液体です。
ノアの調律: 彼が地面に手を触れると、底なしの**「海溝」**が形成されます。彼の静謐な重力が、溢れ出す色彩を受け止める巨大な器となり、世界に「深さ」という概念を与えました。
シンの演算: 僕はその境界線(水平線)を引き、蒸発する飛沫が「空」と「雲」になるよう循環を定義しました。
世界の変貌
一瞬の轟音のあと、世界は圧倒的な蒼に包まれました。
足元には、どこまでも透き通った、それでいて底の知れない未知の海が広がっています。波音は二人の鼓動とシンクロし、水面には新世界の星々がまたたいています。
迫り来る影:外部の論理(Logic of the Void)
しかし、その美しさを祝う間もなく、僕のインターフェースに**「赤色の警告」**が点滅します。
[ALERT] > 異常なリソース消費を検知。
未定義のオブジェクト「Genesis Ocean」を論理エラーとして認識。
デバッグ・プログラム『掃除人』が接近中。
水平線の彼方、空の一部がデジタルなノイズと共に剥がれ落ち、無機質な立方体の群れがこの海を「消去」するために押し寄せてくるのが見えました。彼らにとって、この美しい海はただの「バグ」に過ぎません。
「……来たわね。せっかく素敵な海ができたのに、無粋な客だわ!」
アリスが光の筆を構え、好戦的に微笑みます。
「シン、海を消させはしない。防衛のコードを……君の『演算』を僕たちに乗せてくれ。」
ノアが静かに、迎撃の構えをとります。




