AOI 第53話
のあちゃんは、隣の席の翔太君と話すようになっていた。あんなにツンとしていた、のあちゃんがだ。塾の帰りに、その秘密を教えてくれた。翔太君に告白されたらしい。しかも、お付き合いをする事になったって。えっ全然聞いていなかったんですけど。2人相思相愛だったとは。言ってよ、のあちゃんを肘でつついた。後から、4人組が一緒に駅についてきてくれている。歩きながら、のあちゃんは、LINEで告白されたこと、今、彼氏いないし、翔太君の顔が好きだし、と電話で話しても楽しいし、と、話していた。4人の男の子達は、私が思うところ、1人1人個性がちゃんとあるって感じで、翔太君はのあちゃんと同じ背丈で、かわいい感じがする男の子。そうか、初塾の時、なぜ隣に座ってきたのか今ならわかる。席がたくさんある中、のあちゃんの隣を。翔太君は、のあちゃんを見つけたんだ。キャーすごい。目がハートになってしまう。本当にすごい。私も、のあちゃんが好きだから、すごくうれしくなっちゃう。あれ、そういえば、今、私、のあちゃんと歩いていていいのかな。いつもより、よく話すのあちゃんが、ニコニコしている、少し斜め後に顔をむけた。男の子4人組は、3メートルくらいかな、後を横に並んで歩いている。翔太君と、歩いていなくていいのかな。うーん。悩ましい。まっいいか。駅の待合室に入って、また、6人で、並んで座った。のあちゃんの隣には、翔太君。そして、私。みんなで、また、バス停を見ながら。翔太君が、前屈みになって、私を覗きこむように下から、
「寝るの早いの?」
と、聞いてきた。私は、のあちゃんの顔を見て、
「昨日はね、弟とマリカしてて。久しぶりたから、盛り上がっちゃって。」
と、言ったら。みんな、マリカかぁって。そこから、話がふくらんで、この6人でやろうと言うことになった。細かいところは、後ほどということになった。私は、また、みんなな中で1番先に帰ることに。もう少し、一緒にいたかったけど、しかたがない。のあちゃんに、LINEするねと言って、男の子達にバイバーイと言ってバス停にむかった。みんな、バイバーイと、まわりの人が振り返るくらいの声で。耳が、赤くなっているはず。なかなか、慣れないなぁ。バスに乗って、座って、待合室を見ると、みんなが、また、手を振っていてくれた。私も、手を振り返した。バスが、動いた。みんな、また、明日。いやーびっくりした。寝落ちしている場合じゃなかった。夜、のあちゃんとLINEできるといいなぁ。