格ゲーで勝てる相手探してただけなのに美少女と付き合うことになってしまった
どうも、柏木ユウマです。
いきなりですがここで一句。
追放後 ざまぁしたった なろうかな
自分は現実世界の学園レベルならざまぁしなくても良い時が多いんじゃね?派です。
なので仕返しではなくこんな話を。
重要なのはエンド!(とピーク)
へったくそな文章かも知れませんが是非最後まで読んでみてください。
「お前よっわ!」
「しょうがねぇだろう、ほぼやったことねぇんだし」
「あはは、まぁな」
俺は今友達の裕太の家に来てあの有名格ゲーをしていた。
隣でずっと笑っている裕太。
それに対して俺は唇を尖らせ不満気に悔しさを噛み締めていた。
「笑いすぎだっつうの、何処にそんなに笑う場面が有ったんだよ」
「っ、いやごめん。あの復帰を妨害しようとして一人で死んでったの思い出したらw」
「テメェ、ミスったんだよ!悪かったな!」
「あはは、ガードに耐えれる限界あること知らなくて、怯んだときの表情も面白かったなぁ」
「アレは、だってガード何だから耐えてくれよ」
「あはは、はぁはぁ。何回やっても毎回何かしらやらかすの何なの?」
「しらねぇよ、それにまだ慣れてないだけ」
あぁ、クソ。
ムカつく、コイツに負けたのもそうだが。ここまで煽られては。
「あぁ、誰か俺より弱い奴居ないかな、一緒にやりたい」
俺も勝った時の気分を味わいたい…。
「クズ発言wそこはお前が強くなれよw弱いものいじめすんなって」
「お前だって弱いものいじめみたいなことしてただろ。コンボの練習に使いやがって」
全くどの口が言ってんだ。
俺の中の怒りパラメーターが上がって行く。
コイツは調子乗るとうざい。
「もう一回!」
「良いよ、あと100回やっても負ける気しないけど」
余裕の表情で再戦を受けさらに煽ってくる裕太。
1発殴ってやりたい。
「お前頭良いし、運動出来るしゲーム上手いし顔良いって何なんだよ。弱点あんのかよ。ナーフされろ」
「ふふふ、俺が頭良いんじゃなくて周りが頭悪いの」
「お前マジで性格悪いな。謙遜と思わせて貶すじゃん。友達失くすぞ」
無駄口を叩きながらキャラを決めゲームをスタートする。
「良いよ、お前が居るし」
戦闘が始り『ファイト!』とナレーション的なものが言った瞬間裕太がそう呟いた。
は?コイツ何いきなり寝惚けたこと言ってんだ?
正気を疑いつい横にいる裕太の方を見てしまった。
「はい、余所見厳禁!」
「あぁ!お前、性格わっる」
「あはは、始まってんのに余所見するお前が悪いんだよ」
まぁ良い、残機はまだある。
「はい、乙〜」
「……」
うん、普通に負けた。
「最初のズルくね?」
「今更?」
うぅ、そう言われると困る。
仕方ないので俺は溜息を吐き一度コントローラーを置いた。
「この部屋にあるお前の1番大事なものって何?」
「え?何だろう。あー?あの箱に入ってるプレミアカードかな」
「オッケー」
「いや待て待て待て何するつもりだ?」
箱に向かって歩いていた俺を急いで止めにくる。
肩に手を置かれたから取り敢えず払っといた。
「勿論、破る」
「マジで辞めてくれ!」
迫真の顔で叫ぶ裕太。
ここまで焦って感情的な裕太久しぶりに見た。
こいつコレクターだったっけ?
「良いか、その中に入ってるカードの中にはな。一枚で10万円以上するものもあるんだ」
「そうか」
それなら流石になぁ。
「売るわ」
「いや、本当にヤメロ」
真剣な顔で俺の肩に手を乗せ離さない裕太。
「はぁ、仕方ない。今日のとこは許してやる」
「お前出禁にすんぞ」
こいつの焦る顔も見れたし良いか。
コントはこれぐらいにしてもう一度テレビの前に座る。
「誰だったら勝てるだろ」
「お前慣れてないからな」
そうなんだ、俺は意外とゲームをしない。
誰かと遊ぶときにやるぐらいだ。
飽き性なので大体のゲームには飽きてしまう。
それに動画を見たり漫画やアニメを観ていたら時間がなくなってしまうのだ。
「女子とかあんまこういうゲームしたこと無いんじゃないの?」
裕太もやってきてコントローラーを握る。
「あぁ、してる奴もいるだろうけど。してる人は少ないかもな」
「あとは、ぼっちとか?」
「友達と集まるとき良くするからな」
女子で、ぼっち?
