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エロゲのヒロインになったオレは、主人公になった実の弟に狙われている。

作者: DAKUNちょめ

朝、目が覚めたオレは自分の目を疑った。


小綺麗にされた見知らぬ部屋に居たからだ。


何だか可愛らしい小物が並んだ棚?

壁には見た事も無ければ興味もない洋画の切り抜きだかポスターだかがオシャレに飾られている。


そんで、えらくいいニオイがする。


オレの家のトイレの芳香剤を超グレードアップさせたような花の香り?


何て言うか…絵に書いたような女子の部屋?

そんな部屋にオレはいた。


そしてオレはベッドの上であぐらをかいている。


オレの寝床は畳に布団だった。なぜベッド………。


オレは寝ている間に誰かに拉致されたのだろうか?

そして女子の部屋に監禁……


いや、意味がわかんねーわ!正気かオレ!


あぐらをかいているオレは、腕を組むと深く考え出した。

深く考えて、なにげに自分の身体の下の方を見る。


そして目に入ったモノに驚愕する。


リボンの付いた、おパンティー。


「だああっ!!正気かオレ!正気か!?なぜパンティをはいている!」


思わず大声を出した、そして自分の声に冷や汗が出る。

いわゆる…アニメやゲームで聞くような女子の声…。


待て待て待て、夢にしてもコレはない。

オレが見るような夢ではない。

オレは、そういうアニメにもゲームにも興味無い。


ベッドを下りて、ドレッサー?とかいう鏡を見に行く。


「正気かよ…嘘だろ…。」


鏡に映るオレは短いTシャツをパジャマがわりに着てピンク色の髪をした、いかにも正統派ヒロイン的な女子だった。



まじまじと顔を見る。ウインクしたり、フェイントかけて変顔したり。


まったくブレがない。鏡の向こうに可愛い女の子が居て、オレの表情を真似しているわけでもない。

紛れもなくオレの顔だ。


待て待て待て…オレはオレのハズだ。まずは自己確認が必要だ。


「おおがみいちか!櫻田高校二年!」


ちなみに漢字では大神一火と書く。

長男で火曜日に生まれたからだそうだ。

土曜生まれだったら、「いちど」だったのだろうか…。

木曜日生まれなら「いちもく」とか?


キリが無いので考えるのをやめよう。


「やだ、私ったらナニ言ってるのかしら!」


オレの言葉を遮る、オレの身体の声。


「私は小鳥遊寧々、アイネクライネ学園二年生よ!」


自己紹介乙!…だがなぁ…


ねーよ!オレの地元にそんな、横文字のシャレた名前の学園なんざ!どこにあるんだよ!その学園!


しかし…たかなしねね?……どっかで聞いた……どこだ…。


「やだ、学校行かなきゃ遅刻しちゃう!」


オレの意識を宿したまま、ネネとやらは動き始める。


うーん…さっきはオレが喋ったり、オレの意思で動いていたよな?

もしかしたら、オレがこのネネとやらの身体の主導権握れたりすんの?


ちょっと試して……み……るのは、また今度だな……。


彼女は着替え始めた。

オレは、なるべく意識を小さく小さく…何て言うか、無に近い状態になるよう頑張った。


こんなん、風呂とかトイレとか入られたら…うん、無になろう。


そこはネネ自身に任せよう。




ネネは着替え、家族と会話をしながら朝食を食べ、家を出た。


ネネの中にいながら、少しずつ情報を入手していく。


オレはネネの中に居て色々考えたり悩んだりしているワケだが、身体の持ち主であるネネの思考を感じない。


何てゆーか…オートで動くロボットに乗っているような感覚?

オレが操縦しなければ勝手に動いていくが、そこに意思を感じないというか…。


て、いうか何だ、この世界…。

夢にしては現実的過ぎる。

だが、現実だとするなら余りにも突飛で馬鹿げた世界。


そもそも清純派な女子は、どピンクの髪をしてねぇ!


