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甘酸っぱい青春模様?

皆さんこんにちわ~。


ナビゲーターのまどか、二十歳ですよぉ。


ほんの少し前までは青春真っ盛り。今思い出すだけで身もだえるようなこともあったりなかったり……。


今回は、そんな甘酸っぱい青春の一幕をご紹介しちゃいます。


あ、一応……


『このお話はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。登場する団体名・人物名はすべて架空の物です。』


だからね?わかってるよね?



「はぁ……疲れたよぉ、めんどいよぉ。」


「まどかちゃん、ブツブツ言わないの。」


「だってですよ?これ枚数多すぎでしょ?誰よ、こんなに撮ったやつ。責任者出てこいっ!」


私が思わずそう叫ぶと、横から「俺だよ」と三宅先輩が顔を出す。


「まどかちゃんも文句ばかり言ってないで、仕事しようぜ?」


「してますよぉ。してるから文句言ってるんですぅ。」


今私がしている作業は、修学旅行の販売した写真の仕分け作業。


簡単に言えば、焼き上がったプリントを、注文者の封筒に入れて幾だけという単純な作業……なんだけどっ!


これがもう、見事に面倒なのよ。


まず写真の枚数が全部で3千枚を超えている。


注文者は約300人だから一人頭10枚と言えばそれほど多くないのかもしれないけどね、とにかく、写真の裏の番号と、注文書の番号を照らし合わせて、間違ってないか確認しながら袋に詰めていくの。


これが300人分。美並先輩が手伝ってくれているけど、それでも半分の150人分。

一人頭にかかる作業が5分とすると、150人分で12時間半かかる予定……残業決定してる仕事なんてやりたくないよぉ!


「修学旅行って、ちょっと面倒だけどな、こうしてみんなが買ってくれるっていうのは素直にうれしいよなぁ。」


三宅先輩が何枚かの写真をつまみ上げながらしみじみという。


それはいいけど、それ折角並べたんだから、邪魔しないでください。


「ほらほら、まどかちゃんも、こういう事してたりして?」


「はぁ、覗きですか、悪趣味ですねぇ。」


私は三宅先輩が付きだした写真にちらりと目を向けてから、そう言い放つ。


その写真は、海辺を見ている二人の生徒を後ろから撮ったもので、丁度横にいるお互いの顔を見ている瞬間を切り取ったもの、


海辺に沈みかけている夕陽を受けて、金色のエッジラインが綺麗に浮かび上がり、それが人物を際立たせている。


ややシルエット気味の少年と少女の、微妙な距離感と、お互いを見た瞬間の表情が、なんとも言えなく、口の中がむずむずする、そんな気分にさせる写真だった。


「いやぁ、たまたま生徒たちの会話からね、この二人が怪しいって事聞いたから、この場所の事を男の子の耳に入るように、話をしたんだよね。そうしたら見事に……いやぁ、青春だねぇ。」


「はぁ、青春ですね、でも、これ見た本人たちはきっと身悶えしたと思いますし、リア充爆発しろ!って叫んだ生徒も多かったと思いますよ。」


私はそう言いながらも、三宅先輩の腕に感心する。


いくらシチュエーションを作り上げてさりげなく誘導したからと言って、ここまでの写真を撮るのにはかなりの経験と技術が要することは一目でわかり、自分ではまだ、ここまでのものは撮れないと突き付けられているも同然の写真だからだ。