「あ!」
「どうした?」
「確かゲーム同好会の部室に同じゲームあったよな」
「あったっけな」
こいつはイケメンにありがちなサッカー部で一年なのにスタメンって奴何だが実はゲーム同好会にも入っている兼部って奴だ。と言っても知ってる奴は少ないが。
俺も入っている。
うちの高校は全員部に入らなければならない。
だから家に早く帰りたい奴、部活がしたくない奴は大体帰宅部に入るのだが。
ゲーム同好会も実質帰宅部みたいになってるし。
「確か、有っただろ」
「最近行ってないから分からん」
「お前、忙しいしな」
はぁ、掃除とか俺一人でやってんだぞ?暇だから良いけど。
先輩が一人いるんだが。
家帰ってPCゲームした方が良くね?って言って普段部室に来ない。
「そういえば先輩昨日会ったとき何かのFPSでアジア一位とってきたってめっちゃ上機嫌だったぞ」
「へ〜そうなんだ。凄いな。あの先輩の上機嫌なとこあんまり思い浮かばないわ」
「そう、俺も最初はビックリした。ホントに先輩か疑ったわ。そんだけ嬉しかったんだろうな。会ってすぐに自慢された」
「あはは、あのクールな先輩がねぇ」
そう、対して面識は無いけど。なかなかにクールな人なイメージがあった。
「楽しそうだったわ。俺も勝利の美酒を味わいてぇ〜」
「もう一戦やる?」
「もちのろん」
「ふわぁ」
窓際一番後ろの席で大きな欠伸をする。
あの後3回ほどしたが結局一回も勝てなかった。
何回か惜しいときはあったんだけどな。
「また夜更かしですか?」
「いや、昨日は早く寝ようと思って2時に寝た」
「全然早くないです。高校生だからと言ってそんなに夜更かししてはいけません。早く寝るようにしてください」
「ういっす」
こんなクソ真面目な言葉を放ってくるのは隣の席の樋山 涼音。
やっぱこういうギャグ的なのはダメかぁ。
マジレスされる。いや、センスなかったか?その説も、まぁ良いや。
適当な返事をしたせいで睨まれたので目を逸らしまた外を眺める。
樋山は今時珍しいぐらいの優等生の真面目ちゃん。
自己紹介でも若干マズそうな雰囲気を醸し出していたがそのあとクラスのカースト一位に明らかなるなぁって女子の服装注意して無事高校生デビューを失敗し、クラスでは浮いた存在だ。普通に可愛いっていうか顔整ってるし体型も悪くないから男子にはそれなりに人気なんだけど。ちゃんと話しける奴はあまり居ない。話しかけてきてくれた奴相手にもクソ真面目だからな。
ぼっちで女子。
あ!思い出した。
昨日別の話に移ったから忘れてた。
「樋山さんって部活どこだっけ?」
「え?」
「帰宅部?」
「そ、そうですよ。何か悪いですか?」
「いや、悪くない」
よし、これは行けるぞ。
あとは放課後まで退屈な授業を乗り切るだけだ。
くっくっく、これはもう実質勝利が確定してるみたいなもんだぜ。
退屈な授業とちょっと面白かった授業を終え放課後になる。
クラスメイトは皆んな部活に行ってしまった。
俺は校庭に裕太を探す。
現在連続18日見つけてる。
すると隣の樋山さんがやっと帰る準備を始めた。
危ない、危ないそういえば今日は用があるんだった。
「ねぇ、ちょっと着いてきてよ」
危ない、顔がニヤつきかけた。
落ち着け、俺はこれから何も悪いことをしない。
大丈夫だ、ちょっと相手がいないからちょっとやらせて貰うだけ、うん。
「何ですか?」
あぁ、警戒心MAXだわ。
「まぁ、良いから来なって」
もの凄い睨んでくる樋山。
ただ、慣れてないのが分かる。
だってあんまり怖くない。
「そう怖い顔すんなって、用事ある感じ?」
「いえ、ないですけど」
「じゃあ良いでしょ?」
「…分かりました」
俺も鞄を持ち教室を出る。
そして、ゲーム同好会の部室に向かう。
時々振り返って付いてきているか確認する。
めっちゃ離れてる。
けど、ついてはくるのね。
「別に何もしないって」
「私に何するつもりですか」
「いやだから、聞いてた?まぁ、どっちかというと君にやってもらうのかな」
あれ?何故かさらに離れた。
「ちゃんと着いてこいよ」
ここまでやって逃げられるのはちょっと嫌だ。
念を押して置き、また歩き出した。
◇◇◇
「ねぇ、ちょっと着いてきてよ」
本を切りの良いとこまで読み終わったので帰ろうと席を立ったとき隣で外を見ていた宮野 誠が声を掛けてきた。
問題児というほどでもないが何処か不真面目。
その態度があまり好きではなかった。
それに何だか少しニヤついていて君が悪い。
「何ですか?」
警戒心たっぷりの睨みを送る。
「まぁ、いいから来なって」
宮野くんはどちらかというと陽キャだ。
落ち着いてるときは落ち着いてるしチャラいときはチャラい。
なので、警戒心と嫌悪感を示すためさらに睨む。
「そう怖い顔すんなって、用事ある感じ?」
「いや、ないですけど」
「じゃあ良いでしょ?」
そこでさっきの言葉が失言だったと気付いた。
嘘でも良いから用事があると言っておけば良かった。
このチャラい人特有の逃げ道をなくす詰め方は苦手だ。
「…分かりました」
今教室には誰も居ない。
断ったら何されるか、私は仕方なく俯きがちに言った。
宮野くんが鞄を持ち教室を出る。
「置き勉…」
宮野くんの後ろを離れて付いて行く。
宮野くんは時々振り返って私が付いてくるのを確認していた。
最悪だ、遂に目をつけられてしまった。
いつも一人で居る私は狙い目なのかも知れない。実際私に味方なんていない。
これから私は人気のない教室の連れて行かれ、集団で…。
うぅ、何でこんなことに。
あの子の服装が校則違反だったから注意しただけなのに無視されるようになってしまった。
私は間違ったことしてない、なのに何で。
「別に何もしないって」
そんな私の様子に気付いてか声を掛けてくる。
最初の方に、『落ち着け、俺はこれから何も悪いことをしない。大丈夫だ、ちょっと相手がいないからちょっとやらせて貰うだけ、うん。』的なことを呟いていたし、もう何されるかは何となく分かってる。
それでも
「私に何するつもりですか?」
と聞いてみる。
「いや、だから聞いてた?」
何もしないはする人皆んな言うから信用ならない。
「まぁ、どっちかって言うと君にやってもらうのかな?」
ゾクっと背筋に悪寒が走った。
私が?何をやらされるの?
