イベント後
イベントが終わり、恭弥は戦っていたフィールドから元いた中央広場に転送され、戻っていた。
イベントは終わったが、プレイヤーの間ではお祭り騒ぎになっていた。
戻ってきた恭弥は、その活気あふれる雰囲気を味わおうと歩き出そうとすると
「おい、お前…クロって名前だったよな?」
と見覚えのある顔のプレイヤーが話しかけてきた。そのプレイヤーは、最後に戦ったでかいハンマーを使っていた男だった。
「俺は、ガドルってんだ!最後はやられたぜ!」
と悔しそうに言いながらも笑顔で手を差し出してきた。
キレられると身構えていた恭弥は、予想外の爽やかな対応にオドオドしつつも、握手を交わした。そして、またやろうなと挨拶を交わして、ガドルは去っていた。
そして、改めて歩き出そうとすると
「“クロ”さん!」
と今度は見覚えのない顔だが聞き覚えのある声の女性が話しかけてきた。
「えっと…どちら様ですか?」
恭弥は戸惑いながらも聞いてみた。
「お兄ちゃん!…だよね?」
その女性の受け答えでやっと恭弥は気付いた。
「…まさか、智美か??」
半信半疑で聞き返すと
「そうだよ!」
と返事が返ってきた。
「お前、アムシュターク始めたのかよ!」
「うん!お兄ちゃんが楽しそうだったから!
へへっ、サプライズ大成功!」
悪戯そうに笑う智美と智美の目論見通りに驚かされたと苦笑いする恭弥。
「てか、お前のハンドルネームは?」
「クロミだよ。」
「いや、伊黒智美でクロミって安直すぎるだろ。」
「お兄ちゃんだって伊黒恭弥だからクロでしょ?お兄ちゃんの方が安直だと思うけどな〜」
「うるせっ、あとゲーム内では本名はヤバそうだし、ハンドルネームで呼び合おうぜ。」
と他愛もない話をしながら歩いている2人の横を通り過ぎた女性が1人、振り返って2人を見つめていた。
「あっ、あのカフェに入って話そうよ!」
智美の提案に乗って、2人はお洒落なカフェに入っていった。
「ゲームならいくら食べても太らないよね?」
「お前、お金あんのかよ?」
「えっ、お兄…クロが払ってくれるんでしょ?」
智美は、ストレスを発散するかの様にメニューにあるスイーツを片っ端から頼んでいった。恭弥は苦笑いしつつ、コーヒーだけを頼んだ。
「お前、職業とかそういうのどうするの?」
「んー、お…クロをサポートする感じで生産職になろうかなって思ってる。今日改めて思ったけどクロ、ガチ勢過ぎるんだもん」
「いや、そこまでじゃないだろ
生産職か…フレンドに鍛冶屋のアインと薬屋のエルがいるけど、紹介しようか?」
「えっ、男の人でしょ?大丈夫?てか、お兄…クロに友達いたんだ」
「余計なお世話だよ。最初は俺も付いて行くし、あいつらは人が良さそうだったから大丈夫だろ…多分」
「多分って…まぁ、クロがそう言うなら一応行ってみる!」
そして、その後も今までゲームであったことなどの会話を交わして、智美が全てのスイーツをコンプリートした後に、2人はログアウトした。




