初のダンジョンクリア報酬
なんとか、ダンジョンボスの大蛇を倒した元傭兵の伊黒恭弥だったが、毒に侵され死にそうになっていた。急いで街に戻り、なんとか死なずに済んだ恭弥は、一旦落ち着いてから、ダンジョンのクリア報酬を確認することにした。
「昨日は流石に死ぬかと思ったわ〜」
大蛇の毒で死にかけた恭弥は、1日経って少し落ち着いた場所で、ダンジョンのクリア報酬を確認していた。
◇◆◇
ダンジョン[大蛇の洞窟]クリア報酬
5万ジル
大蛇の黒皮
黒蛇の短刀〈レアアイテム〉
STR+20
スキル 【毒牙】
30%の確率で相手を毒の状態にする。
スキルスロット【空欄】
取得条件
ボスを単独かつ初回戦闘で撃破する。〈初回限定〉
黒蛇のピアス〈ユニークアイテム〉
スキル【召喚】
MP25使用して、アサシンスネークを召喚できる。
取得条件
初期装備に杖を選んだプレイヤーが単独でダンジョン
を攻略する。〈初回限定〉
◇◆◇
(5万ジルか…ポーションで予想外の出費もあったし普通に嬉しいな。そして、大蛇の黒皮と…黒蛇の短刀か…レアって結構すごいんじゃね?器用貧乏のスキル持ってるから、俺でも使えるしな。もう一つはユニークアイテムか…これもすごいやつかな?あとで、人がいないとこで召喚してみるか…)
と恭弥は広場にある噴水に座って、青いパネルと睨み合っていた。
レアアイテムは、ある特定の条件を満たしたプレイヤーもしくはレアな素材でオーダーメイドしてもらうと得られるアイテム。ユニークアイテムは、特定の初期装備又は職業を持つプレイヤーが特別な条件を満たした場合にのみ得られるアイテムで、どちらも珍しいことには変わりはない。
そして、このゲーム「アムシュターク」にはテイマーやサモナーの職業はない。偶然ではあるが、恭弥が初めてモンスターを使役できるプレイヤーになっていたことをまだ知らない恭弥だった。
報酬の確認が済んだ恭弥は、装備を作ってもらおうと店主アインの小さな鍛冶屋に向かった。
「すいませーん」
恭弥が店の中に入ると
「おっ、昨日の兄ちゃんじゃねーか。どうした?」
今日は、カウンター越しに何か作業していたアインが答えた。
「黒兎の毛皮集めてきました!」
「早いな!?どれどれ…50枚もあれば十分だな。金は用意できてるんだろうな?」
「あっ!まだ、魔石を金に変えてない!」
気持ちが先走っていたらしい恭弥は、アインに魔石を換金できる所を教えてもらうと慌ただしく、店を出ていった。
数分後、恭弥は魔石を43万ジルに変えて戻ってきた。
魔石は大体1万ジルが相場で、ダンジョンで50匹くらいのモンスターを倒していた恭弥は結構稼ぐことができた。ドロップアイテムを一人占めできるとこが、ソロプレイヤーの利点と言えよう。
「黒兎の毛皮50枚と25万ジルでスーツは作れるけど、他にはいいのかよ?武器とかさ…」
「うーん、武器はいいかなぁ…あっ、これで靴とかベルトって作れる??」
そう言って、恭弥は大蛇の黒皮をアイテムボックスから取り出した。
まじまじとそのアイテムを見て
「大蛇の洞窟に行って来たのかよ?!お前さん…結構強かったんだな…」
と苦笑いしつつも、恭弥のことを少し見直したアインは
「オッケー!これで靴とベルトは作れるぜ!20万ジルは貰うけどな…笑」
と快く引き受けてくれた。
明日には完成していると言われた恭弥は、その日はログアウトして、次の日に受け取りに行くことにした。