恐怖に思わず後退り距離をとる。
「ちゃんと着いてこいよ」
私は逃げられない、これから起こることに絶望しかけた。
でも、こんな人に屈しない。
◇◇◇
何だろうさっきと打って変わって闘志が漲ったような目をしている。
ん〜何か猛烈に勘違いされてる気がする。
まぁ着いてきてくれるしいいか。
ゲーム同好会の部室は教室から結構遠い。
別棟にあるのだ。
やっと部室に着く。
教室を開け中に入る。
樋山も入ってきてるか振り返ると扉の前で躊躇していた。
「お仲間さんは?」
「え?あぁ、今日は居ないよ、まぁいつもだけど」
「ふーん」
一度後ろを見たかと思うと下がって廊下を確認したりする、樋山。
キョロキョロし過ぎでしょ。
その間にゲーム機の準備をしてしまう。
しばらく周りを見たあと樋山さんが恐る恐ると言うふうに教室内を見渡し始めた。
クリアリング?まさかfps出身か?
俺の様子を伺いながらロッカーなども開けて行く。
「何してるの?」
「本当にあなた一人なんですか?」
「だから、他の部員は居ないって」
「部員?女子誘拐部?」
「いや無いでしょ!そんな部。違うってゲーム同好会だよ」
「女の子を連れ込んで如何わしい遊びをする部というですね。許しておけないです」
「いや、違うから!普通のゲーム同好会!」
未だに、怪しんでる。
はぁ、俺の連れてきて方も悪かったか。
でも、言ったら来てくれなさそうだったしな。
「はぁ、はいよ」
コントローラーを樋山に向かって投げる。
「え、ちょ」
あわあわと焦りながら何とかキャッチする樋山。
「ちょっと何するんですか!物を投げないで下さい!」
「良いから良いから。大丈夫、それエキスパートコントローラー略してエキコンだから、キャッチフレーズは象に踏まれても壊れない!」
「そんな訳ないですよね!」
「ほら、やるぞ!」
「え、ちょっと!」
俺はキャラを選んでしまう。
「ど、どうすればいいんですか?」
「何か適当に選んでAボタン押して」
俺がソファに座り、テレビを見だすと少し安心したのかテレビが見える位置に移ってきた。
「ソファ座りなよ、疲れるでしょ」
「セクハラやめて下さい」
「いや、座ったらって言っただけなんだけど!?」
漫才のようなことをしていると戦闘が始まった。
樋山さんがわちゃわちゃしてるのがキャラを見るだけで分かる。
そこに容赦なく攻撃をして行く。
「ちょ、どうすれないんですか?これ、あぁ、何か落ちたんですけど、ちょ待ってくださいよ、ま、待って、どう、え、ちょあぁ!」
顔がニヤついてくる。
いやぁ、初心者をボコるの楽しい!
これが圧倒的強者の気分か。
あ、やっとジャンプ覚えた。
ただ、その%だとクラッシュで!1発!
『game set!』
ゲームの音声が鳴る。
「いやぁ、これが勝者の気分かぁ。気持ちいい。おっと、お前は勝負を受けたんだから今更セコイ何て言うなよ?」
そこで、樋山さんの様子を伺う。
アレ?手震えてる?それともコントローラーの振動機能?
これ、怒ってる?泣いてる?!
「い、いや、ごめんってやり過ぎた」
「も……回」
「え?」
「もう一回!ちゃんとどういうのか教えてからもう一回!」
ワオ、泣きながら怒ってる。
そう樋山さんは俺にビシッと人差し指を突き付けながら言ってきた。
「まぁ、一回落ち着けって、ほら、ハンカチ」
「要らないです」
「うん、だよね」
樋山さんが自分のハンカチを出して涙を拭く。
「えー、まぁちょっと練習場行くか」
そう言ってトレーニングモードに切り替える。
「ッグス、ヒック」
「その、ごめんって。な、泣くなって」
「泣いてません」
「うん、もうそれで良いよ」
女の子を泣かせるのは紳士じゃなかったな。
まぁ初心者をボコってる時点で紳士もクソもないけど。
俺は理解した。こいつ、負けず嫌いだ。
「えっとー、Aボタンが……」
しばらくして説明を終える。
「それじゃあ、始めましょう」
「うん」
…………………………
まぁ、勝ったよね。
うん、俺以上にゲーム慣れしてないし、樋山さん。
結局アレから20戦ほどして。
最終戦績は最初のをいれずに19対1だった。
勝たないと終われそうになかったので。うっかりを装って負けた。
疲れた。
「まぁただ勝者の気分ってのは悪くないな」
うーん、あ、そうだ!