だが…ネネ…たかなしねね…どピンク頭の女子…。

どっかで見たよなぁ…。



やがて、ネネは学園に到着した。


「おはようネネ!」「おはようネネちゃん!」


おわー…ピンクどころか、緑やら水色やら…色んな髪色の連中だらけだわ。女子も野郎も。


たまに黒髪やら茶髪を見るとホッとする。


ネネが自分の席に座る。

自慢じゃないがオレは勉強がキライなので、授業はネネに任せてオレは意識のすみっこでダラダラしていよう。


「おはよう、小鳥遊さん。今日から新学期だね。」


クラスメートらしい野郎に声を掛けられたようだ。


「おはよう、絶頂ウェイ丸くん。」


は?何て言った?スゲーふざけた名前言ったよな?ネネ。


ネネを通して絶頂ウェイ丸なる男を見る。


「…テメェ!正気か!ふざけんな!!」


男の顔を見た瞬間オレはネネに代わり、男の顔にグーパンを叩き込んでいた。


教室の机や椅子がガタガタと倒れ、オレの…いや、ネネのパンチを受けた男が床に尻をつきながら腫れた頬を手で押さえネネを見上げる。


「あ…兄者?」


「おう…そのふざけた呼び方…やっぱりテメェか!ニツキ!!」


大神二月。一コ下の、オレの弟だ。

こいつ、ゲームする時は名前をいつも絶頂ウェイ丸にしやがる。


「テメェ!一体オレに何しやがった!何なんだここは!何なんだこの姿は!」


オレは倒れた絶頂ウェイ丸に馬乗りになり、平手で顔面を叩きまくる。


他のクラスメート達は豹変したネネに呆然となり、誰もが近寄ろうとしない。


「あ、兄者…俺にも良く分からないんだ…!で、でも、俺が望んだ世界ではある…!」


「はあ!?望んだだと!?こんなふざけた世界をか!?」


「そう、望んだ……ああ…ネネちゅんの…パンツ丸見えだ…」


馬乗りになったせいで短いスカートは捲れ上がり、おパンティが丸見えになっていた。

しかも絶頂ウェイ丸の目の前で。


「ほお…?この状況でパンティ優先か?いー度胸してるじゃねーか!」


「だってヨメだからね!!最後はエロい事だってしちゃうから!」


もっかい、グーパンしたれ!と振り上げた拳が止まる。


嫌な汗がダラダラ流れ出した。


お、思い出した…ニツキの部屋に行った時に見たわ…小鳥遊寧々。

ポスターやらフィギュアやら、果ては抱き枕。


抱き枕なんざ、口の部分と胸の部分が変な汚れ方してるわ、フィギュアはかなりキワドイ系のもあった…。


「お前、何なんだ?少女マンガみたいな人形やら集めて…」


「失敬な、彼女は小鳥遊寧々、俺のヨメだから!」


そんな会話をした。

理解出来なかった。理解したくなかった!

今はもっと理解したくない!


そのヨメにオレがなっている!!


「最後はエロい事だってしちゃうから!」


ニツキの言葉を思い出したら冷や汗が止まらない。


「させるか!ど阿呆!!」


顔面を思い切り踏みつける。

下手したら歯が数本折れる勢いで踏みつけたが、現実なようで微妙に違うのか、意外にタフに出来ているっぽい。

鼻血を出しながら気絶するだけで済んだようだ。


「とんでもねぇ世界に来ちまった…勘弁してくれよ…」


フラフラと席につくと、大股開きで頭を抱える。


「ニツキがやっていたエロゲかよ…しかもプレイヤーがニツキで、あいつの推しになっちまってるのがオレって…正気かよ…」






「ねぇ、ネネちゅん!」


「ウッセエ!黙れ!ネネちゅん呼びすんな!」


「じゃあ、兄者?」


「そのふざけた呼び方もやめろ!何の影響受けてんだ、テメェは!」


絶頂ウェイ丸……弟のニツキはオレの後を付いて回る。


「言っとくがな、オレがネネになっている時点で絶対、攻略されたりしねーからな!モザイクかかるようなエンディングなんか迎えさせねー!」


「……CVナッチュの強気な言い方も…いい…。」


CV…声優だっけ?そうか、オレの声はナッチュとかいう声優さんの声なワケだ…。


「あ、兄者…お願いがあるんだけど…」


「あ?何だよ」


「ちょっとでいいから、『らめぇ!絶頂ウェイ丸くん』って言って見てくんなぃ…」


「ハハハハ!死ねや!絶頂ウェイ丸!」


胸ぐらを掴んで、往復ビンタをお見舞いする。

スパパパンと小気味良い音が廊下に響いた。



何と言うか…


もう、中身がオレな時点で攻略対象から外れて良いと思うんだが…。

そんなに、この姿と声優さんの声が気に入ってるのか?


ゲームのキャラクターに対して、見た目より内面が好きだ!とか、オレにはピンと来ない話だしな…。

だから、見た目と声さえ好きなら、中身なんて気にならないのか?


