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星に願いを

お久しぶりで~す。まどかだよ?

七月と言えば七夕。七夕と言えば星に願いを……最近の幼稚園児のお願いってどんなものなんだろうね?



七夕の歌が流れる中、私は幼稚園のホールに飾られた短冊を眺めていた。

「まどかちゃん、そっちはどう?」

「あ、美並先輩。こっちは大丈夫です。いつでもOKですよ。」

今日は幼稚園の七夕発表会の撮影。

保護者も来るから、こうして早めに準備に来てるんだけど、正直言って、準備なんて三脚セットして露出確認するだけだからすぐ終わっちゃうのね。どちらかと言えば場所取りの意味合いが大きいからどうしても暇を持て余すわけで……。


「何見てたの?……って短冊?」

「えぇ、園児のお願い、可愛いですよね。」

私はそう言って短冊の一つを指さす。

そこには、ぐにゃぐにゃの字で『うさぎになりたい』と書かれていた。

「クスッ。可愛いわね。この年頃の娘って、好きなものとなりたい物の区別がつかないのよねぇ。」

美並先輩はそう言いながら短冊を見て回る。

未満児さんや年少さんは、大体自分が好きなモノになりたいというような内容が多い。けど、年中さんのゾーンに入ると、少しだけ変わってくる。


『ケーキをたくさん食べたい』

『アイスクリーム屋さんになってたくさんアイスクリームを食べたい』

『ポ〇モ〇のカードが欲しい。』

などと、具体的になってくる。

その中に気になったのが一つ……。

『バ〇ーに行きたい。』

……〇ローってアレだよね?スーパーマーケットのバロ〇だよね?

……お母さん、すーぱーぐらい連れて行ってあげてぇぇぇ!


心の中でツッコミを入れ、少し悲しい気分になりながら年長さんの短冊を見る。

年長さんともなれば、「将来の夢を」とでも言われているのだろうか?なりたいものを書いている子が多く目につく。


『警察官になりたい。』

『アイドルになりたい。』

『プリンセスになりたい』

等など。

流石に年長さんともなれば、考え方もしっかりしてくるのね。

そんな風に微笑ましく考えながら短冊を見てたんだけど……。

『プ〇キュ〇になりたい』

……うん、いいよね。よくあるよね。〇リ〇ュア人気だもんね。

だけど、一緒に書いてあった名前……「かずと」くん?

……うん、まぁ、男の子でもプ〇〇ュ〇好きだもんね。

私は見なかったことにしようと思いながら次のスペースに移動する。


「こっちも将来の夢かぁ。」

将来の夢を星に願う……いい事だと思うんだけどねぇ……。


『野球選手になりたい』

ウンウン、頑張れ。

『お金持ちになりたい。』

ウンウン私もなりたいよ。

『ゆーちゅーばーになりたい。』

………やめといた方がいいよ?

『はたらきたくない。』

いや、働こうよ?


……ダメだ、今時の子は分からないよぉ。

私は少し心に闇を抱えながら美並先輩を探す。

ぐるっと見回すと、美並先輩が胸を押さえていた。


「どうしたんですか?」

私は駆け寄って尋ねてみる。

美並先輩は、瞳に涙を浮かべながら一つの短冊を指さす。

そこは先生方のコーナーで、『〇〇組のみんなが仲良くなれますように』とか『〇〇組のみんなが元気いっぱいで遊べますように』などと書かれた短冊がぶら下がっている。

ただ、その中の一つ……美並先輩が指し示したものには……。


『結婚したいっ!』


大きく、しかも筆で達筆に書かれていた。


気合い入れすぎ……っていうか、……この先生、確か29歳だったよね?


あ、うん……、気持ちはわかる気がするけど……ここ……幼稚園で書いちゃうの??

私がそう呟くと、美並先輩が『まどかちゃんには分からないのよ。まだ二十歳だもんね……。』とブツブツ呟いているのが怖かった。……そう言えば、美並先輩も先生と年が近かったっけ?


そして、無事撮影を終えて事務所に帰ると、三宅先輩が出迎えてくれる。

「お疲れ。……どうしたんだ、美並の奴?」

「あ、うん……そっとしといてあげて。ちょっと、闇が深かったみたいなの。」

私の言葉に、「訳が分からん」と肩をすくめる三宅センパイだった。

約2年ぶりの更新です。

ネタは一杯あるんだけど、単発ネタが多くて(^^;


ご意見、ご感想等お待ちしております。

良ければブクマ、評価などしていただければ、モチベに繋がりますのでぜひお願いします。

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