良いこと思い付いた。
俺は自分の部屋で一人悪い顔をした。
………………………
今日はいつもより早く起きて、高校に向かう。
俺の友人(と言ってもそんなに人数はいないのだが)の間では知れたことだが俺は性格が悪い。
ついでに言うと裕太も悪い。
なので、人をいじったりするのは大好きだ。
「つまりです。黒板に落書きします」
俺は無人の教室で1人呟いた。
こりゃ、驚くなぁ。
腰に手を当て出来を確かめ1人頷く。
そのときガラガラガラと教室の扉が開いた。
「何してるんですか?!」
「ん?」
後ろから愕然とした声が聞こえ振り返る。
そこには驚き固まっている樋山さんがいた。
「どうしたんだ?」
「い、いや。何やってるんですか!黒板に落書きなんて。それに、それ悪口ですよね!」
「あはは、驚いた?」
「驚きましたよ!」
少し怒り気味に言う樋山さん。
「いや、そんな怒んなくても。悪口って言ったって事実じゃん。『樋山涼音は格ゲー下手』って」
「それでもですよ!」
「えぇ…」
別に迫力があるわけじゃないが怒鳴られて思わず気圧される。
「貴方もいじめるんですか?」
さっきまでとは打って変わっていきなり俯きがちに悲痛な表情で言う樋山さん。
「いやぁ、俺はイタズラのつもりだったっんだけどねぇ。それを言われちゃ弱い、土下座で許して貰えませんか」
別にプライドも特にないので。
即座に頭を下げる。
「すいませんしたー」
「え、ちょ、立ってください。ていうか反省してませんよねぇ!」
しょうがないので頭を上げてから体を起こす。
ふむ、白か。清楚だな。
てか、白って普通履く?
いや、これ以上は汚い話になりそうだしやめよ。
「何だろう、多分女子の制服がスカートなのはこの為なんだろうな」
「何言ってるんですか?早く消してください」
「はいはい、消しまーす」
あぁ、良い出来だと思ったんだけどなぁ。せめて裕太には見せたかった。
60点はかたかったと思う。
「何、お前さ。いじめられてるの?」
「…貴方も知ってるでしょ?」
「あぁ、浮いてるねぇ。他にも何かされてるの?」
「悪口言われてます」
「他には?」
「嫌がらせされてます」
「具体的に?」
「何で言わなきゃならないんですか?」
「良いから良いから」
背中越しだが睨んでるのが何となく分かる。
不機嫌をそれでしか表せないのか?
無視しよ。
少し間があって樋山さんが口を開く。
「朝置いた場所と違うとこに自転車があったり」
あれ?そういえばいつか、俺のオキニの自転車置き場が取られてて自転車動かしたことがあったような。
「そんな些細な嫌がらせされないでしょ」
「一瞬焦りました、多分その様を裏で笑ってたんです」
「うん、何かごめん」
「え?」
「いや、なんでもない。続けて」
まぁ無くなったかと思うよな。
「あとは、朝来たら席が上げられてたり」
あれれ?そういえば花瓶倒して水こぼれたの拭くのに椅子あげたような。
元に戻したっけ。まぁあれに関しては花瓶の置き場所が悪かったと満場一致で決まったから。
俺しか居なかったけど。
「他には?」
流石にもう俺の所為じゃないでしょ、いやいや、今までのもそうと決まったわけじゃないけどね?
