明かりをつけましょ爆弾に……
はろはろ~。浅岡まどかですよ~。
季節は三月。もうすぐお別れの季節ですね。でもすぐに出会いの季節がやってきます。
……っていうか誰かいい人いませんかねぇ。
ところで、突然ですが、幼稚園児って可愛いですよね。
と言ってもロリやショタじゃないので、勘違いしないでね。
三月と言えば3月3日のひな祭り。……先月の2月3日は節分でしたね。
節分やひな祭りなどの季節ごとのイベントは、幼稚園ではほぼ必ず行う重要なイベントです。
卒園や新旧間近だってのに、幼稚園の先生ってホント大変ですよね?
今回は、そんな大変な幼稚園の先生のお話?
◇
案件1 節分
……今日は1月末日。節分を間近に控えて、ここ、まどか幼稚園ではあるイベントが行われる。
「みんなぁ。今日は何する日かなぁ?」
恵子は今年採用された新任の保育士だ。
若輩ながら、小さなころからの夢だった保育士になれて張り切っていたのだが……こんなに大変な仕事だとは思ってもいなかった。
もうすぐ1年になるけど……私やっていけるのかなぁ?
折れそうになる心を必死で支えながら、今日も保育に頑張る恵子。
「鬼を見に行く日~」
一番前に座っているきららちゃんが大きな声で答えてくれる。
「そうだねぇ、今日はみんなで鬼を見に行くよぉ。」
この、まどか幼稚園のある地域一帯では1月の終わりから2月の半ばにかけて、近所のお寺の前に3mの高さの鬼が出現する。
昔は1mそこそこの大きさだったのが、年々グレードアップし、去年は夜になるとライトアップされ、目からビームが出るようにチカチカ光るようにまでなった。
まぁ、一つの地域興しみたいなものだろう。
そして、毎年この時期に子供たちに鬼を見せに行くのが、この地域一帯の保育園・幼稚園の行事に含まれている。
「さぁ、朝のごあいさつの後はお歌うたうよ~」
「鬼のパンツだぁ。」
鬼なのか、パンツなのかどっちかわからないけど、子供たちの琴線に触れるようで、音楽が流れると途端にはしゃぎだす男の子たち。
「♪おにぃーのぉパンツはぁ……。」
この時期は朝のお歌はこればっかりなので、子供たちも口ずさみながら踊る。
体操や踊ったりするのは子供たちの身体の成長には欠かせない要素なので、出来る限りからだを動かす取り組みをしているのだが、この手のノリのいい曲は自然と体が動くようで、子供たちには大人気だ。
そして、時間が来たので、園児たちをバスに乗せていく。
鬼の場所までは、歩けば近いのだが、途中危ないところが多いので、近くまでバスで連れていく。
そしてぐるりと一回りして、またバスに乗って帰ってくる。
これが本日の午前の予定だった。
「赤鬼おおきぃ!」
「目が光ってるよ!」
「鉄棒痛そう。」
子供たちは大はしゃぎで、口々に見た感想を言い合う。
「みんなぁ、鬼さんどうだったぁ?」
機縁後、お給食の時間までの間を使って、鬼を見た感想を言わせ、午後からはそれを絵にかく予定だ。
子供たちにしっかりとイメージを植え付けるために、感想を言わせて思い出させる。
「おっきかったぁ。」
「赤かったぁ。」
「目が光ってたぁ。」
子どもたちは、勝手気ままに言いたいことをいって収拾がつかなくなる。
とりあえず収めようと口を開きかけた時、今まで黙っていたせいじくんが口を開く。
「先生、あの鬼さんパンツはいてなかったよ。」
よく見ているものだと恵子は感心する。
今年の鬼は、間に合わなかったのか、パンツをはいていなかった。
さて、これをどう説明したものかと、恵子は頭を悩ませると、そばにいたきよふみ君が大きな声でいう。
「鬼はチン〇が付いてないからパンツいらないんだよ!」
突然何を言い出すのだこの子は。
確かに、あの鬼にはついていなかった……というか普通つけないだろう。
「えー、チ〇コついてたよー。」
「〇ンコついてなかったってば。」
「チン〇。チ〇コ!」
こうなったらもう収拾がつかない。
教室中のみんなが「チ〇コ」の大合唱。おかげで、隣のクラスの先生から後で大目玉を食らった。
しかし、なんで鬼のアレがついてない=パンツいらないってなるのだろうか?だったら女の子はパンツがいらないってことになるのでは?
せいじくんの発想に対して、これからどう付き合っていけばいいか悩む恵子だった。
◇
案件2 ひな祭りの恐怖
今日はまどか幼稚園のひな祭り。
今日のために一生けん命作った、紙のお雛様。
同じく、紙のひな壇には、お内裏様やお雛様、三人官女や五人囃子といったそれぞれの人形を置く場所に黒いシルエットを張ってある。
子供たちに「ここにはどれを置くのかなぁ?」と言って考えさせるための工夫だ。
雪洞や花の場所などもシルエットがあるし、当然そこに置くものも作ってある。
我ながらうまくできた、と自画自賛してみる。
それらの準備をしていると、あっという間に子供たちが登園してくる時間になる。
そして、全員が登園し、朝のご挨拶が終わったらお雛祭りの始まりだ。
恵子はシルエットだけのひな壇をみんなの前に出し、ひな祭りの曲をかけ、絵本を読み聞かせる。
絵本を読み終えるころには、みんなお雛様に夢中になっている。
恵子はシルエットを指さし、「ここには何が来るのかなぁ?」と問いかける。
「「「「「お雛様ぁ!」」」」」
みんなの声がそろう。
そうして順番に人形を置いてひな壇の完成が近づく。後は小物を置くだけだ。
「じゃぁ、これは何かなぁ?」
恵子は雪洞のシルエットを指さす。
「「「「「「マラカス!」」」」」」
子供たちの声がそろう……けど……。
「ちょっと待って、どこからマラカスが出てきたの?」
「マラカスだよっ。」
「うん、マラカス。」
みんな口々にマラカスを連呼する。
確かにシルエットだけ見ればマラカスに見えなくもないけど……。
恵子は仕方がなく雪洞を取り出してみせる。
「これだよ。これなぁ~んだ?」
「「「「「「マラカス!」」」」」」
……せっかくリアルに作った渾身の雪洞も子供たちにはマラカスに見えるらしい。
「えっとね、これはマラカスじゃなくて、ここにボタンがあってね……」
恵子は雪洞の説明を始めた。
「でね、このボタンを押すと……。」
「「「「「「どっかぁーん!」」」」」」」
みんなで声を揃えて爆発音を口にする。
……この子たち、もうヤダ……。
結局、雪洞のことは理解してもらえなかった。
◇
……と、いうわけで、今回は季節ネタ。
幼稚園児の発想って時々怖いものありますよね。
ってか、鬼の話、完全にセクハラだよね?
園児にセクハラって適用されないのかしら?
ということで、次回のネタもお楽しみに~……って誰も楽しみにしてないって。
あ、そうそう、一応お約束として……。
『このお話はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。登場する団体名・人物名はすべて架空の物です。』よ。
ではまたですぅ~。
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