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最強の傭兵〜VRMMOでも世界最強?〜  作者: ハロウィン
第2階層
118/152

ゲシュペンス島①

 恭弥たちはネームプレートを握り、空中散歩を楽しんだ後、昨日探索したアリマン島の次に着いた島は、ゲシュペンス島である。

「ゲシュペンス島も図書館で見た本に書いてなかった?」

「あったな」

「どういう島なんだっけ?」

「妖怪とかがでるんだったと思うけど」

「うん…そんな感じがする…」

 恭弥と智美、ティアの目の前には、廃れた昔の民家がいくつも建っている村があり、どんよりとした空気が流れている。ティアは不安そうな顔をして、智美の腰の裾をギュッと握っている。

「行くぞ」

 恭弥は歩き始める。しかし、智美とティアは動かない。

「行かないのか?昨日はあんなはしゃいでたのに」

「だって…出るんでしょ?妖怪が…」

「あれ?お前、そういうの苦手だっけ?」

「ホラー映画とかは見るだけだから楽しめるけど、実際にやられるのは…無理!ほら、ティアも怖がってるし…行くのやめない?」

「…ティアのお兄さんがいるかもしれないんだから、一応見て回らないとな」

 恭弥は、ニヤニヤと笑っている。

「クロだけで行けばいいじゃん!」

「俺、お兄さんの顔知らないし」

「…確かに…」

「ほら、行くぞ」

「あっ、待って!私たちも行くから〜」

 恭弥が再び歩き出し、慌てたように智美とティアも早足で歩き始めた。


 3人が村に踏み入ると、より一層不気味な雰囲気と心なしか冷たい空気が流れていた。

__カタッ

「!?絶対なんかいるよ〜…」

 智美とティアは、ガシッと恭弥の腕を掴んでいる。

「うん、結構いるみたいだな」

「だよね…って、えっ!いるの?!!」

「ああ、家の中に気配がある…入ってみるか?」

「入んないよ!」

 智美だけでなく、ティアもブンブンと首を振っている。

「まぁ、中に人の気配はないから、入って確かめる必要はないけどな」

「じゃあ、早く行こうよ〜!」

 ティアは智美の意見に賛成のようで、うんうんと首を縦に振っている。その後も、恭弥たちは廃れた村をぐるぐると見て回った。


「ねぇ、誰かいない?」

 智美は、広い庭がある大きな民家を指さした。その指の先には、黒い質素な着物を羽織り、犬のような仮面をかぶっている何かが庭先に座っている。

「プレイヤーかな?話しかけてみようよ!すいませ〜ん!」

「あっ、おい!そいつは…」

 智美は、ゲシュペンス島で会った初めての相手が人の姿をしていた為、安心したように話しかけた。

(…なんでこいつはあんな無鉄砲なんだよ…)

 恭弥はまだ腕を掴んでいる智美をチラッと見てため息をつく。

「あの…大丈夫ですか?」

 終電を逃して駅前にいる人のように座りこんでいるそれを、智美とティアは覗き込んだ。

「あぁ…」

 話しかけられたそれは顔を上げた。

「お、お嬢様!!お嬢様〜!!!」

 それは急にティアに突っ込んできた。恭弥はサッと、それとティアの間に立ち塞がる。

「お嬢様…私でございます!ユキでございます!ずっと…ずっとお待ちしておりました…」

 ユキは恭弥をすり抜け、ティアに抱きつくが、スカッとすり抜ける。

「おい!」

 恭弥は声をあげ、智美とティアを自分の背中の方へ引っ張る。

「お嬢様…!お嬢様!」

「ティアちゃん!こいつのこと、知ってるか??」

「こんなひとしらないっ!!」

 恭弥が質問した瞬間、ティアはブンブンと首を振る。その姿を見て、ユキはあからさまにショックを受けた様子で、ズゥーンとその場に膝をついた。

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