「おい、ニツキ…テメェ、攻略するならオレ以外にしろよ。オレは絶対にお前にゃ惚れねーし」


「兄者!それは無理な話だ!ネネちゅんは俺のヨメ、ゲームの画面じゃない!リアルに俺がネネちゅんにエロい事出来るんだよ!?」


「だ、か、ら!!そうはならねーって言ってるだろーが!頭ワリィなテメェは!オレがさせるワケねーだろうが!だいたいテメェは、中身がオレでも出来るのかよ!」


「……………全然平気」


こっわ!マジか!身体は別人でも、中身が実の兄だぞ?

オレだったら無理だわ!

超タイプの美人でも、中身がニツキだった時点で萎えるわ!



つーか、このネネ以外の攻略対象…どんな女子が何人いるかすら知らないしな…見つけ出して、上手いことニツキに充てがう事が出来りゃいいんだが…。



オレは自宅に居る時以外はなるべくこの身体の主導権を握る事にした。


オレが引っ込んでる内に、絶頂ウェイ丸に攻略される足掛かりを作らせない為だ。




「小鳥遊寧々さん」


ある日いきなり、黒髪の和風美人に声を掛けられた。


「わたくし、西園寺小百合と申します。」


「はぁ…そのサユリさんが何のご用で?」


制服に着いているバッジから、一つ学年が上だと分かる。

黒髪を高い位置で一つに結び、少しキツい目付きの美人。薙刀とか似合いそうな風貌をしている。


「実はわたくし、中身は男ですの!渡辺慶太郎っていいます!だから俺と付き合ってくれませんか?」


「はぁあ!?正気かテメェ!慶太郎!」


何と、和風美人の中身がオレの知り合い、知り合いどころか、因縁の相手だった!


「……えっ…ええっ!?お、おまっ…まさか、イチカ?大神一火!?」


うっわ…思い出したわ、この世界に来る寸前…オレこいつと喧嘩してたわ!


「…そうだよ、オレだよ…何でお前まで来てるんだよ…つか、来てるなら戻る方法知らね?」


何だか色々疲れ果てたオレは、パンツ丸出しでヤンキー座りをする。


「おおお、ネネの生パンツだ…感動…って言いたい所だが、中身がイチカかよ。」


そうだよな、その反応が普通だと思うんだよな…。


「俺もいきなり目が覚めたら小百合になっていたからな…戻る方法も分からないし、どうせ戻れないなら推しのネネと百合カップルになろうかと」


名前が百合だけに?なんて突っ込みを口に出す元気もない。つか、今推しって言ったな?


「慶太郎、テメェオレに自分は硬派だの何だの抜かしてやがったクセに、実はエロゲ好きか?で、ネネ推し?はっ…ワラエル。」


「うるせぇ!エロゲ好きで悪いか!だがな、攻略対象側でここに居る以上、何らかの予防線張っておかねーと、あのふざけた名前のプレイヤーに攻略されたら困るだろうがよ!何なんだよ、あのふざけた名前の奴!どこの誰なんだよ!」


そうか、慶太郎はこのゲームを知ってんのか。

しかも攻略対象の一人である西園寺小百合……に、なっちまってるワケだ。プレイヤー側ではなく。


「……プレイヤーは弟だ」


「…は?」


「絶頂ウェイ丸は、オレの弟の大神ニツキなんだよ!オレはな、このゲームまったく知らねーのに、何でかここに居るんだよ!」


泣きたくなるわ、マジで。

お前らはいいよ、自分の好きなゲームの世界に来れてるんだからな!


そう思ったが、サユリは深刻な顔をして首を左右に振った。


「無いわー攻略されたら、お前の義妹だとか…無いわー」


「…義妹…はは…絶頂ウェイ丸はな、オレをヨメと呼んでいる…」


「……中身が兄貴だと知らずにか?」

「知ってる上でなお、だ…」

「なんだよ、その鋼のメンタル。」

「鋼どころか腐ったゲロだ!んなもん!中身がオレだって分かっていて、あいつネネとエロい事するとか言いやがる!」


サユリは、キレイな顔でヘラリと笑い、少し困ったように頬を掻く。


「ネネとのエロいシーンの、名津ユミカ様の「らめぇ」を生で聞きたいってのは…ちょっと分かるかなぁ…」


CVナッチュ…それが名津ユミカって声優?

