表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

一章 覚める目

...

青白い時間帯に目が覚めた。カーテンの隙間で小さな鳥が母親を呼んでいる声が聞こえる。いつも起きる時間ではないので身体を起こすのさえ面倒だ。どうしてこんな気持ちになる。そりゃ本来目覚める時間ではないからなのは確かだ。でも他に理由があるとすれば...身体を横にしたまま、俺はふと枕元のスマートフォンを手に取った。通知は0件。着信もない。変わらない。変わってない。時刻表時を確認したときに、そういえば今日で21歳になることを思い出した。まあどうでもいいか、そう思ってまた目を閉じる。


いつからだろう、自分が見ている景色が黒色が多い灰色にしか見えなくなったのは。街の人たちが音もなく横を通りすぎていくようになったのは。自分自身が誰なのかわからなくなってきたのは。そう思えたときに込み上げてくるものがあった。でも涙は出ない。正直これが一番辛い。俺はとうとう観念して身体を起こし、パジャマの上からジャージを羽織って仕方なく家を出た。何の希望もないがそれでも誕生日くらいは、と腹を括った。実家から貰ってきた部屋にある古い柱時計が朝の5時を告げる。「ゴォォン」という鈍い音を背中で聞き、俺は家の鍵を閉めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