「肩ぶつけられたりしました」
あぁ、良かった俺じゃないわ。
「あと、黒板に悪口書かれました」
「それはごめん」
4分の3俺じゃん。
百分率にして75%
打率にすると7割5分、スーパーエースなんてレベルじゃないな。
「まぁまだそんな陰湿だったり、暴力的だったりはしないのか」
「十分陰湿だと思うんですけど」
「いや、まぁ、少なくともそのうちの2個は故意じゃないと思うから、多分」
「でも、浮いてるし、悪口も」
「気にしてんだ、1人が好きとかではないんね。良い子ちゃんの弊害だな」
「……」
まぁそりゃそうだ。
気にするわな。関係ないかと交わしてたが案外深刻だったのかも知れない。
あーあ、もっと別のやつ誘って格ゲーすりゃ良かったかも。
「格ゲーで自分より強い奴に勝とうと思ったらどうすれば良いと思う?」
「別に格ゲー上手くない癖に格ゲーで例えようとしてこないでください」
「いや、そこは乗ろうよ、まだ根に持ってる」
予想外の答えに躓いたが不機嫌そうな顔をして暗に根に持ってると告げた上で
「何ですか」
とやっと、俺が想定していた答えが返ってきた。
「自分が強くなるか、相手に手加減してもらうか」
「それで?」
「まぁ、焦るな。どっちが良い?」
「え?自分が強くなる方ですかね」
「へぇ〜」
「……」
「……」
「え?今のどういうことだったんですか!?」
しまった、何言おうと思ったんだっけ。
チョークの数、数えてる内に忘れちまった。
「あぁー、まぁさ。同じだよ。お前のこといじめてる奴を変えるのとお前が変わるのどっちが良いかって話」
「それは違くないですか?私は間違ってると思いません」
「あっそ、じゃあ何で悩んでるの?」
「それは、みんなに嫌われてるから…」
「気にすんなよ、じゃあ」
黒板を消し終わったので自分の席に向かい腰を下ろす。
「それは…」
「相手が間違ってる、悪い奴に嫌われても別に良いだろ?」
「……」
脆いねぇ、吹けば壊れるような矛盾を孕んだ正義だ。
いかにも、真面目な優等生。
生き方下手くそな奴だ。
「ホントはさ、ある程度周りの空気読んでさ。強い人にヘコヘコして弱い奴に威張ってみたいな感じで人は生きてくのよ。それが良いか悪いかは置いといてな?でもたまにお前みたいなよく分かんねぇ良い子ちゃんがいるんだよなぁ。今回の件、正しい、間違ってるとか置いといてお前が悪いんだよ」
「…いじめられる私が悪いってことですか?」
「いや、悪いことしたからいじめられてるの」
「それは違います!私はあの子のためを思って注意しただけです」
「それがムカツいたんでしょ。良い子ちゃんぶっててキモイそう思われたんだよ」
「……」
「…貴方のためなんて押し付けほどムカつくものはないよ」
外を向きながら言葉を探す。
だっせぇ、ここまで来たならすらすら出てきてくれよ言葉。
「何で、言い返してやんねぇの?うるせぇ、うぜぇって」
「それは…」
「お前の正義はお前を苦しめてばっかだな」
「ッ……」
樋山さんは、顔を歪め、悔しさと辛さを殺すように唇を噛み締めていた。
「無知は罪だな。馬鹿も罪だ。でも、お前の場合は教えてくれなかった社会も悪いな」
「それじゃあ、それじゃあ」
抑えてきた、咬み殺そうとしていた感情。
でもそれは何処へ行くこともできず蓄積されていき。
やがて、耐えきれなくなった心は、感情は口から、漏れ出す。
「私はどうすれば良いんですか!!」
それはもはや心の叫びだった。
「知らん!!今まで知ったように色々言ったし説教じみたことも言っただが。俺に答えを求めるな!そういうのは自分で決めるもんだ、正しいかだけじゃなくて、どうしたいかそれが大事だろ」
「……」
「ま、と言っても分かんねぇよな。そんなもんだ。誤ちは犯すもんだ、しゃーなしそのあとどうするかだ」
「……」
はぁ、だんまり決め込まれると困るんだけどなぁ。
ちゃんと分かってんのか?
いや、言い方が悪いか。
実質俺はどうしようもないって言ってるようなもんだ。
「しょうがないな」
「?」
俺の呟きに樋山、もうさん良いわ。
樋山が反応する。
「もう分かってると思うけど俺に今回のいじめを解決する能力は無い。代わりにだ。そんなくだらないこと気にする暇なくしてやんよ」
俺のそんな宣言に樋山は意味も分からず呆然としていた。
「俺が勝ったらお前が弱いと、黒板に書く。その代わりお前が勝ったら俺が弱いと黒板に書いて良い」
「わ、私は書きたいなんて言ってません」
「大丈夫、お前が勝つことないから」
「それじゃあ何の条件にもならないですよね!」
「あはは、まぁ良いから明日、いや今日から放課後ゲーム同好会部室ね?」
断られたりしても面倒なので俺は教室を出た。
………………………
その日の放課後。
何だかんだ言って樋山は来た。
「お、ちゃんと来たんだ」
「それは、一応」
俺が待ってたら申し訳ないと思ったんだろうな。
ったく、呆れるほど真面目な奴だ。
「お前損な性格してるよな」
「…」
「いや、ごめん。落ち込むなって、別に良いだろ」
「嫌にもなりますよ」
「ちょっとは自分のこと許してやるこったな」
コントローラーを探し渡す。
俺は黙ってゲームを開始した。
………………………
その日は勿論俺が勝った。
でも、あれから馬鹿しながらゲームをする内に樋山は少し明るくなった。
いや、ごめん。別に前から暗くないわ。
でも、少し変わった。
悪口とかも気にしなくなったらしい。
知らんけど。
これがギャル化って奴かお父さんが悲しむな。
「ソファに上履き履いたままで乗らないでください!」
前言撤回くそ真面目なまま変わってないわ。
「遅いー」
「それは、すいません」
体を起こしコントローラーを渡す。
「他のゲームはないんですか?」
「あるけど何?負けるのやになってきた?」
「いや、そろそろ宮野くんでは相手にならなくなるかと思いまして」
「お前一回勝ったぐらいで調子乗んなよ?」
さて、じゃあそんだけ大口叩いたんだから、ね?