そういや、こいつも推しがネネだって言ったな…。


「ちなみに、西園寺小百合のエロいシーンはどうなんだよ…」


「えっ…俺?…俺は…「こんな事、許すのあんただけなんだからぁ!」…だな」


「……………弟に、年上のツンデレ攻略について勧めてくるわ…」


「や、やめろ!頼むから!攻略対象側になったからって、エロい事されるのはゴメンだ!勘弁してくれ!」



慶太郎を脅して協力を得る事に成功した。

オレと慶太郎の情報を照らし合わせていく。


「オレ、最初は寝てる間に拉致られたのかと思っていたが…違うな、最後のアチラ側の記憶…」


初めてオレが思っていたのと慶太郎は同じ意見だった。


「お前と一戦交えていたわ、あの神社横の公園で。」


オレがポツリと呟く。


オレ達はよく喧嘩をした。

何てゆーか…慶太郎がやたらと喧嘩を吹っ掛けてくる。

やれ、この町最強だの、今時番長は俺だの。櫻田の番長はお前かだの。

言いがかりもいい所だ。


渡辺慶太郎は戸板工業高校二年。

柔道だかレスリングだかをやっていたようでガタイがでかい。

オレは櫻田高校二年で、昔は空手を習っていたが今はやっていない。

ただ、喧嘩を吹っ掛けられやすい…原因の一つが、見た目が良いらしく、オレはモテる。

彼女が居た事もあったが、今はいないし欲しいとも思わない。だが、フリーなので女子が寄ってくる。

それが気にくわねぇと喧嘩を吹っ掛けられる。

降りかかる火の粉は払う。


見た目は細くて弱く見えるらしいが、オレはかなり強いらしい。

吹っ掛けられた喧嘩で敗けた事が無い。

オレと喧嘩をした奴は、二度とオレと喧嘩しようとは思わないらしいのだが、慶太郎だけは敗けを認めたくないらしく、何度も喧嘩を吹っ掛けてくる。


あの時も神社の横の公園で喧嘩をしていた。

互いの胸ぐらを掴んで互いの顔に拳を叩き込んでいた。


「いい加減しつけぇんだよ!くたばれ慶太郎!」


互いの胸ぐらを掴んだまま、同じタイミングで互いに渾身の頭突きを食らわせた。


「いい加減しつけぇんだよ!お前ら!」


気を失う瞬間、声が聞こえた。


「その声、俺も聞いたわ!神社の神主さんか誰かの声かと思っていたが…」


西園寺小百合は、オレと同じようにスカートたくしあげてパンツ丸見えでヤンキー座りしている。


「スゲー耳もとで聞こえなかったか?」


「やめろよ!コワイだろうがよ!俺、幽霊とかダメなんだからな!」


喧嘩上等で、ヘビー級のガタイのくせに幽霊コワイとか…慶太郎の意外な弱点に笑える…んだろうが、それどころじゃないわな…。



「ネネちゅん、どこー?あ、いた!えっ!サユリンも居る!二人ともパンツ丸見えじゃん!もっと、側で見せて?ニオイかいでいい?」


絶頂ウェイ丸こと弟のニツキが校舎裏に来た。

小百合がオレの顔を見る。オレは頷いた。


「許す。」


「ざけんな!テメェ!!」


絶頂ウェイ丸の首を目掛けて、小百合の回し蹴りがキレイに決まる。


絶頂ウェイ丸は、泡を吹きながらバタリとその場に倒れた。


「無いわ!無いわ!こんな変態にエロい事されるとか無いわ!」


小百合、いや慶太郎は自身の身体を抱き締めるようにして青くなっている。


「いや、テメェもプレイヤー側だったら同じだったんじゃねぇのかよ」


「お前な!いくら推しでもヨメでも、中身が男で!しかも自分の兄貴だって分かっていてエロい事出来るか!?無理だわ!神社で聞こえた謎の声よりコワイわ!」


「神社…?」


足元で泡を吹いていた絶頂ウェイ丸が身体を起こす。


「兄者も、あの神社に居たの?」


「兄者て……」


小百合が嫌そうな顔をしながら絶頂ウェイ丸を指さし、オレを見る。

うん、何の影響受けているのか知らないが、そこは一旦スルーしようか。


「…居たな…正確には同じ敷地にある隣の公園だな…慶太郎…、小百合の中身とな」


「デート?」


「「んなワケあるか!ボケ!」」


オレと慶太郎の声が重なる。


「あそこに祀られている、神さまってさ、異世界に行かせてくれるって噂あるの知ってる?」


オレと慶太郎は顔を見合わせる。初耳だ。そんなの。


