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僕らが紡ぐ物語  作者: 花音瀬笛人
始まりの物語
1/12

プロローグ

 今、世間ではとある小説家の最新作、その最後のページに刻まれたある言葉が小さな話題になっていた。

 この言葉は誰に向けられたものなのか?どれほどの想いが込められているのか? 

 それを知っている者はきっと世界で2人だけだろう。

 

 机に置かれた例の本をそっと手に取り、最後のページを開く。


 そこに刻まれた言葉は──

























          プロローグ



 夕暮れに染まる静かな霊園、その中を進む影が一つ。

 その少年は灰色のコートに身を包み両手に大きな花束を抱え、俯きながらも歩みを進める。

 霊園の一角、真新しい墓石の前で立ち止まり、その手に持つ花束を添えて冥福を祈る。

 そして、そこに眠る人物へと語りかけた。

「すみません。来るのが遅くなりました。なかなか、立ち直れなくて……」

 少年の声は、微かに震えていた。

「子供を庇って車に跳ねられるなんて、あなたらしいといえば、あなたらしいのかな?あなたは人として素晴らしいことをしたのでしょう。でも、それは褒められる事ではないです。水希さん、僕は、赦すつもりはありませんよ。あなたを大切に思う人がすぐ近くにいたと言うのに、それでもあなたは自分の命を投げうった。太陽さんだって未だに立ち直れていない。あなたは自分の命の価値をもっと考えるべきだった。恨みますよ、ずっと」

 そこでふと、この場に彼女の幽霊と言うべき存在がいたのなら、どんな表情(かお)をしているのだろうと、少年は想像する。

 申し訳なさそうな表情(かお)をして、それでもきっと、微笑みを浮かべているのではないだろうか。

「僕は、あなたの描く世界を、もっと見たかったですよ……。二年間、あなたと過ごした時間はとても心地よかったです。今まで、ありがとう、水希さん」

 最後に、と震える声で、少年は囁く。

「僕は、あなたを忘れません。さようなら」

 かつてのパートナーに別れを告げ、少年は出口へと歩き出す。 

 淡い薄紫の花が墓前で風に揺れていた。 


 東京を発ち、故郷に帰り着く。こちらは自然が多いからか、空気が澄んでいるように感じられた。

 夜空を見上げると、視界いっぱいに広がる星々。不意に、目に温かいものが込み上げてきた。


 もう、枯れ切ったと思っていたのに……。


 美しい星空が、涙で歪む。

皆様初めまして、花音瀬笛人と申します。

今回が初投稿ということで拙いところも多々あると思いますが、どうぞよろしくお願いします。

感想や評価、考察、読んでいて気になった点等も教えて頂けたらとても嬉しいです。

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