キャラピックを済ませ、ファイトが始まる。
今回は集中してチャンスを窺う。
まぐれだが負けてしまったので一応練習してきたのだ。
「ここ!ドンマイだったな。人生終了のお知らせです」
打ち上げてからの叩きつけからの掴みからの対空からのメテオ。
はいコレ、即死コンボ。
「え?」
何も出来ずに負けたことに愕然とする樋山。
「ふふふ、あれ?誰がそろそろ相手にならなくなるだったかな?」
悔しがってる、悔しがってる。
「もう一回です!まぐれでしょあんなの」
「っは、吠えてろ」
………………………
危ねぇ、勝ったけど。
既にこの朝の俺が黒板に樋山弱いと書くのはお決まりになってきた。
田中がタイキックされて方正がビンタされるようなもんだ。
何回か怒られたし他のある程度の正義感みたいなのを持ってる奴に止められたりもしたが無視した。
そういえば昨日はクラス中に激震が走ってたな。
あの樋山が黒板に俺の悪口書いたって。
そういえば最近女子ともそれなりに話してるなぁ。
俺が勝って黒板に描き続けてた効果あったかね。
教室に入って荷物を置きすぐに黒板に向かう。
「ねぇ、宮野くんもうその黒板に書くのやめなよ!」
最近樋山と仲良くなってきた女子か。
「んー、何で?」
「ほら、樋山さんも嫌だろうし」
「あっそう」
無視して黒板に文字を書く。
最近だと黒板の文字から状況を考察するスレがあるらしい。
別にそれ学校裏掲示板でしなくて良くない?悪いことみたいじゃん。
こそこそしたいの?
そこで芸術点を付けられているのだ。なので、俺も手を抜けない。
やったるぜ!
なんだろう、書いたそばから消すのやめてもらって良いですか?
………………………
ちょっとした用事で先生に呼ばれていたせいで部室に行くのに遅れてしまった。
まぁいつも俺のが早いし良いでしょ。
一度教室に戻って荷物を取る。
そのまま部室に向かおうとしていると階段から声が聞こえてきた。
「アンタさぁ、最近調子乗って無い?」
「マジでそれ。イラつくんだけど」
「え、いや。そんな」
聞き覚えあるな。といってもこの学校にいる奴らの声聞いたことない奴、いるわ。
樋山とあのお局様か。
「アンタみたいな教師に好かれたいだけで猫被ってる良い子ちゃんムカつくんだよね〜」
「それなw」
「おーい、ソイツがくそ真面目なのは猫被ってじゃないぞー。猫被っての方が楽だった。コイツガチの良い子ちゃん何だわ」
「え?」
「は?宮野?」
おっと、間違ったこと言ってるもんだから思わず首を突っ込んでしまった。
しょうがないので階段を降り樋山の隣に行く。
「コイツが調子乗ってるってのは俺も同意見だから分からせるわ。ってことで借りてきまーす」
それだけ言って俺は樋山の腕を引いてさっさと部室へ向かった。
「あの、ありがとうございます」
「別に良いよ、助けたっていうより連れてきたかっただけだし」
「…優しいですね」
「ん?何か言った」
「いや、何でもないです」
んー、やっぱ畏まった感じがするんだよなぁ。
「お前さ、良い加減け」
いやいや。何言おうとしてんだ。
別に関係を進めたいとか思ってるわけでもねぇだろ。
向こうから敬語をやめようとしてないんだったら良いさ。
敬語で誰とでも話すとしても誰か女子がタメ語にしようとか言って。友達の距離感だって分かるだろ。
「何ですか?」
「いや、何でもない」
額に手をやり、仄かに芽生えた感情を振り払う。
「そうですか」
「あぁ、早く始めようぜ?」
でもまぁ、もう少し。
………………………
ドン。
顔の横数センチのところに伸ばされた手。
まさか、俺がこんなに女子に迫られることがあるとはねぇ。
壁ドンじゃん、女子からされるとはこんな状況じゃなかったら嬉しかったかもなぁ。
「ねぇ、アンタさ。樋山のこと無視しろよ」
「え、嫌だよ。そんなことしたら絶対後々面倒じゃん」
もう、友達もできたっぽいし。
ノリとか、悪戯とかも分かるようになってきた。
相変わらず規則に関しては厳しいところもあるが。
少し注意するから程度に抑えているものもある。
融通効かない超頑固やろうから融通が多少効き始めた頑固やろうぐらいには変わってきた。
「はぁ?あんたに拒否権なんて無いから」
うーむ、強引。
いかにもDQNな感じの言い方だ。
テンプレすぎて一瞬ネタかと思った。
「はは、お前には命令権があるのかよ」
俺の答えを煽りと感じたのか、カースト上位系女子は顔を引き攣らせた。
「アンタねぇ、あんまり舐めてるとアンタもいじめるわよ」
隣で付き添いの如く立っていた女の子が声を上げる。
へぇ〜、やっぱいじめてる自覚はあるよな。
俺もいじめるねぇ。
果たしてカースト上位女子には男子をいじめる力はあるのかな?
別に俺はクラスで孤立しているわけでもないからなぁ。
「はいはい」
話してても無駄だな。
俺は適当な返事をしてその場を去ろうとした。
「待ちなさいよ!正義のヒーロー気取りしてんじゃ無いわよ。うざいのよ。アンタもあの女も!いじめられた子を救ったとでも思ってるのかも知れないけどね。そんなことないから!」
気に食わない奴は、とことん不幸になってくれないとムカつく。
残念なことに理解できない感情じゃないな。
嫌いな奴には視界に入った状態で笑って欲しくない。
そんな理由か。
「別に思ってねぇよ、何となく一緒に遊んでただけ」
皮肉なことにコイツは俺がしたことが分かってるんだな。色々嗅ぎ回ったのか?