「ネットでね、異世界に行って帰ってきた人が書き込みしていてね!だから俺も、この世界に来たいって毎日お願いに行っていたんだ!」


小百合が、可哀想な子を見る目で絶頂ウェイ丸を見つめる。

それからオレを見て、くるくるパーだとジェスチャーする。……うん、激しく同意。


「……ニツキよ、そんな奴が近所に居たら、もっと詳しい情報が後輩やらから、オレの所には入ってきたハズだわ…」


オレはパンツ丸出しでヤンキー座りしたまま疲れ果てたように大きくタメ息を吐く。


「そうだな、俺の所にも一切入って来てないわ…そんな面白い話は…それ、ガセだろ」


小百合が腕を組んで言う。


「ガセだったかも知れないけど、今こうして、ここに居るじゃないか!何で兄者も居るのか分からないけど…あ、そういえば、声がしていたよ」


オレと小百合が絶頂ウェイ丸を凝視する。二人の声が重なる。


「「なんて!!!」」


「えっと…いい加減しつけぇんだよ、オレはそんな願い叶える神じゃねーし!横でいつも騒いでる奴等もうるせぇし、しつけぇ!叶えてやるから二度とオレの前に現れんな!……かな」


「「…………マジで?」」


オレと小百合の声が重なる。


これ、絶対に元の世界に戻れないヤツ!


「イチカ、俺…ネネが推しでヨメだったけど、諦めるわ!いさぎよく、絶頂ウェイ丸に攻略されてくれ!」


逃げ腰になる小百合、こと慶太郎。


「だぁ!逃げんな!オレを見捨てるな!他の攻略対象とアイツをくっ付けるの手伝えよ!」


ヤンキー座りのまま、小百合のスカートを掴む。スカートがずり下がり、黒のセクシー紐パンツが見える。


「アホか、テメェ…神さまが根負けする位、エロゲの世界に来る事を願うようなど阿呆が、中身が兄貴だと分かっていてお前をヨメだと言うんだぞ?逃げられるワケ無いわ!」


「俺、兄者の事も好きだから全然ヘーキだよ?」


オレと小百合の視線が絶頂ウェイ丸に注がれる。


「なぁイチカ…お前の弟の好きなゲームのタイトル、ちょっと教えろ…ちなみに、このゲームは『ドキドキハラハラ恋しちゃう愛のアイネクライネ学園(18禁)』だ…」


そ、そんなタイトルかよ!つか18禁て…!まだ16歳だがな!アイツ!


「え、えっと…あと見たのが『くっ殺せ!エロエルフ騎士、凌辱の森』と…『戦国!散る花、咲く花、武将達の…』思い出せん!」


「……『戦国絵巻、散る華咲く華、黄昏の武将達』……お前の弟スゲーな…それ、成人向けのBLゲームだわ」


小百合の口から聞きなれない言葉を聞いた。


「びーえる…?」


「男同士の恋愛だ。俺の姉貴が、そのゲームが好きでな…いたわ、その中のキャラで兄貴の事を兄者と呼んで「お許し下さい」とか言って兄貴を食ったヤツ。」


「食った……」


冷や汗が止まらない。


「俺のヨメの中に、兄者がいる!この世界に来た時に、兄者ともう二度と逢えないかと、それだけが悲しかったんだけど!もう、最高!兄者!俺のヨメ!」


両手を広げて満面の笑顔の絶頂ウェイ丸。


「イチカ、ちなみにだが…このゲームのラスト、モザイク入りまくりの、かなり激しいエロだから。CVの名津ユミカ様、頑張っていたもんな…」


西園寺小百合、こと慶太郎はニヤニヤしながら耳打ちしてくる。


「……このゲーム…エロゲから、殺人モノに変えていいか…?攻略される前にコロス…」


「イチカと喧嘩出来なくなったのは残念だし、元推しのネネが苦しむのは見ていて少しツラいけど、大神イチカが苦しんでいると思えばザマァミロだわ!」


西園寺小百合は笑いながら校舎裏を去って行った。


「兄者!兄者!ここ、ネネちゅんと俺が初めてチューする所!」


腰にすがり付くように抱き付かれる。


「知るか!離せ!」


あーヤバい、絶対攻略されねぇ!

いつか、こいつをぶっコロス!


この日から、オレのフラグを折る日々と、他の攻略対象を探す日々が始まった。


脱ヨメ宣言。






























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