「でも、これなんで4枚も買われてるんでしょうか?」


本人たちが買うならわかるけど、それでも各1枚で2枚のはず。


「この事この子、何を思ってこの写真かったのかしらねぇ?」


美並先輩も不思議そうに言う。


「案外呪うのに使ったりして?」


「まどかちゃん、そういう怖いこと言うのやめてっ!」


「ごめんなさぁ~い。」


私は素直に謝って、私は作業を続ける。


「でもねぇ、そういうの多いよね。ほらこれなんかも。」


美並先輩がそう言って1枚の写真を見せてくる。


一人の女生徒がグラビアポーズを真似ている写真だった。


その女性とはかなり可愛く、たぶん学内でもかなりモテるのだろう。


その証拠に、写真には彼女一人しか映っていないのに、購入枚数は15枚にものぼる。


そして、購入者名を見ると、一人を除いて、残り全ては男子生徒だった。


「はぁ、昔は、自分が写ってない写真を買うのってかなり勇気が言ったものなんだけどねぇ。」


美並先輩の話によれば、昔は、廊下に写真が張り出してあって、その横の番号を注文用紙に記入していく方式だったそうだ。


だから、南蛮がどんな写真家は、誰もが知っているから、注文用紙を先生に提出するときに番号を見られないように苦労したとのこと。


「へぇ、センパイでも、そんな可愛いことしてたんですねぇ。それで、どんな人だったんです?センパイの好きな人。」


「うーん、走るのが早くてね、いつも面白い事を……って何言わせるのよっ!」


「自分で言ったんじゃないですか。」


「あーハイハイ、私が悪かったわ。でもね、昔はこういうピンで写ってる写真なんて殆どなかったのよねぇ。そう考えると、今の子たちはいいわよねぇ。」


「そうなんですか?なんでまた?」


「単純な話だよ。」


暇なのか、私と美並先輩の会話に三宅先輩が割り込んでくる。


ってかヒマなら手伝ってほしいな……と言うか手伝え。


「どういうことです?」


「単純にコストの問題って事。」


「??」


疑問符を浮かべる私に三宅先輩は丁寧に教えてくれる。


「昔はフィルムだっただろ?そしてフィルムには撮影できる枚数に限界がある。」


三宅先輩の説明をまとめると、以下のようになる。


フィルム36枚撮り1本で、撮影できるのは当然36枚。


36人の生徒がいたとして、生徒一人ひとりをピンで撮影していくと、1本で全員が写せる。しかし、販売した時、一人しか映っていなければ、当然1枚しか買わない(例外もあるけど)という事は、フィルム1本で36枚の写真しか売れないという事になる。


だけど、ピンではなく、6人のグループで撮影したら?


6人グループそれぞれで撮影すれば6枚で全員が撮れる。それを六ケ所で撮影すればフィルム1本が終わる。

全員が写真を購入すれば、フィルム1本で216枚売れる計算になる。


フィルム1本あたり、36枚の売り上げと216枚の売り上げ、どっちがいいかは明白だ、というのだ。


「はぁ、なんか世知辛い世の中ですねぇ。」


「まぁな、だけど、デジタルになってからは、そういう制限もなくなった。だからこういう写真だって気兼ねなく撮れるってもんだ。」


そう言って見せてくるのは、何処か幼さを残した少女の憂い顔。バックの海、陽の光を受けて煌めく水面が、その写真を1枚のアートに仕上げている。


「はぁ、先輩の好きそうな子ですねぇ。」


「だろ?出来ればもう少し若い方がいいんだけどな。」


「……その子15歳でしょ?充分若いですってば。」


三宅先輩はロリコンの変体紳士だが、写真の腕は抜群だ。


その写真も27枚購入されていることが、それを証明している。


いくら変態でも結果を出しているから私は何も言えない、それが少しだけ悔しい。


「ねぇねぇ、まどかちゃん、この子どっち狙いかなぁ?」


私の心中を知ってか知らずか、、美並先輩が1枚の写真を見せてくる。


そこには二人の少女が写っている。


右側の子は、ポニーテールのキレイ系な顔立ち。左側の子は、ゆるふわの、少しぽやっとした感じの可愛い子。

タイプは違えど、二人とも、十分可愛い。


そして購入者は女の子二人と男の子1人の計三枚。


「コレって、この男の子の意中の人が、どっちかって事だよね?」


「二人とも狙ってるかもしれませんよ?」


「ダメよそんなのっ!私はねぇ……。」


キャッキャとはしゃぐ美並先輩。あー、そんな先輩が可愛くて尊いわぁ~。


15歳、青春真っ盛りねぇ。一緒に写真を撮ってと声をかける勇気が出せなくて、後で、彼、彼女の写っている写真をこっそりと購入する……ウン、青春だね。がんばれ。


私は、被写体以外の人物であろう名前を見ながら、心の中でそう応援する。


ただ……。


「ねぇ先輩。コレって、応援してもいいのかな?」


私は1枚の写真をセンパイに見せる。


そこにはなんてことの無い男の子が一人で写っているのだが購入者は二人。


そして、その二人とも男子の名前だった……。



はい、という訳で、修学旅行の宇荒川で、カメラマンさん達が苦労しているお話でした。


今は、注文後プリントを自動振り分けするシステムもあるから、こういう作業も少なくなってると思うけどねぇ。

どちらにしても、キミたちの密かな想いは、カメラマンにはバレバレって事なんですよぉ。


青春街道真っただ中のキミたち、ガンバレ!!


でも、仕分けするたびに甘酸っぱい想いをするのは勘弁して下さい。


最後に、お約束。


『このお話はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。登場する団体名・人物名はすべて架空の物です。』


忘れないでね。



エターナル撲滅運動の一環として、一旦完結にします。


ただ、ネタはまだまだあるので、適当に更新していくことになるでしょう。



ご意見、ご感想等お待ちしております。

良ければブクマ、評価などしていただければ、モチベに繋がりますのでぜひお願いします。

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