頑張ったことに気付いて貰えると嬉しいねぇ。
こんな奴じゃなきゃもっと良いんだがな。
「あぁ、もう。そういうところがムカつくのよ」
そう言っていきなり制服のボタンを開け始めるカースト上位系女子。
「ここで私が叫んだらあなた一貫の終わりで」
成る程ね、そういう手段に出るか。
「そういうのは好きな男にだけ見せるもんだよ」
あまり、好きではないんだ。
俺は女と関わったことが少ないから、そういう感覚が分からない。
コイツ的には本当にどうでも良いんだろうがな。
「ちょ、流石に」
付き添いの女の子が急いでボタンを付ける。
いや、お前は侍従か。
「だ〜か〜ら!そういうとこがムカつくのよ!」
ただ、そんなもの気にもせず俺に向かって叫ぶカースト上位系女子。
「何言ってるんだ。カッコつけずして何が男か」
それに対し某慢心王のごとく俺は言い放った。
言いたかっただけなんだ、すまないカースト上位系女子、混乱するよね。
まぁ良いや。
「うざすぎ、アンタみたいな無能な目立たない奴は黙って私の言うこと聞いてれば良いのに。あの黒板のだって目立ちたくて利用しただけでしょ?」
別に目立ちたくてやった訳ではないが目立つってのも楽しかったし否定はできないか。
そう見ることもできる。
非情なことに、重要なのはどう思ってことをしたかじゃなくて周りにどう見られたかだ。
大体の人にそう見られたのなら俺の行動はそういう意図だったも同義だ。
「私が一声掛ければアンタなんて簡単にいじめれるのよ!」
圧倒的プライド、これを持ってる奴はどいつもこいつも面倒くさいことこの上ない。
コイツの場合、自分より立場的に、弱い奴が自分に楯突くのが許せないと。
そんなにムキになることかね〜。
「あっそ」
良いよ、俺にはお前なんかが何言ってもどうしようもない友達が居るから。
口には出さんが、だってもう
「何してんだ、誠」
来てんだもん。
「坂本くん?」
「よう、裕太、いm」
「ちょっと待て、当てる」
俺が説明しようとしたのを遮り意味分からんことを言い出す裕太。
いや、どうせ当たらんし。
メンドイんだが。
「まず、深山と誠の間に何かあった。花咲が少し前目で気持ち間に入るような体勢なことから対立してることは分かる。そして若干乱れ、ボタンを掛け違えているシャツ」
「あっ…」
あ、そうそう思い出した。カースト上位系女子が深山で、付き添いが花咲だ。
さて、迷探偵裕太の推理は何かな?
「つまり、誠。お前襲ったな」
少しためを作った後で犯人を言い放つ探偵の如く俺に指を突き立てる裕太。
「いや、ちげぇよ。俺の様子を考慮しろ!」
そんなさっきまで襲ってた人の様子じゃないだろ。
「いや、だってお前がガチで装ったら俺分かんねぇもん。安心しろ性格は考慮した」
「お前は俺を何だと思ってるんだ…」
はぁ、相変わらずのふざけように溜息を吐く。
クール気取ったり色々してんのに面白いこと思い付くとすぐにふざけるんだから。
今も1人で笑ってるし。
まぁやるときはやる奴って言う褒め言葉だと思っておこう。
「まぁ良いや。話すほどのことでもない。帰ろうぜ」
「オーケー」
特に話すことは最初からなかったし。
早く遊びてぇ。
どうでも良くなった俺は裕太を誘ってもう一度踵を返した。
「あ、ちょ」
裕太の登場andボケに何が何やら分からず呆然としていた深山たちが話しかけてくる。
俺が無視して歩を進めようとすると裕太が振り返った。
「あのさ、コイツ俺の親友なんだけど。いじめる、だっけ?出来ると思ってんの?あと、あんまつまらないことするなよ」
「っ」
裕太が振り返り戻って来る。
「あぁ、あんま女子責めんの好きじゃないんだけどな。親友の頼みだからね」
「あんま親友、親友言うな」
「あ、照れてんの?マジで可愛くないからやめて?」
ガチトーンで言われると気付つくんだが。
可愛い子は可愛いがそれはチビ限定だ。
俺みたいな高校男児が照れれば事実キモい。
「うざ」
「ガチトーンで言うのやめてくんない?」
ふざけあいながら俺は帰った。
あ、そうだ。
今日は先帰るって言っとこ。
スマホを取り出しチャットを送る。
「…そうか、前までメアドだったのに今はもうチャットなんだなぁ。女子と初めて交換!とか感激すんの」
「何お前ジュネレーションギャップ感じてるの?」
………………………
「昨日は何で来なかったんですか?」
「気がのらんかった」
「そうですか」
一時期センチメンタルになってたときはこういうこと言うと迷惑ですか?とか聞いて落ち込みかけてたりしてたけど。
もう全然大丈夫だな。
うん、大丈夫そうだ。
裕太に釘刺して貰っといたし。
何か有ればどうにかするか。
何戦かした後。
いつもならそろそろラストバトルの時間。
「あの、これ買ったら一つお願い聞いてくれませんか?」
「え?何負けてるから。最後に買った方が勝ちみたいな?」
「い、いやそういう訳じゃ!」
「良いぜ、乗ってやる勝者の余裕を見せてやらないとな。これで最後だ」
◇◇◇
『これで最後だ』
それは今日の最後という言葉のはずなのに。
どこか私を不安にさせた。
この関係が終わってしまうような。
いや、例え相手がそう思ってなくても私はこの関係を終わらせに来た。
伝えるんだ、この思い。
◇◇◇
良いねぇ、気合い入ってる。
願いが何かは知らないが。
気合いが入ってれば負けないってわけでもないんだぜ。
「あれれ〜?その程度?」
「っ」
よし、上手くコンボ入れて優勢に持ってきた。
まだいくらでもひっくり返る状況だがこういう煽りも大事だ。
「はい、はいはい!っと」
「あぁ!」
よっしゃ一機目!
