死にたいよ!
久しぶりの投稿です。
是非、感想等も聞かせてください。
読んでくださる方、いつも
ありがとうございます。
その日、僕(鈴木一馬)は、仕事の帰りに
コンビニに、コーヒーを買いに寄った。
すると、車道に向けて、缶を投げる女性を
見かけた。
危ないと思い、思わず注意しようと近付いて
行った、その時、走って来た車に女性は
飛び込もうと、した。
とっさに腕を掴み、こちらへ手繰り寄せた。
すると、その女性は
「死なせて~どうして止めるの?将の所に
行かせて!」
と、泣き叫ぶ。
(どうしたんだ?何だ、これは?)
驚いた僕は、何とかなだめた。
「死んでどうするんだよ!何が有ったんだよ!」
その場で、泣き崩れる彼女。
何も言わない。
「とりあえず、家に帰ろう!送るよ!」
動こうとしない、彼女の手を引いて、車に
乗せた。
「家は何処?」
やっと聞き出した。
家迄、送ったけど心配なので、部屋迄送る
事にした。
「誰も居ないの?一人?」
彼女は首肯く。
僕は内心
(ヤバイな!一人だったら又、死のうとするな!)
「心配なんで、僕、今日はここに居させて
貰うから!」
「もう、大丈夫です。」
か弱い彼女の声。
「全然、大丈夫じゃ無いよ!キッチン使って
いい?何か食べる?」
首を横に振る彼女。
「じゃあ何か、飲み物入れるよ!」
冷蔵庫を開けると、牛乳が有ったので
ホットミルクを作って渡した。
「ありがとうございます。」
沈黙の二人。
僕は切り出した。
「あの~何が有ったの?」
天を仰ぐ彼女。
「僕は鈴木一馬、君は?」
「私は、桐谷杏です。」
「何か余程の事が、有ったんだろう?話して
みて、少しは楽になるかも!」
杏は黙っている。
そして何時間、過ぎたんだろう、杏が重い
口を開いた。
「私のせいで、彼が死んでしまった、今日で
10年なの。」
「えっ!」
「私は毎日、彼の迎えを待っていたけど
来てくれないから、彼の所に行こうと思って。」
「どうして君の、せいなの?」
杏は、一呼吸置いて、話をしだした。
「10年前の今日、彼が今日のコンビニで
缶コーヒーを買って来てくれたの、受け取った
私は向かいの、クレープ屋さんに行こうと
言って、道路を渡ろうと、二人で待っている時に、私、缶コーヒーを落としてしまったの
そのコーヒーは、道路に転がって行って、
それを彼が、取りに行こうとした時に……
車が車が走って来て。」
僕は分かった。
(はねられたんだ!)
「私の前で、彼は宙をまったわ!まるで
スローモーションの様に、即死だった、だから
今日、私は彼と同じ死に方を、しようと思ったの。」
「でも、偶然僕が見付けたって事は、彼氏は
まだ来るなって言ってるんじゃない?」
「もう、毎日が辛いの、あの日の事ばかり
思い出して、彼の両親にも辛い思いを
させてしまって。」
僕は部屋を、見渡した。
彼の写真と、お花が有った。
(彼氏を亡くした上に、向こうの両親にも
気を使ってるんだ。)
「僕、しばらく、ここに居るよ!友達は?」
「居るけど。」
「じゃあ、その子に連絡して。」
「うん。」
友達と話をした、僕は
「当分、僕と友達の涼華さんと、交代で君の
側に居るよ!」
「ほっといてください!」
「いや、見た以上は、ほっとけないよ。」
杏の友達にも、今日の事は話をした。
「やっぱり、私も心配してたんですよ、本当に
ありがとうございます、でも鈴木さんは、いいんですか?何の関係も無い、杏の為に!」
「目の前で、あんな光景を見たら、ほっとけ
ませんよ!二人で何とか、杏さんが前向きに
生きて行ける様に、頑張りましょう!」
「鈴木さん、本当にありがとうございます!」
こうして、三人ではあるが、交代の奇妙な
生活が始まった。
昼間でも、杏はカーテンを一切、開けない。
部屋は暗かった。
「杏さん、こんな暗い所じゃ、身体に良く
無いよ、カーテン開けるよ!」
「やめて!暗い所がいいの、将と最後に居たのは、夜だから、暗い方がいいの。」
(う~ん、これは本当に、手強いな!)
僕は、思った。