相手の残機は2個。
「って、あれ?リモコンの操作が。あぁ!充電されてない奴はじゃん。これ!」
そういえば今日は珍しく樋山が先に来て準備をしコントローラーを渡してくれた。
繋ぐ工程もしてくれてたから充電確認して無かった。
咄嗟に樋山の方を見る。
「し、知りませんよ。確認してないあなたが悪いです」
言うねぇ。
「あ、お前待てよ!」
待ってくれるのかと思いきや突き落とされた。
急いでケーブルを持ってきて充電、ゲーム機と接続する。
「ズル〜」
「充電が切れたら相手も止まってなきゃダメというルールはないでしょう?」
いや、大会とかだったらあるんじゃない?
まぁ大会じゃないから良いけど。
「そ、その。すいません」
あ、真面目な心がダメージ追ってる。
それだけ勝ちたいってことね。
「あはは、そういうのは勝ってから言えよ。どうせ勝てないだろうから謝んなくて良いぜ」
「いえ、私が勝ちます」
お互い集中して無言でキャラクターを操作し。相手を場外に吹っ飛ばす。
「やべ、ミスっ」
「ここ!」
俺のミスを絶好の機と捉え吹っ飛ばし、復帰を阻む樋山。
『GAME SET』
負けた。
「あちゃー、ラストミスっちゃった」
勝ちたかったなぁ。
「んで?お願いって何?」
このお願いだけ聞いたら。
ここで格ゲーするのはやめにしよう。
樋山にも友達できたし。縛るのは良くない。
格ゲーを良くする女子もあまり居ないだろうから、あんまり学校でやったりしない方が馴染めるだろ。
「その」
最後勝っときたかったなぁ。
まぁ総合で言ったら俺が勝ったし。
結局、樋山は俺に1日の総合でほとんど勝ててないなぁ。
「あの」
「何?」
裕太みたいにイケメン爽やかではないから優しい気に微笑んで聞いたりわしない。
それでも、ちゃんと聞くという姿勢は伝わるように。
「好きです、私と付き合ってください!」
「え?」
およそ俺はモテた経験がない。
だから咄嗟に理解出来なかった。
「いじめられてる私を助けてくれて、意地悪だけど、優しい宮野くんが好きです」
緊張か、羞恥か。
樋山の声は少し震えていた。
多分どっちもだ。
顔は俯いてて見えないが耳が赤くなってる。
精一杯の勇気が感じられた。
好き、好きね。
そうか、そうだったのか。
カッコ悪いから否定したいけど。
俺はちゃんと樋山に助けてくれてると思われてるのが何だか嬉しかった。
別に好かれるわけにやった訳ではない。これはホントだ。
ただ、バカなコイツが見ていられなくて。
重要なのはどう思ってことをしたかじゃなくて周りにどう見られたかみたいなこと前に言ったがそれ以上に大事なことがあったな。
好きな奴にどう見られてるかだ。
「一応聞くと拒否権ってある?」
「…私が勝ったらお願い聞くって言ったから、なし、で」
俯いたままで呟くように言う。理性と感情が争ってでもいんのか?
真面目出てるねぇ。
「良いよ、ってのもおかしいか。俺も好きだ付き合ってくれ」
「っ、うん!」
顔を上げ安堵と同時に日陰者には眩しくなっちゃうような笑顔になる樋山。その目尻には少しだけ涙が浮かんでいた。
そのいつもとは違うクールな樋山の純粋な様子の俺は何だか驚きと同時に安堵を覚えた。
「ズルして勝っといて拒否権はなし、お前って案外ワガママなんだな」
「っう」
まぁ、知ってたけど。
ずっと頑固でワガママだ。
ただ、その上手い具合なバランスが樋山は段々掴めてきたような気がした。
ここは一つカッコつけるためにもこうしとこう。
格ゲーで勝てる相手探してただけなのに美少女と付き合うことになってしまった。
何だか最近のラブコメみたいで、良いだろ?
高評価!チャンネル登録!通知オンお願いします!ってこれはYouTubeか。
最近VにハマったのでVの話も書きたい。
それではもう一度。
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